野村雅道のID為替 (レポート)|FXブログ|外為どっとコム

年金は渡辺さんでいい、黒田総裁、伊藤教授の発言にも関して

「年金は渡辺さんでいい、黒田総裁、伊藤教授発言にも関して」

*昨日の黒田実効為替相場発言による円高で気になったのは年金GPIFのこと。あれっ、国策で外債や外株でドルを買っているのに 日銀が円高誘導して年金財政を棄損させていいのだろうかということであった。これまでも日銀総裁は無用に円高発言をして生保などを苦境に陥れていたが、現在は我々の大事な年金が外貨投資を積極的に進めている。配慮はないかなと思った。

*昨日 日銀総裁は「日本郵政や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)との「協力」については否定している。国策的機関投資のポジションには関与しないということであった。それもいいだろう。


*さてGPIF関連ではすでに改革を主導したコロンビア大学大学院の伊藤隆敏教授は、GPIFが昨秋に決めた新たな運用比率について「かなりの部分が実現できた」と評価し、来年半ばにも目標値に到達するとみている

*GPIFの運用動向については、まだ昨年10-12月分までしか公表されていない。ただ10-12月分のペースで外貨運用を拡大していくと
私の試算では6月あたりまでで目標値に達する(本リポートで既報)。藤教授が来年半ばとしたことは、やはり円安(対ドル)が急すぎて投資ペー

スを抑えることかもしれない。試算140兆円として外債が15%、外株が25%とすると、それぞれ21兆円、35兆円 合計で56兆円(約4550億ドル)
 日本の対外純資産は366兆円なのでそのうちの15%(日銀外貨準備は1兆2450億ドルで153兆円で41.8%)。対外純資産といっても半分以上が公的なもの。公的なものとは国民のものでもある。


*これだけ資産が巨額となると、その為替ヘッジは難しい。外貨準備はヘッジはしない。GPIFのヘッジの話が出ることもあるが、原則はヘッジ取引を否定している。元為替ディーラーの運用委員がヘッジの必要性を説いたが、これだけ巨額になると実務上難しい

*適切なヘッジは3割と生保の方から聞いたことがあるが、56兆円の3割は18.6兆円。約1500億ドルを機動的に一時期に動かせば為替相場は大きく動いてしまう。1500億ドルは東京市場の日々の市場出来高に近い。では小さな金額だと収益的に意味がないだろう

*為替ディーラー的にはポジションをひっくり返したりするのが醍醐味だが、4550億ドルをどうやって消化するのか。ひっくり返すには約1兆ドルの売り買いを行うこととなる。

*個人的にもヘッジは難しい。両建てポジションを持つようなもので、下げればうれしいのか、上がればうれしいのか悩む。一つのポジションでも悩むのに二つの正反対のポジションを持つとわけがわからなくなるだろう。そんな巨額な為替を取り扱ったディーラーはいない。私で最大が1回で10億ドル程度。それでも市場でさばくのは相当苦労する。途中で市場が薄くなってしまい、スプレッドが5銭、10銭と広がっていく。10億ドルの100倍以上は実務的に無理でやれば、あの1日で12円、2日で24円動いた1988年10月のヘッジファンドの損切り相場以上のものとなる。 一瞬で年間の収益が出たり、損が出たりする

*ヘッジで簡単なのは、満期や処分が近い債券や株の為替を思惑で売ってみることである。GPIFのヘッジはそうではなく、巨額のデイトレとはいわないが、巨額の短期取引となる。

*年での外貨投資は腹を据えて永遠に持ち続けるのがいいのだろう。ただ世間は評価損を許さない人もいる。個人は評価もしないし、余裕資金であやっている。駐車場経営のようなもので、その土地の評価額の上げ下げはどうでもいいが、駐車料だけ入ってくればいいのである。それを年金と支払う。

*FXは2000年ごろから活発化した。高金利狙いは危険で、事実リーマンショクやギリシャショックでハイレバで失敗した方もいる。
 年金はレバをかけていない。ヘッジもせずに悠久に持てばいい

*ちなみに2000年からのFX相場推移。この利益に金利が加わる。私の保有ポジションでも金利収入が為替益以上のものがいくつかあった。

(以下 本日のデイリーのブログより、GPIFもこれでいいのではないか、年金は悠久、受けとる人も永遠にいる)

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「スワップ狙いは成功か失敗か」

ビッグバン直後から 2000年 2015年   15年間
現在まで 1月始値 6月10日 変化率%
ドル円 102.14 122.73 20.59 20.16
ユーロ円 102.89 138.95 36.06 35.05
ポンド円 164.92 190.4 25.48 15.45
カナダ円 70.72 100.02 29.30 41.43
豪ドル円 67.04 95.01 27.97 41.72
NZドル円 53.58 86.65 33.07 61.72
スイス円 64.22 131.67 67.45 105.03
ランド円 16.67 9.97 -6.70 -40.19



*FXが始まったころに一番目のバス、二番目のバスにのり、まだ乗り続けている
 人は成功
*リーマンショックやギリシャショック、○○ショックは絶好の買い場など危機を喜々ととらえるのが私のやり方。人間は危機に頑張る、そこから這い上がる
(ただ2つほど失敗している、危機でもぐーたらな人や騙す人がいた)

*高金利と大きな為替差益を両方取ろうとするのは強欲
*高金利通貨は下落しやすいが、アップダウンするし、ゼロにはならない。インフレ懸念があれば通貨が戻る時もある。ピンポイントで為替益も加わる可能性もある(ただ原則は金利で儲けたい、元本を棄損すると高金利が入らなくなる)
*GPIFもこれでやってほしい

FX湘南投資グループ代表
野村 雅道(のむら・まさみち)氏

1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行、82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。

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