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怒りのトランプは米中貿易不均衡を改善せず

7/15(月)「怒りのトランプは米中貿易不均衡を改善せず」

ドル円=105-110、ユーロ円=119-124 、ユーロドル=1.10-1.15

日経インデックス7月12日東京引け7月5日からの変化(2015年=100)円115.3弱し、ドル105.7強し、ユーロ108.2弱し、ドルインデックス NYBOT 96.98弱し、原油60.21強し、金1412強し、DOW 27332.03強し、日経平均ドルベ-ス東京引け200.18弱し IMM円投機筋7月9日 円-3651(前週比-2424)、ユーロ-35865(前週比-4132)

1.(今週の予定)

「中 GDP、日 貿易統計 米 パウエル議長 ベージュブック ミシガン  豪 雇用 南ア 政策金利」

15(月)中 GDP 鉱工業生産 小売売上 新築住宅価格  米 NY連銀製造業
16(火)NZ 消費者物価 RBA議事要旨 トルコ 失業率 英 失業率  失業保険 南ア 小売売上  ユーロ圏 貿易収支 独 ZEW景況感 米 小売売上  輸入物価 鉱工業生産 設備稼働率
17(水)英 生産者物価 消費者物価 小売物価 米 住宅着工件数 建設許可 加 消費者物価 米 ベージュブック
18(木)日 貿易統計 豪 雇用統計 スイス 貿易収支 英 小売売上 米 フィラデルフィア連銀景況指数 新規失業保険 南ア 政策金利 米 景気先行指数
19(金)日 消費者物価 独 生産者物価 ユーロ圏 経常収支 加 小売売上 米 ミシガン大学消費者信頼感

(来週の予定)

22(月)
23(火)米 住宅価格 リッチモンド連銀製造業指数 ユーロ圏 消費者信頼感 米 中古住宅販売
24(水)NZ 貿易収支 ユーロ圏 製造業・サービス部門PMI 南ア 消費者物価 米 製造業・サービス部門・総合PMI 新築住宅販売
25(木)日 企業向けサービス価格 独 IFO企業景況感指数  南ア 卸売物価 トルコ 政策金利 ECB 政策金利 米 耐久財受注 新規失業保険
26(金)日 東京都区部消費者物価 米 GDP 


2.総括「消費減退、輸出減少、円高での消費増税は将来に禍根」

*円「通貨4位、株価13位、消費減退、輸出減少、円高での消費増税は将来に禍根」

 殆ど明るい経済指標は出てこない。ただ税収だけは過去最高のようだ。そこで消費増税を行うのは矛盾のする気がするが、もう決めていることだからといって延期、取りやめにはならない。短観の景況感の悪化、弱い景気ウオッチャー調査、賃金減少、消費増税前に駆け込み需要がないことなどと弱い指標が続く。輸出は6か月連続前年比減少、今週は6月分が発表される。日韓貿易戦争が始まれば、これも日本の輸出に打撃を与える。景気指標の弱さは可処分所得を減らし輸入も減る円高要因、輸出の減少は貿易黒字の減少から赤字に繋がる円安要因。ただ例年通り上半期の円高要因(上半期は輸出予約先行)も効いている。

*米ドル「通貨5位、株価(NYダウ)8位、利下げ観測、貿易不均衡は悪化、債務上限問題」

 パウエルFRB議長は、貿易摩擦や世界経済の減速による米景気拡大への影響に対処するため「必要に応じて行動する」と述べ今月の利下げを示唆した。市場はドル売り、金利低下で反応したが6月の消費者物価指数は、コア指数が前月比0.3%上昇し、2018年1月以来1年5カ月ぶりの大幅な伸びとなった。目標の2.0%上昇を下回り続けているので利下げ観測は変わらないようだが、一つ一つの指標で簡単に市場は動揺する。FOMC議事要旨でも「現在の水準から利下げを行う強い根拠はまだ見当たらない」とし、一段の情報収集が望ましいとの考えが示されている。0.25%利下げなら織り込み済、0.5%なら意外感が出るか。
 米中貿易戦争では、19年前半の中国貿易収支から見るだけでは米国の対中輸出が29.9%減り、対中輸入が8.1%減ってたことになっている。米中貿易不均衡は改善するどころか拡大している。米国の大幅輸出減なので米国にとって痛手となっている。トランプ大統領の怒りが爆発しそうだが、怒ることが経済回復に繋がるわけではない。
 さて、また連邦債務の上限問題が浮かび上がってきた。ムニューシン財務長官は、議会に対し、夏季休暇入り前に連邦債務の上限を引き上げるよう呼び掛けた。ムニューシン長官は民主党のペロシ下院院内総務に宛てた書簡で、政府のキャッシュフローの予測を巡る「不確実性」は存在しているとしながらも、最新の予測に基づくと「議会が再開する前の9月上旬に資金が底を付く可能性が示されている」と指摘。「このため、夏季休暇入り前に議会が連邦債務上限を引き上げるよう求める」とした。

*ユーロ「通貨11位、株価9位、緩和観測強い中、鉱工業生産改善で小反発、今週はZEW景況感」

 ハト派のラガルドIMF専務理事がECB次期総裁に指名されたこと、弱い経済指標(ユーロ圏小売売上高、独IFO業況指数、ユーロ圏CPIなど)が続いたこと、ECBからも追加緩和策が示唆されたことで、フランス国債が独国債に続きマイナスきんりになったことでユーロが売られていたが、5月のユーロ圏鉱工業生産指数が前月比0.9%上昇と、予想の0.2%上昇を上回ったことでユーロが反発した。またFRBの利下げ観測も強まったこともユーロを押し上げた。
 欧州委員会の四半期経済予測では、米国の通商政策を巡る不確実性がユーロ圏経済の主要なリスクとし、来年のユーロ圏の成長率予想を引き下げた。インフレ率予想も引き下げた。
今年のユーロ圏の成長率は1.2%と予想。18年の1.9%から減速する。来年の成長率予想は5月時点の1.5%から1.4%に引き下げた。 インフレ率は5月はともに1.4%としていた今年と来年のインフレ率を1.3%と予想した。

*英ポンド「通貨10位、株価11位、まとまるのだろうかEU離脱案 ポンド低迷」

 英株価もポンドも弱い。メイ首相の時のほうが双方しっかりしていた。しっかりせよ英国男児。中銀も利上げ観測から利下げ示唆へ転換。通貨は3月ごろは一時最強通貨であった。
合意なき離脱や離脱再延長の記事を目にすることが多くなってきている。ブリハ英中銀金融政策委員は、EU離脱期限を繰り返し延期したり、世界経済が減速したりすれば、需要を喚起するために利下げが必要になる可能性があるとした。「合意なき離脱」となった場合、現在0.75%の政策金利は利下げを通じて0.25%を割り込み、過去最低を更新することもあり得るとの考えを示した。また「合意した離脱」なら、反対に金利は1Qの年後に1.0%、2年後に1.25%、3年後に1.75%まで引き上げられる可能性もあると予想した。
 次期欧州委員長候補であるフォンデアライエン独国防相は、英国のEU離脱に関し「もし英国がもっと時間が必要なら、延期は正しい考えだろう」と語り、「合意なき離脱」を回避するため、10月末に迎える離脱期限を再々延期することもあり得るとの認識を示した。
 英小売協会の小売売上高は、6月までの12カ月の平均増加率が0.6%となり、統計を開始した1995年以降で最低の伸びにとどまった。EU離脱を巡る懸念が消費を圧迫した。くすぶり続けている不確実性から、消費者は必需品以外の購入を先送りする中、実質賃金の上昇が支出の増加に結び付いていないようだ。先週後半のポンドの戻しは米利下げ観測による一時的な反応だ。
 
*人民元「通貨6位、株価7位、怒りのトランプ冷静な人民元、対米黒字は増加」

 年初来、安定している。対円では1.69%下落しているが、対ドルではほぼ変わらず。膨大な貿易黒字があっても元高にならない通貨政策に米国は苛立っているだろう。貿易戦争は一時休戦しているが
6月貿易収支を見れば、怒りの感情ではトランプ政権の勝利だが、実際の数字は中国の勝利と言える。今年上半期(1~6月)の対米貿易黒字は1405億ドルとなり、前年同期比で5.2%増加した。米中貿易摩擦の激化から約1年が経過し、米国は中国の輸入拡大を求め圧力をかけ続けているものの、中国の黒字基調に変化がない状況が改めて浮き彫りになった。 米国からの輸入は29.9%減と、輸出の8.1%減を上回る落ち込みを示し、差し引きの貿易黒字が拡大した。6月単月の対米黒字も前年同月比3.4%増の299億ドルだった。トランプ大統領の威圧はまったく効果がなく米国に不利に働いている
 今週は2Q・GDPが発表される。予想は前年同期比で6.2%増。1Qの6.4%増から減速するが中国政府の想定内であろう。6.2%からいくら乖離するかで資源国通貨に影響が出る。
 
3.「豪ドル、NZドル、南アランド、トルコリラ」

*豪ドル「通貨9位、株価5位、懸念は可処分所得が増えないこと、減税と利下げで対応中」

 6月、7月と2回連続政策金利引き下げが行われたが、豪ドルの水準は最初の6月の利下げ時を上回るほど回復している。株価も上昇している。ただ経済指標は良いわけではない。6月の企業信頼感指数は前月のプラス7から5ポイント低下し、プラス2となった。7月の消費者信頼感は4.1%低下した。今後1年の経済状況の見通しを示す指数は12.3%低下。1年前と比べた家計の状況を示す指数も3.0%低下した。 今後5年の景気見通しを示す指数は6.7%低下。今後1年の家計の見通しを示す指数も8%低下した。 思うように個人の可処分所得が増えないことが利下げや減税に踏み切った要因だ。
 豪ドルが底堅くなったのは、米中貿易戦争が一時休戦していることが上げられる。貿易需給も鉄鉱石の急騰もあり5月貿易収支は57億5000万豪ドルの黒字となり、黒字額は過去最高を記録し豪ドルを支えている。
 今週は雇用統計の発表があるが、金融政策の鍵を握るのは、月末の2Q・消費者物価となる。現在目標の2%を下回っている。

*NZドル「通貨8位、株価4位、今週は消費者物価」

 今年のNZドルはやや弱いが、株価は史上最高値近辺で推移している。政策金利は引き下げられたが経済もそれほど弱いわけでもない。利下げの要因はインフレが目標の2%を下回って抑制されているからだ。
今週は2Q・CPIの発表がある。予想は1Qの1.5%を上回る1.7%だが、その通りになれば追加利下げを急ぐ必要もなくなる。NZの重要貿易相手国の中国もひとまず米中貿易戦争が休戦して通商協議に入っており、トランプ米大統領がファーウェイの制裁解除に言及しているので中国要因では先週は売られなかったが、今週も中国GDPなどの発表もあるので上海株価指数とともに注目していきたい。次回政策金利決定は8月7日となる。貿易収支はここ3か月黒字で輸出も伸びている。
 
*南アランド「通貨3位、株価12位、今週は0.25%の利下げか」

 今年のランドは底堅く推移し円より強い。金やパラジウムなど資源価格が強いこともあり、貿易収支が黒字となりランドを支えている。政府が赤字経営で苦しむ電力大手エスコム社を支援することも好感された。ただランドは堅調だが今週は政策金利決定があり、6.75%から6.5%へ引き下げられる見通しだ。インフレが抑制され低成長が続くと見られているからだ。1Qの経済成長率が年率3.2%のマイナス成長となった。5月の製造業生産は前年同月比1%増と小幅な伸びにとどまり、鉱業生産は前年比1.5%減と不振が続いた。
 今後の経済は2019年の平均インフレ率は4.5%、20年は5.0%、成長率は、19年が0.7%、20年が1.4%と予想されているので利下げは一時的なものとなるかもしれない。
 
*トルコリラ「通貨最下位、株価14位、せっかくの景気回復、リラ安定を内憂外患で崩す」

次から次へと材料が出てくる。やや悪い材料が多い。リラは年間では対円で8.85%安。対ドルで8%安。ただ今年の下落幅はスワップ金利の取り分の範囲内で収まる動きで去年よりは落ち着いている。先週末には
ロシアミサイルのトルコへの搬入(米国からの反発はどうか)やフィッチによる格下げ、 欧州委員会が、トルコがキプロス沖で「違法な」石油・ガス掘削活動を行っているとして、ハイレベル協議を停止したことなどで売られた。その他、大統領の利下げ要求に従わない中銀のチェティンカヤ総裁が更迭されたことや元副首相がAKPを離党したことなどがあった。ロシアからのミサイル導入についてはG20で米トルコ首脳会談で和解したと思われていた。
 一方、経済指標では6か月ぶりに経常収支が黒字化したことや5月の鉱工業生産が前年比で1.3%低下となったが予想より改善、前月比ではプラスに転じたことなど悪くはなかった。また今年はマイナス成長が予想されるが、政府の5カ年計画では年平均4.3%成長としていて希望を抱かせる。懸念のインフレはピーク時で25.24%まで上昇、現在は15.72%だが2023年には5%まで低下するとしている。インフレが最近は10%低下したにも関わらず中銀が利下げしなかったことが総裁更迭となった。新総裁での7月25日の政策金利決定では24%から22%への利下げが予想されてる。経済ファンダメンタルズ的には持ち直し、リラも安定してきたが、毎度の事ながら内憂外患あり、それがリラ売りに作用する。

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4.テクニカル「主要3通貨ペアテクニカル」

*ドル円=「再びボリバン中位を割る」

日足、再びボリバン中位を割る。7月10日-12日の下降ラインが上値抵抗。6月25日‐7月12日の上昇ラインがサポート。5日線、20日線ともに下向く。
週足、6月24日週-7月1日週の上昇ラインを下抜く。5月20日週-7月8日週の下降ラインが上値抵抗。6月24日週-7月8日週の上昇ラインがサポートだが下抜いて始まるか
月足、19年1月-4月の上昇ラインを下抜く。7月は年5月-6月の下降ラインを上抜きスタートも陰転。1月-6月の上昇ラインがサポート。4月-5月の下降ラインが上値抵抗。雲下。
年足、3年連続陰線。今年も陽線スタートであったが5月に陰転。15年‐17年の下降ラインが上値抵抗。16年-18年の上昇ラインを一時下抜く

*ユーロドル=「3連続陽線もボリバン中位で反落」 

日足、先週後半は3連続陽線も木曜の高値を金曜は上抜けず。7月10日-12日の上昇ラインがサポート。7月11日-12日の下降ラインが上値抵抗。ボリバン中位で反落。5日線上向き。
週足、5月27日週-7月8日週の上昇ラインがサポート。7月1日週-8日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、6月は6か月ぶりの長い陽線だったが7月は下落スタート。5月-6月の上昇ラインがサポート。18年2月-6月の下降ラインが上値抵抗
年足、17年-18年の上昇ラインを下抜く。14年‐18年の下降ラインが上値抵抗。02年‐17年の上昇ラインがサポート

*ユーロ円=「6連続陽線後、反落し振り出しに戻る」 

日足、コツコツと6連続陽線で上げるも、先週金曜日に下落、振り出しに戻る。7月3日-12日の上昇ラインがサポート。7月10日‐12日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。
週足、先週は上ヒゲ長し。6月17日週-7月1日週の上昇ラインがサポート。7月1日週-8日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、4月の上ヒゲが効いて5月は下落。19年1月-4月の上昇ラインを下抜く。19年5月-6月の下降ラインは上抜くも今月は下落スタート。17年4月-19年6月の上昇ラインがサポート。
年足、16年-17年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。12年‐16年の上昇ラインも下抜く。

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 内需拡大-規制緩和-市場開放-小政府-財政均衡-自己責任-公明正大  ドル円=50―超円高-100―円高-150-普通円-200―円安-250-超円安-(短期は自由奔放、長期はこれで) 「世界一のデフレと物価高の共存が日本の弱点」「国を選ぶ時代」FSIG FX湘南投資グループ 代表 野村雅道(人生後期4歳、専修大学、中京大学講師(事務所 横浜田園、山下公園、伊豆稲取) 

FX湘南投資グループ代表
野村 雅道(のむら・まさみち)氏

1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行、82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。

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