野村雅道のID為替 (レポート)|FXブログ|外為どっとコム

「勝つためには貿易収支と喧嘩しない、2006年に貿易・所得収支の大逆転。経常黒字と貿易黒字の円買いの違い」

勝つためには貿易収支と喧嘩しない、2006年に貿易・所得収支の大逆転。経常黒字と貿易黒字の円買いの違い

①「1971年の変動相場開始以降は円高相場が続く」

 大きな要因は貿易黒字、経常黒字である

 その中で円安になる時は貿易黒字の減少(バブル時)、貿易赤字(東日本大震災)、大規模円売り介入
 米リパトリ(2015年)などがあった


②「介入」


円高の歴史なので円売り介入が多く、円買い介入は少ない。円買い介入の代表としてはプラザ合意、1993年あたりのバブル崩壊以降、1998年アジア通貨危機などの時に行った
 需給で自然と円高になるので円買い介入をすると大きく加速した

③「2006年大逆転」


経常黒字と言えば1980年代はほぼ貿易黒字であったが、その後 所得黒字が増加し続け、2006年には ついに貿易黒字を上回り 今や大きな差をつけている

 いつか経常黒字はイコール所得黒字の時代になるかもしれない。年間20兆円にもなりつつある経常黒字は、日本の対外純資産349兆円(2018年末)の利子や配当である

 利子、配当の合計が軽く貿易黒字を上回るのだから日本も大資産国になったものだ。貿易より紙の取引による黒字が大きくなった

④「経常黒字と貿易黒字の円買いの違い」

*ただ所得黒字がその膨大な数字と同様に円買いが出て円高を招くかというと少し割り引かないといけない。もちろん円売り要因ではないが。
 対外純資産のうち、約3分の1は外貨準備であるので、その利子等は通常円転されない(してもいいが)。従って所得黒字の3分の1は円買いを伴わない。

また残り3分の2は民間の利子、配当である。集積すればこのように巨額となっているが、個別には所詮、元本の数%のリターンに過ぎない小さなもの。
私のような泡沫個人投資家でさえ外貨での利金は円に換えずに外貨のまま貯めていることが多い。機関投資家もそういう傾向が強いのではないだろうか。
 所得黒字はその膨大な黒字ほどには円買いにはつながっていない


⑤「やはり為替を動かすのは貿易収支」

円建て貿易であろうとドルや外貨建てであろうと日本からの輸出ならば日本か輸入相手国で円買いが起きる。

大きく円安に触れる時は貿易黒字が減少したり、赤字に転換した時。代表的なものはバブル(黒字減少)と東日本大震災(赤字転換)。
 赤字になれば円安となり景気が回復することはいうまでもない。株も高くなる。米国はずっとこのパターンである。通貨安競争のトップランナーが米国
だからG20で通貨安競争を避けるように求めてくる。


⑤「機関投資家の為替相場への影響」

機関投資家は円安に貢献するのか、答えは否。外貨を買い終えれば、輸出業者と同じ立場となり、利息分を加えてドル売りとなる。機関投資家は買うときはコツコツ買うが
売る時は、買いためた分を利息を含めて一斉に売る。包括的にヘッジ売りも行う。個人やヘッジファンドも同じ立場で、相場のトレンドとは関係がない。いや利息分だけ元本が増えるので
最終的には輸出業者と同じくドルの売り手。貿易黒字の下で、機関投資家の一斉ヘッジが起きるとドル円の暴落が起きる


⑥「ヘッジファンドのことを10倍くらい過大にとらえている」


 大学教授まで誤解しているのはヘッジファンドのことである。前述のように生保や個人と同じ立場なのだが、その規模を約10倍過大に捉えている。
 BISや各国中銀は何故か為替取引の出来高に為替変動とは関係がなく、金利取引である為替スワップ取引を一緒に集計している。為替スワップの取引は通常の変動を伴う
為替取引の10倍程度ある。そのややおかしな為替取引総計から貿易分を差し引いたものを投機筋と捉えている。10%程度の貿易取引なんて為替に関係がないとして、相場は投機筋が動かし
規則性のない不可思議なものと結論づける。実際はヘッジファンドの取引こそ取るに足らないものである。これまでももう十分説明したが それでも理解できない方は
世界の名だたる銀行のディーリングルームでも見学して、実需とヘッジファンドがどちらが多くディーリングルームにプライスを求めてくるか見れば一目瞭然である

 もし誤解しているほどヘッジファンドの取引が多いならば 各銀行は人員を何倍にも増やさないといけない。幸い各銀行はそれなりにゆったり働いている。
実需取引を理解することこそ為替がわかる近道だと思う。

⑦ 関連表など

以下の表は変動相場制以降の経常、貿易、所得収支である。1984年まではドル建て、1985年以降は円建てでの表記となった。

さらにヘッジファンド取引の規模を誤解させてしまう為替出来高の集計表も追加しておきたい
***勝つためには貿易収支と喧嘩しないことだ。機関投資家やヘッジファンドとはいくら意見を異にしてもいい***


*表1 貿易収支と為替の関連がわかる。貿易収支と所得収支が2006年に逆転
bouekikeijyou1.JPG

*表2=1984年までは貿易収支はドル建てで公表されていた

bouekikeijyou2.JPG

*表3=為替変動とは関係のないスワップ取引を投機筋の為替取引として誤解を招く表
bouekikeijyou3.JPG

FX湘南投資グループ代表
野村 雅道(のむら・まさみち)氏

1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行、82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。

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