野村雅道のID為替 (レポート)|FXブログ|外為どっとコム

再び不毛の論争か 米国の貿易赤字は自らが生み出したもので 他国のせいではない

「再び不毛の論争か 米国の貿易赤字は自らが生み出したもので 他国のせいではない」

 為替ディーラーとしては=「米中貿易戦争」と呼ばれ、貿易不均衡を是正するために報復関税合戦となっているが、そういう騒動も最終的には貿易収支尻に現れてくるものであるので、そこを見て相場観を調整したい。もちろん貿易戦争関連のヘッドラインニュースで相場が一時的に乱高下するが、それに対処するのは「デイトレのスキル」だけであり、政策の中味とは関係がない。ただ関税操作では貿易不均衡は中長期的には是正されない。


(一国の経常収支の黒字・赤字の原因)

一国の経常収支の黒字が大きいのは それを構成している家計・企業・政府のそれぞれの経常収支が平均的に大きな黒字となっているからである。逆に
米国の一国全体の経常収支が赤字となっているのは、米国の個々の家計の貯蓄率が低く、また企業の配当率が高くて内部留保の比率が低く、さらにとりわけ連邦政府の財政が大幅赤字となっているからだ。

 現在の米国の家計・企業の貯蓄・投資比率は、米国の諸制度の舌でそれぞれの家計・企業が最善と考える選択の結果である。米国の低い貯蓄率も 財政赤字も、米国民が選んだものであり、他国が押し付けたものではない。

 米国人が自国の貿易赤字は望ましくないものと考えるのであれば(=小宮教授は必ずしもそうとは考えないが)、米国の消費者(家計)が消費を切り詰めて貯蓄率を高め、住宅や耐久消費財の購入を抑制し、企業が配当率を低めて内部留保(企業貯蓄)を厚くすべきである。そして何よりも米国政府の財政赤字を削減すべきであり、財政支出を抑制し、増税を実施すべきである。

 これらのことについては米国の自助努力によるより他はなく、他国は寄与出来ない。米国民が低い貯蓄率と大きな財政赤字を自ら選び、大きな貿易赤字を自ら選んでおきながら米国の貿易赤字はどこか他国のせいであり、嘆かわしいことであるかのように言うのはまったく見当違いである。それは酒飲みがガブガブとさかんに酒を飲みながら、「飲酒はよくない、俺に酒をよこすな」と喚いているようなものである。
米国の貿易赤字を生み出しているのは、米国人(消費者、企業、政府)自身である。

 以上は、「貿易黒字・赤字の経済学」小宮隆太郎(東洋経済)1994年からであり、日米の貿易不均衡の論争はこれで落ち着いたと思っていたが、今度は米中主導で繰り返すようだ。

その他、貿易黒字国が貿易赤字国に不利益をもたらしているわけではない、失業の輸出ではない、貿易黒字が得で貿易赤字が損ではないなどを「貿易黒字・赤字の経済学」は説明している


*日本の貿易黒字が是正され赤字となったのは東日本大震災後の2011-15年で復興のために支出を伸ばしたからである。投資を伸ばし貯蓄を減らせば経常収支は調整される。原発停止で原油輸入が増加したり、
大量介入も寄与した。


*今回の関税報復合戦は米国のためにならず。興奮したヘッドラインニュースで為替のボラティリティを高めることで潤うのは為替の短期取引だけである。
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FX湘南投資グループ代表
野村 雅道(のむら・まさみち)氏

1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行、82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。

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