野村雅道のID為替 (レポート)|FXブログ|外為どっとコム

米国「多面指し」に疲れ、日本の消費増税は円高要因

5/27(月)「米国「多面指し」に疲れ、日本の消費増税は円高要因」

総括「米国「多面指し」に疲れ、日本の消費増税は円高要因」
その他通貨「豪ドル、NZドル、南アランド、トルコリラ」
テクニカル「主要3通貨ペアテクニカル」
リスク「トランプ大統領、北朝鮮暴発、地震、中東問題、テロ、米中緊張、日本の領土問題」

ドル円=107-112、ユーロ円=120-125 、ユーロドル=1.10-1.15

日経インデックス5月24日東京引け5月17日からの変化(2015年=100)円115.2強し、ドル107.0弱、ユーロ108.4強し、ドルインデックス NYBOT 97.61弱し、原油58.63弱し、金1284強し、DOW 25586弱し、日経平均ドルベ-ス東京引け192.65弱し IMM円投機筋5月21日 円-55192(前週比+6388)、ユーロ-101102(前週比-5801)

1.(今週の予定)

27(月)日米首脳会談 黒田総裁 日 景気先行指数(改定) 中 工業企業利益 
28(火)日 企業向けサービス価格 独 小売売上 スイス GDP 貿易収支 ユーロ圏 業況判断指数 米 ケースシラー住宅価格 CB消費者信頼感
29(水)黒田総裁 NZ NBNZ企業信頼感 スイス KOFスイス先行指数 独 雇用統計 加 政策金利
30(木)NZ 住宅建設許可 南ア 生産者物価 米 GDP(改定) 個人消費 加 経常収支 米 中古住宅販売保留
31(金)日 雇用統計 東京消費者物価 鉱工業生産 中 製造業PMI 非製造業PMI 独 消費者物価 米 個人所得支出 PCEコア・デフレータ 加 GDP 米 シカゴ購買部協会景気指数
     ミシガン大学消費者信頼感指数(確報)

(来週の予定)

3(月)中 財新製造業PMI スイス 消費者物価 トルコ 消費者物価 生産者物価 英 製造業PMI 米 ISM製造業 建設支出
4(火)豪 経常収支 小売売上 政策金利 英 建設業PMI ユーロ圏 失業率 米 耐久財受注(確報値) 製造業受注 ベージュブック
5(水)豪 GDP 中 財新サービス業PMI 英サービス業PMI ユーロ圏 消費者物価 小売売上 生産者物価 米 ADP民間雇用者数  ISM非製造業景況指数
6(木)豪 貿易収支 住宅建設許可 独 製造業受注 ユーロ圏 1Q・GDP(確報値)米 貿易収支 加 貿易収支 Ivey購買部協会指数
7(金)スイス 失業率 独 鉱工業生産 貿易収支 経常収支 米 雇用統計 加 雇用統計 メキシコ 消費者物価

2.総括「米国「多面指し」に疲れ、日本の消費増税は円高要因」

*円「通貨3位、株価12位、5か月連続輸出減少、消費増税は円高要因」

 日米首脳会談を前に、閣僚級の貿易交渉が行われたが、意見の隔たりは埋まらなかった。米通商代表部のライトハイザー代表と茂木経済再生担当相は、農産品や自動車などの関税などについて協議した。茂木経済再生相は、「閣僚間でお互いの立場が今、完全に一致しているわけではないが、お互いの立場、考え方に対する理解が深まった。今回の首脳会談では合意に至らない」との見通しを示した。
 さて米商務省は、通貨安を誘導した国からの対米輸出に相殺関税を適用する新規則案を発表した。輸出が有利になる通貨安は「政府の金融支援」として貿易制裁を強化する。為替政策をめぐり米政府の監視対象に入っている日本や中国などとの貿易を視野に入れている可能性がある。
 4月貿易統計では米中貿易戦争の影響からか昨年12月から5か月連続の輸出(前年同月比)減少となった。5月の月例経済報告では「景気は、輸出や生産の弱さが続いているものの、緩やかに回復している」となった。 3月の景気動向指数悪化からは政府は既に基調判断は、従来の「下方への局面変化を示している」から「悪化を示している」に引き下げた。
 1-3月GDPは予想に反しプラス成長となったが、輸入減少によるもので力強さはない。日銀からも消費増税は景気後退を招くとの意見が出始めている。
 私は常々晩秋の円安と言っているが、秋に消費増税が実行されれば、消費が落ち込み輸入が減少し貿易赤字が改善する。そうなれば円高要因ともなる。景気悪化での円高は日本の伝統のパターンだ。
  
*米ドル「通貨4位、株価(NYダウ)9位、大統領の多面指しに疲労、2Q成長率下方修正か」

 トランプ大統領の「多面指し」にも疲れが出ているようだ。米中貿易戦争は中国経済を減速させるが、米国の株価も下落している。JPモルガンは2Q・GDP成長率予想を従来の2.25%から1.0%に引き下げた。4月耐久財受注の落ち込みを考慮した。 製造業PMIも弱かった。米NY連銀は、今月の対中関税引き上げによって、平均的な米世帯が被るコストが1世帯当たり年間831ドルになると試算した。イランや北朝鮮も米国に妥協はしないようだ。その中で、米国はプルトニウムを用い、核爆発を伴わない臨界前核実験を2月に西部ネバダ州の施設で実施したと発表した。核保有国と非核保有国の対立が深まる中、核兵器分野の研究を進める米政権の姿勢が鮮明となった。
 国内では米民主党のペロシ下院議長が、トランプ大統領は議会民主党指導部との会合で「ひどいかんしゃくを起こした」とし、トランプ氏は複雑な案件を処理する能力を欠いているとの批判を繰り返した。 ペロシ氏はトランプ大統領とのインフラ投資を巡る協議を前に、ロシアによる米大統領選挙への介入疑惑を巡る捜査についてトランプ氏が「事実を隠蔽している」と非難。トランプ氏はこれに不快感を示し、協議を開始から3分で打ち切った上で、民主党が「虚偽」の調査を続けている限りインフラ投資を巡る法案で協力することはできないと述べ、対立を深めていた。
 ムニューシン財務長官は「債務上限引き上げなければ夏の終わりにデフォルトとなる」と発言した。大統領の多面指しの相手は増えるばかりだ。EU、トルコも、メキシコ、カナダ、ロシア、キューバも控えている。

*ユーロ「通貨10位 株価(独DAX)8位、欧州議会選挙、指標は強くないが上昇」

 週末に欧州議会選挙が行われている。英のEU離脱や伊首脳のEU離脱発言も見られる中で、世論調査では、中道右派の「欧州人民民主党」(EPP)と、中道左派の「欧州社会・進歩連盟」(S&D)の2大会派が初めて合計で過半数割れする見通しが強まっている。EUに懐疑的な左右の勢力は合わせて3割を超す勢いをみせる一方、マクロン仏大統領の新党など新興の親EU勢力の議席拡大も見込まれる。大勢は27日未明(日本時間27日午前)にも判明する見通し。
 先週の経済指標はユーロ圏5月総合PMIは51.6に小幅上昇も予想は下回った。独5月PMIは、製造業とサービス業がともに低下したが、米国の製造業PMI、新築住宅販売件数や耐久財受注も弱かったためにユーロドルは上昇した。世界経済減速で各国の指標が弱い

*英ポンド「通貨5位、株価10位、合意がないのは英国内」

 先週ユーロドルは陽転したが英ポンドは陰線。ポンドの弱さを表した。離脱決定へ延長となってからのほうが気が抜けたのかポンドが弱い。EUとの合意より英国内が合意できない弱さがある。メイ英首相は、6月7日に保守党党首を辞任すると表明した。7月末までに就任する次期首相はEU離脱に対しメイ氏より強硬な路線をとる公算が大きいため、EUとのあつれきが増すと同時に、政治的な混迷が一段と深まる可能性がある。有力な首相候補とされているジョンソン前外相は、英国は条件などで合意がないままEUから離脱する用意を整えておく必要があるとした。
 EU側は離脱協定の再交渉はないと表明している。
経済指標では、4月小売売上高は、前月比変わらずだった。小売売上は数カ月にわたり伸びを記録し、英経済の下支え役となってきたが、4月は一服した。4月消費者物価伸び率は、前年比2.1%上昇し予想を下回ったものの、エネルギー価格の上昇によって今年最も高い上昇率となった。

*人民元「通貨7位、株価7位、続米中貿易戦争がっぷり四つ、1ドル=7元に近づき下落」

 5月の人民元は対ドルで6.7台から6.9台へ弱含み推移していたが、先週は下げ止まった(ドルが下落)。中銀関係者が「1ドル=7元を超える元安は容認しない」としていたことを反映したのか。
貿易戦争では中国も引かない。中国は通信機器大手、華為技術排除の動きについて、米国に対して通商協議を継続するには「誤った行動」を正す必要があると訴えた。 商務省の高峰報道官は「米国が通商協議の継続を望むのなら、誠実さを示し自らの誤った行動を正すべきだ。対等と相互尊重に基づく場合にのみ、交渉継続が可能」と指摘、事態の進展を注視し、必要な対応を準備する方針を示した。
 米NY連銀は、今月の対中関税引き上げによって、平均的な米世帯が被るコストが1世帯当たり年間831ドルになると試算した。 関税措置で物価が押し上げられると予想しているが、ムニューシン財務長官は、中国製品に対する関税引き上げで米国の家計に対する負担が大きく増大することはないとの見方を表明した。 これに対しアクスネ民主党下院議員は「消費者が代償を払うことになるのは目に見えている」とし、関税措置が消費者物価に与える影響に関して財務省が実施した内部調査の結果を公表するよう要請した。
 今週は工業企業利益、製造業PMI、非製造業PMIの発表がある。上海総合指数は今年のピークの32%高から半減している。

3.「豪ドル、NZドル、南アランド、トルコリラ」

*豪ドル「通貨8位、株価6位、通貨安くて株高がいい」

 通貨が安くて株が強い。米中貿易戦争の中でも先週は株高となった。利下げ観測や景気対策への期待があるからだ。RBAは、労働市場が一段と改善しなければ利下げが適切になるとの認識を示した。 市場は6月の利下げの確率を五分五分と予想。利下げすれば2016年半ば以降初めてとなる。またモリソン首相とロウRBA総裁が会談し、経済情勢について協議した。ロウ総裁は、景気刺激のため、利下げを検討していると表明した上で、新政権も税負担の軽減など、家計所得の押し上げで役割を果たすべきだと主張した。モリソン首相は、経済の活性化を図り、関係が冷え込んでいる最大の貿易相手国である中国との関係改善などの課題に取り組むとした。ただ総選挙で予想外の勝利を収めたモリソン首相率いる与党・保守連合は、公約の履行でつまずいている。選挙戦で、中・低所得層向けの税金還付を7月1日までに決定すると宣言していたが、議会手続きが間に合わず、難しい情勢となっている。
 今週は設備投資の発表がある。最近の豪ドルの下落は選挙見通しによるものではなく、米中貿易戦争やインフレ低下による利下げ見通しであった。ただ豪のファンダメンタルズや財政は他国に比べればしっかりしている。 

*NZドル「通貨11位、株価3位、NZも通貨安くて株高がいい」 

 1Q小売売上は前期より減少の前年比3.3%増、4月貿易収支は3月より減少したが4.33億NZドルの黒字となった。乳製品大手のフォンテラ社のオークションは12回ぶりに価格を下げた。
世界経済の減速があるものの成長見通しも2019年は2.5%増、2020年は2.9%増と予想されている。ただ低インフレによる利下げ観測や米中貿易戦争の影響でNZドルは売られている。
 一方株価は強い。さらなる低金利観測、キャピタルゲイン税(CGT)の導入取り止め、海外からの投資緩和策、また従来よりの財政の健全さが要因である。
通貨安は海外投資家にとってデメリットであるが、NZの国内投資家は通貨安や株高で潤っている。将来的な国の強さに繋がるだろう。今週はNBNZ企業信頼感 住宅建設許可などがある。
 
*南アランド「通貨6位、株価13位、利下げ観測高まる」

 米中貿易戦争での中国経済の減速や強い円で南アランドは対円で弱含んでいる。年初来の勢いが衰えてきた。中銀は政策金利を6.75%で据え置いた。インフレ鈍化の兆しや低成長が要因。
また据え置き決定は全会一致ではなく、5人の金融政策委員のうち3人が据え置き、2人が0.25%の利下げを提案した。今後の利下げが予想される。4月消費者物価指数は前年比4.4%と、前月の4.5%を下回った。高失業率、所得減少、政治の不透明感を背景に個人消費が低迷した。
 さて下院本会議で再選出されたラマポーザ大統領は「新たな時代の幕開けだ。課題は山積するが、克服できないことはない」と演説し、汚職対策や経済再建に引き続き取り組むと訴えた。
今週は生産者物価と貿易収支の発表がある。米中貿易戦争の影響が出るか。
 
*トルコリラ「通貨最下位、株価最下位、GDP、3期連続マイナス成長か」

 今週は1Q・GDPが焦点となる。既に2四半期連続でマイナス成長、今期も前期比1.2%減、前年比3.2%減の予想である。先週も消費者信頼感、企業信頼感指数が悪化した。今週は経済信頼感指数や貿易収支の発表もある。昨夏の米国人牧師拘束問題に始まった米国からの制裁関税は引き下げられたが、まだ対米ではロシアからのミサイル購入問題がくすぶっている。ただイラン関係ではトルコもイラン産原油の輸入を停止して米国に下がっている。様々な問題がある対米関係だが、6月には米・トルコ首脳会談の観測がある。
 通貨防衛では利上げや外貨購入の制限などを行っている。企業への49億ドルの支援も行う。内政では6月に内外から批判を浴びているイスタンブール市長選の再投票がある。
対円18円近辺で下げ止まっているが、経済、内政、外交ともに前途多難である。 

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4.テクニカル「主要3通貨ペアテクニカル」

*ドル円=「再びボリバン下限に近づく5月」

日足、上昇もボリバン中位でひっかかり 5月15日-16日、13日-15日の上昇ラインを下抜く。5月23日-24日、5月22日-23日の下降ラインが上値抵抗。 ボリバン下限に近い。5日線下向き。上窓は110-96から111.07で遠くなりけり。
週足、4週連続陰線の後陽転、逆カブセも崩れる。12月31日週-5月13日週の上昇ラインがサポート。4月22日週-29日週の下降ラインが上値抵抗。雲下へ下落。
月足、19年1月-4月の上昇ラインを下抜く。18年12月-19年4月の下降ラインが上値抵抗。4月は上ヒゲが長い。16年6月-19年1月の上昇ラインがサポート。雲中へ下落。
年足、3年連続陰線だが、今年は陽線スタートも先週は再び陰転。15年‐17年の下降ラインを上抜くか。16年-18年の上昇ラインがサポート。

*ユーロドル=「ボリバン下限下抜きより反発」 

日足、ボリバン下限下抜き後、急反発。5月23日-24日の上昇ラインがサポート。5月13日-24日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。ボリバン上位。
週足、4月22日週-29日週の上昇ラインを下抜きボリバン下限へ下落。先週は下限から反発。5月13日週-20日週の下降ラインを上抜くか。3月18日週-5月13日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、19年1月-3月の下降ラインが上値抵抗。17年1月-19年4月の上昇ラインがサポート。4か月連続陰線。
年足、17年-18年の上昇ラインを下抜く。14年‐18年の下降ラインが上値抵抗。02年‐17年の上昇ラインがサポート

*ユーロ円=「上昇もボリバン中位で抵抗に合い下落」 

日足、上昇もボリバン中位で抵抗に合い下落。5月15日-17日の上昇ラインを下抜く。5月23日-24日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。ボリバン下位。
週足、12月31日週-4月29日週の上昇ラインを下抜く。5月6日週-20日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下限到達。 
月足、4月の上ヒゲが効いて下落スタート。19年1月-4月の上昇ラインを下抜く。ボリバン下限到達。18年10月-19年3月の下降ラインが上値抵抗。
年足、16年-17年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。12年‐16年の上昇ラインがサポート。

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 内需拡大-規制緩和-市場開放-小政府-財政均衡-自己責任-公明正大  ドル円=50―超円高-100―円高-150-普通円-200―円安-250-超円安-(短期は自由奔放、長期はこれで) 「世界一のデフレと物価高の共存が日本の弱点」「国を選ぶ時代」FSIG FX湘南投資グループ 代表 野村雅道 専修大学、中京大学講師(事務所 横浜田園、山下公園、伊豆稲取) 

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FX湘南投資グループ代表
野村 雅道(のむら・まさみち)氏

1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行、82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。

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