野村雅道のID為替 (レポート)|FXブログ|外為どっとコム

米中通商交渉の進展は。日本にも貿易戦争の悪影響での円安要因あり

2/11(月)「米中通商交渉の進展は。日本にも貿易戦争の悪影響での円安要因あり」

総括「日 GDP、米中通商協議 米・中 CPI 中 貿易収支 パウエル議長 GPIF理事長講演」
その他通貨「豪ドル、NZドル、南アランド、トルコリラ」
テクニカル「主要3通貨ペアテクニカル」
リスク「トランプ大統領、北朝鮮暴発、地震、中東問題、テロ、米中緊張、日本の領土問題」

ドル円=107-112、ユーロ円=122-127 、ユーロドル=1.11-1.16

日経インデックス2月8日東京引け2月1日からの変化(2015年=100)円113.3弱し、ドル105.6強し、ユーロ108.6同、ドルインデックス NYBOT 96.64強弱し、原油52.72弱し、金1318弱し、DOW 25106強し、日経平均ドルベ-ス東京引け185.30弱し IMM円投機筋1月8日 円-61314(前週比+27309)、ユーロ-40533(前週比+6115)

1.(今週の予定)

11(月)米中通商協議次官級協議 建国記念の日 スイス 消費者物価 英 鉱工業生産 貿易収支 GDP メキシコ 鉱工業生産 米 JOLT労働調査
12(火)日 第3次産業活動指数 豪 住宅ローン件数 NAB企業景況感指数 
13(水)NZ  政策金利 英 生産者物価 消費者物価 小売物価 ユーロ圏 鉱工業生産 米 消費者物価 財政収支
14(木)米中通商協議閣僚級協議 日 GDP デフレータ 中 貿易収支 独 GDP トルコ 経常収支 米 生産者物価 新規失業保険 加 新築住宅価格
15(金)中 生産者物価指 消費者物価 トルコ 失業率 ユーロ圏 貿易収支 米 輸入物価 NY連銀製造業 設備稼働率 ミシガン大学消費者信頼感指数

(来週の予定)

18(月)日 機械受注
19(火)スイス 貿易収支 ユーロ圏 経常収支 英 失業率 失業保険 ILO失業率 独 ZEW景況感調査 ユーロ圏 ZEW景況指数
20(水)NZ 生産者物価 日 貿易統計  独 生産者物価 FOMC議事録
21(木)豪 新規雇用者数 失業率  ユーロ圏 製造業・サービス業PMI 米 フィラデルフィア連銀景況指数 新規失業保険 景気先行指数 中古住宅販売
22(金)日 消費者物価 スイス 鉱工業生産 独 IFO景況指数 加 小売売上 加 小売売上

2.総括「日 GDP、米中通商協議 米・中 CPI 中 貿易収支 パウエル議長 GPIF理事長講演」

*円「通貨10位、株価15位、米中通商交渉の進展は。日本にも貿易戦争の悪影響の円安」

 依然、ドル円が下げ渋っている。やや円安。また日経平均は年初来1.59%上昇しているが、世界の他の市場から見ると見劣りする上昇率だ。今週は発表される10-12月GDPは7-9月GDPが
年率換算で2.5%の減少であったので反動で上昇するが、他の指標は弱い。製造業PMI、消費者態度指数、家計調査、景気ウォッチャー調査などだ。これまでは国内経済が悪化すれば輸出ドライブをかけて円高となるのがパターン(いわゆる円高不況)であったが、今回は原油安で輸入金額の減少がありながら、輸出の伸び悩みもあり貿易黒字とならず円が強くならない。これも米中貿易戦争の影響なのだろうか。代表的な輸出企業が減益となっている。パナソニックやホンダが格付け見通しを引き下げられている。私もここ3年貿易黒字による円高見通しを掲げていたが、今年はちょっとリズムに変調をきたしているようだ。
 2月には3月決算のリパトリ玉の円買いも出てドル円の頭を抑えることもあろう。また概ね120円台で外貨投資を増加させたGPIFや機関投資家のヘッジの外貨売りも出る場面もあり一方的な円売りとはならないだろうが。もちろん暫くすれば貿易赤字となるか黒字になるかトレンドがはっきりして相場もわかりやすくなると思う。今週はGDPの他にGPIF理事長の講演も注目したい

*米ドル「通貨9位、株価(NYダウ)5位、FRBは米中貿易戦争の悪影響を懸念」 

 米中通商協議が進展していないようだ。トランプ米大統領は中国との通商協議の期限である3月1日までに習近平国家主席と会談する計画はないことを確認した。貿易不均衡問題で中国を非難しておいて、貯蓄不足という根本的問題の解決には着手せず、関税やその他制裁手段で中国の対米貿易を抑制すれば、最終的に米国は世界のさらに生産コストの高い国と商売をせざるを得なくなる。その結果は、米国の消費者にさらに高い税を課すことと変わらない。
 また米中貿易戦争の影響が他国にも及んできて日本の製造業は減益、また輸出の伸び悩みも見られる。中国は時折、大豆輸入増加などを掲げて米国をなだめるがそんなことが長続きするわけはない。今週の米中閣僚級会議も難航が予想されるし、いい結果がでても表面的なものか持続性のあるものかチェックしないといけない。
 FRBはトランプ大統領の威嚇よりも前に利上げ打ち止めの考えを持っていたように思う。最近はまだ雇用も強いが、米中貿易戦争による世界経済の停滞、減速を予測していると思う。
米中貿易戦争、ねじれ国会による政策の停滞、大統領選挙によるロシア疑惑、財政の崖、国境の壁、ベネズエラ問題、北朝鮮問題と自ら作った難題に苦しむ大統領だが、民主党の次期大統領候補にも決め手がない。混乱はまだ続きそうだ。

*ユーロ「通貨11位 株価(独DAX)14位、ブレグジットのポンドより通貨、株価ともに力なく」

 ブレグジットの主役の英国よりも通貨も株価も弱いユーロ圏となっている。強弱マチマチな米国経済指標と比べ、総じて弱いユーロ圏の経済指標となっている。ただそれでも年初来、対円で
1.1%安、対ドルで1.22%安、独DAX株価指数が3.29%高(日経は1.59%高)にとどまっているのは経常黒字国の意地であろう。今週は独4Q・GDPの発表があるが、これも前年同期比0.8%成長にとどまる予想だ。既に発表されたユーロ圏4Q・GDPも前期の1.6%成長から1.2%へ減速している。
 クーレECB専務理事は、ユーロ圏の景気減速は従来の予想より長く、幅広いものとなる恐れがあるとの考えを示した。「ユーロ圏経済が持続的で深刻な減速に直面していると結論付けるために十分な証拠はまだ得られていないと認識している。現時点では、減速がこれまでの予想よりも幅広く、長引く可能性があることが挙げられる。将来的にこれまでになかった新しい状況に直面した場合、われわれは再び創造的になり、効果的な措置を打ち出すことができると確信していると述べた。

*英ポンド「通貨4位、株価10位、いつになく好調なポンドとFT株価」

 ポンドは年初来、対円で1月1.64%高、対ドルで1.52%高。FT株価指数は5.1%高(日経は1.59%高)で、EU離脱を前に英国が売られている感じはない。英中銀は、政策金利を0.75%で据え置いた。ブレグジットを巡る不確実性や世界的な景気減速を踏まえ、19年の経済成長率予想を10年ぶりの低水準に下方修正した。英国は3月29日にEUを離脱することになっているが、政府の離脱合意案は議会で否決され、メイ首相はEUからさらなる譲歩を得ようとしている。 英中銀は、19年の成長率予想を昨年11月の1.7%から1.2%に引き下げた。引き下げ幅は、16年の国民投票直後以来最大で、1.2%は世界金融危機以降で最低となる。20年の成長率予想は1.7%から1.5%に引き下げた。21年は1.9%に回復すると予想した。 また2年後のインフレ率について、中銀の目標である2%をわずかに上回る2.1%と予想し、市場の想定よりも金利が上昇する可能性を示唆した。
 ここまで書いてくると、通貨、株価は問題なし、ブレグジットで混乱はあっても21年には2%近い成長、金利もいずれ引き上げられるとなっている。あまり問題がないように思える。
問題は手続きで、残留派のメイ首相が離脱交渉を行っていることと、英国とEUで合意した内容を議会が否決できること(正しくは議会で下した内容でEUと交渉すべきではないだろうか)。
 また政治、経済、国民生活でブレグジットでの手引きのようなものが作られている。これだけ準備されているパニックはないのでは。リーマンショック以前から株や土地が暴落しますよと
警告しているようでもあるし、リーマンショック程深刻なものでもないだろう。

*人民元「通貨5位、株価11位、重い雰囲気の中で米中通商協議、貿易収支発表」

 年初から資源国、新興国通貨が強く、円も対ドルでは小動きだが全体では円安となっていた。また世界のどの国の株価市場もプラス圏にあるのも米中貿易戦争の終結を期待していたからだ。ただ先週はその流れが変わった。トランプ米大統領は、中国との通商協議の期限である3月1日までに習近平国家主席と会談する計画はないと発言した。時折、中国が米国産大豆輸入を再開したと報道されていたが、大豆だけでは市場へのインパクトが薄れていた時の大統領発言であった。今週は再び米中通商会議が再開する。春節休暇を終え、上海株式市場も再開、中国の1月貿易収支も発表される。貿易収支では、その黒字の多寡ではなく、貿易全体の縮小があるかどうかに注目したい。中国の貿易縮小は世界の貿易の縮小に繋がりリスクオフとなってしまう。米中間では華為技術CFO拘留問題や中国製通信機器使用禁止の大統領令署名も控えている。この重苦しい雰囲気の中で米中交渉が上手くいくのだろうか。

3.「豪ドル、NZドル、南アランド、トルコリラ」

*豪ドル「通貨7位、株価6位、下落、ロウRBA総裁が手のひら返し。ここにも米中貿易戦争の影響」

 住宅投資、消費などは弱いが米中通商会議の進展観測で資源価格とともに上昇していた豪ドルだが先週は水を差された。ロウRBA総裁は「ここ1年間は、次の金利の動きは下に向かうよりも上に向かう可能性が高かったが、現時点ではその可能性はより均衡しているもようだ。次の金利変更が利上げになるシナリオも、利下げになるシナリオもある」と述べた。下方リスクとして、米中貿易摩擦、世界的なポピュリズムの台頭、英国のEU離脱に伴う混乱、逆風が吹く米国政治、中国経済の減速を挙げた。「持続的な所得の伸び悩みと住宅価格の下落が重なれば望ましくない組み合わせとなり、景気の見通しは弱まるだろう」とした(ただ本誌では前回、金利の次の動きは上向きになる公算が大きいとの議論を正当化することはこれまでより難しくなるだろう、としていたので大きな意外性はないが、市場は新鮮に驚いたようだ)。

*NZドル「通貨8位、株価12位、雇用悪化もあり中銀は慎重か」

 今週は政策金利決定があるが、インフレ期待が改善した中で雇用統計が悪化し据え置きとみられる。4Q・CPIは前年比1.9%と予想の1.8%を上回った。乳製品価格も大手フォンテラ社のオークションで5回連続上昇し、利下げへの道が後退しNZドルは上昇したが、4Q雇用統計の悪化で先週は反落した。18年4Qの失業率は4.3%となり、予想の4.1%を上回った。雇用の伸びは0.1%となり、前期の1.1%から減速した。予想は0.3%増。労働参加率は前期の71.1%から70.9%に低下した。賃金は前年同期比2.0%増え、伸びは前期の1.9%から増加。これでは中銀も慎重な姿勢を継続するしかないだろう。これに加え米中通商協議も先週行き詰った観測もあり、ボリバン下限の73.0あたりへ下落余地もある。

*南アランド「通貨首位、株価最下位、7週ぶり陰線の原因は、通貨最強、株価最弱」

 あの1月3日の急落も含めて6週連続陽線を続けていた南アランドも先週は陰線となった。日足、週足がボリバン上限に達したところで米中通商協議が行き詰まり下落となった。今週は中国市場も再開され、さっそく貿易収支の発表となる。米中通商協議では閣僚級会議もある。議論が後退すれば資源国通貨の下落や世界全体でリスクオフのムードとなってしまう。
 南アの大きな懸念、電力会社エスコムの債務問題だが、ラマポーザ大統領は施政方針演説で、多額の債務を抱える国営電力会社エスコムを発電、送電、配電の3社に分割する方針を表明した。 「エスコムは危機にあり、南アにもたらすリスクは非常に大きい。われわれは大胆な決断と断固たる行動が必要だ。その結果は痛みを伴うだろうが、先送りすればもっと悲惨な事態になる」と述べ、5月8日に決まった議会選挙を前に、経済を立て直すにはエスコム問題を解決することが重要だと訴えた。大統領は観光客のさらなる呼び込み、非戦略的とみなす国営企業の株式売却の検討、土地改革加速を通じた農業生産増加などを実行すると約束した。

*トルコリラ「通貨6位、株価2位 、経常黒字継続で来るか、外交不安」

 1月は米中通商協議進展期待で上昇したが、ボリバン上限で米中通商会議の行き詰まり観測が出てリラなど新興国通貨や資源国通貨が先週反落した。今週は再び米中通商協議が再開する。18年8月のリラ急落からの回復は経常収支の改善によるものであるが、今週は12月分の発表がある。4か月連続の黒字となっているが11月に黒字が減少したのが気になる。リラ安効果の剥げ落ちか。12月鉱工業生産や小売売上の発表があるが弱い予想だ。
 経済指標悪化はリラ安ショックと世界経済の減速によるものだが、やはりこれまでも何度か指摘しているように、対外関係の不安も売り材料となる。米国のシリア撤退によるテロ組織YPGとの衝突、カショギ氏暗殺によるサウジアラビアとの関係悪化、ベネズエラ支援による対米関係悪化、中国のウィグル人権問題をトルコが批判したことによる対中関係の悪化、フランス政府が毎年4月24日を「トルコでのアルメニア人虐殺の記念日」としたことなど、もめ事は多く拡大すればリラ売り材料ともなりかねないのがリラの特徴だ。

4.テクニカル「主要3通貨ペアテクニカル」

*ドル円=「1月31日-2月1日の上昇ラインを下抜く。2月4日のレンジを4日抜けず」

日足、1月31日-2月1日の上昇ラインを下抜く。2月6日-7日、1月4日-31日の上昇ラインがサポート。2月7日-8日、2月4日-7日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。ボリバン上位。
週足、1月21日週-28日週の下降ラインを上抜くが先週は上ヒゲ長し。1月14日週-1月28日週の上昇ラインがサポート。12月10日週-17日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、12月-1月の下降ラインを上抜く。1月は下ヒゲ長し。18年10月-11月の下降ラインが上値抵抗。16年6月-19年1月の上昇ラインがサポート。
年足、3年連続陰線。16年-17年の上昇ラインを下抜く。15年‐17年の下降ラインに沿う。

*ユーロドル=「5日連続陰線でボリバン下限」 

日足、5日連続陰線。ボリバン下限は1.13あたり。2月7日-8日、2月1日-5日の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下限。5日線上向き。
週足、1月21日週-28日週の上昇ラインを下抜く。11月12日週-1月21日週の上昇ラインがサポート。1月7日週-1月28日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、18年11月-12月の上昇ラインを下抜く。18年9月-19年1月の下降ラインが上値抵抗。
年足、17年-18年の上昇ラインを下抜く。14年‐18年の下降ラインが上値抵抗。02年‐17年の上昇ラインがサポート。

*ユーロ円=「ボリバン上限越えから4日連続陰線」 

日足、ボリバン上限越えから4日連続陰線。1月25日-2月1日の上昇ラインを下抜く。ボリバン下限は123.75あたり。2月5日-6日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き
週足、5週連続陽線ならず。1月14日週-1月21日週の上昇ラインを下抜く。12月10日週-2月4日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下限は122円後半。
月足、10月-12月の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下限を下抜いて漸くバンド内へ戻る。16年6月-19年1月の上昇ラインがサポート。
年足、16年-17年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。12年‐16年の上昇ラインがサポート。

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 内需拡大-規制緩和-市場開放-小政府-財政均衡-自己責任-公明正大  ドル円=50―超円高-100―円高-150-普通円-200―円安-250-超円安-(短期は自由奔放、長期はこれで) 「世界一のデフレと物価高の共存が日本の弱点」「国を選ぶ時代」FSIG FX湘南投資グループ 代表 野村雅道 専修大学、中京大学講師(事務所 横浜田園、山下公園、伊豆稲取) 

FX湘南投資グループ代表
野村 雅道(のむら・まさみち)氏

1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行、82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。

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