野村雅道のID為替 (レポート)|FXブログ|外為どっとコム

米ドル一人勝ち、ほぼ円高で急激な円安ではない=先週

     10/6(月)「米ドル一人勝ち、ほぼ円高で急激な円安ではない=先週」

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総括「米ドル一人勝ち、ほぼ円高で、急激な円安ではない=先週」 
その他通貨「豪ドル、NZドル、南アランド、米ドル上昇と資源安で下落中」
テクニカル「主要3通貨ペアテクニカル」
当局・円無常・需給「世界的にも通貨安だが物価安。日本だけ物価高」
ID為替「先週もほぼ円高、表参照
リスク「長引くイラク、イラン、パレスチナ、北朝鮮」
横浜湘南便り「プロジェクション・マッピング」

ドル円=107-112、ユーロ円=35-140、ユーロドル=1.23-1.28

日経インデックス10月3日東京引け9月26日からの変化(2008年=100)円96.1強し、ドル107.3強し、ユーロ94.1同、ドルインデックスINNYBOT86.65強し、CRB276.34弱し、原油89.74弱し、金1191.07弱し、DOW17009.69弱し、日経平均ドルベ-ス東京引け144.24弱し、IMM円投機筋9月30日 円-120878(前週比-15456)、ユーロ-137525(前週比+4440)

1.(今週の予定) 

6(月) シドニー休場(レイバーデー)  独 鉱工業受注
7(火) 日銀金融政策決定会合  景気動向指数・速報値  RBA政策金利 独 鉱工業生産 スイス 消費者物価指数 英 鉱工業生産
8(水)日 経常収支 貿易収支 貿易統計 企業倒産 日銀経済月報 景気ウオッチャー調査 中 サービス部門PMI スイス 失業率 加 住宅着工件数 FOMC議事録(9月16・17日分)
9(木)G-20 日 機械受注 豪 雇用統計 独 貿易収支 経常収支 BOE政策金利 米 新規失業保険申請件数
10(金)IMF・世銀総会、G-20、日銀議事要旨、日 第3次産業活動指数 消費動向調査 スイス 小売売上 英 貿易収支 加 雇用統計

 (来週の予定)

13(月) 東京休場(体育の日)、 トロント休場(サンクスギビングデー)、ニューヨーク休場(コロンブスデー)
14(火)南ア 小売売上高 仏 消費者物価指数 英 消費者物価指数 生産者物価指数 ユーロ圏 ZEW景況感調査 圏鉱工業生産
   独 ZEW景況感調査
15(水)英 雇用統計 米 小売売上 生産者物価指数 ニューヨーク連銀製造業景気指数 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
16(木)ユーロ圏 消費者物価指数 貿易収支 米 新規失業保険申請件数 鉱工業生産 フィラデルフィア連銀景況指数 NAHB住宅市場指数
17 (金)米 対米証券投資 加 消費者物価指数 米 住宅着工件数 建設許可件数 ミシガン大消費者信頼感指数
 
2.総括 主要通貨「IMF・世銀・G-20、日銀・RBA・BOE政策金利、FOMC議事録、日 国際収支、豪 雇用」
 
 「急激な円安」との報道が多いが、先週は、ほぼ円高であった。円は対ドルだけで弱かったが、他の通貨に対しては円高推移した。
去年は全面円安であったが、今年はここまで円は主要9通貨で4位である。報道はさておき、事実は円安が進んでいないことが、昨年ほどの景気の良さが感じられないこととなっている。日経平均がまだ年初からマイナス圏であることも景気回復の実感がないところ。個人、機関投資家は米ドル以上に他国通貨に投資しており、そこで円安が進んでいないことも、昨年ほど可処分所得が増加して、お金が回転しているわけではないことが停滞感を生ませている。

 日本が対外純資産国である以上、円安が日本全体の利益となるので、大企業に留まりやすい利益を下請け企業などに回す調整が必要だろう。物価にしても、世界的に下げている中で、日本の物価が円安・消費増税を含めても上がり過ぎているようだ。公共料金の引き上げや便乗値上げが含まれているのだろうが、景気が弱くなれば自然に値下げ競争も今後出てくるだろう。

 私はアベノミクスで円安になっているのではなく、貿易赤字の定着がその要因であると思っているが、選挙対策上アベノミクスを攻撃せざるを得ない民主党は国会で円安を批判した。元の「円高、デフレ、株安、不況」を望んでいるかのようであった。引き続き円安傾向を格差を調整しながら進めていくことが日本の回復に役立つと思うが、政争で円高にしても、再び不況に舞い戻り、またやはり円安が好ましいという結論は目に見えている。ただ日本はまっすぐに行かずに、紆余曲折が好きなので、行ったり来たりはするかもしれない。ただ貿易赤字時代に円高を定着させることは出来ない。

 貿易黒字時代でも、200円を割りだした1986年から円高阻止のために介入、金融緩和、内需拡大策などいろいろと対策がとられていたが、結局、円高が反転せず、円安が定着し始めたのは、貿易赤字が定着してからだ。

 今週の日本は日銀政策決定会合がある。先週の国会で黒田総裁は「経済実態と合った形で円安になっていった場合、経済全体としてはおそらくプラスだろう」、「円安は製造業、特に大企業には非常に大きなプラスになるのに対して、非製造業は一部輸入品のコストが入ってくるので、マイナスにきく」、「消費者物価については2年程度を目途に、できるだけ早期に2%の物価安定目標を実現する、今年度後半にかけて、物価上昇率が少しずつ加速していく」と発言したことから政策は現状の緩和を維持するだろう。円売り需要が目立つ秋も深まっており、円安傾向はドル円では不変だろう。

 G-20の「5年で2%の成長押し上げる目標」とは逆に世界的に景気見通しを下方修正する国が殆どだ。その中で米国が好調だ。雇用統計でもイエレン議長の心配する労働の質は万全ではないが、非農業部門の雇用者数は予想を大きく上回り、失業率は2008年7月以来の5%台に低下した。次回FOMCで「相当な期間」のゼロ金利維持の文言が削除される可能性が出てきている。今週はFOMC議事録の公表があるが複数の地区連銀総裁が来年前半の利上げを示唆しているだろう。


 ユーロは先週のECB会合後のドラギ総裁の会見で

「為替レートは成長に重要だが政策目標ではない、経済見通しへのリスクは下向き、数カ月は低インフレが継続する見通しだが、2015年、2016年には上昇する、必要ならば追加措置を講じることで全会一致、利下げをさらに行うことはできない、ギリシャとキプロスのカバードボンド、ABSは条件付きで購入する」と発言した。具体的な資産購入額公表を市場は知りたかったが、かなわなかった。ユーロ圏の小売売上は予想を上回ったが、ドラギ総裁が言うようにまだ全体的には弱い指標が多く、米国景気指標の良さに押され下落した。今週は独の鉱工業生産や国際収支の発表がある。

 英国はカーニー総裁の利上げ示唆があり、前回会合でも利上げ賛成が2名いたので、金利変更はなくとも、資産買入枠(3750億ポンド)が減額される可能性はある。利上げ反対派では、ブロードベント英中銀副総裁が英国はまだ利上げに対する準備が出来ていない、フォーブス英中銀委員が著しいインフレ圧力を見せていないと発言している。

 中国は10月7日まで国慶節休暇である。香港の民主派デモの影響が再開の8日に出ると、資源国通貨の下落にも繋がる。また周人民銀行総裁辞任観測もありいい材料はないが、上海株価指数の上昇率は主要国で今年はトップに立っている。今後の政策期待や、香港・上海株の相互乗り入れが近々開始されることもある。

 今週は週末にIMF・世銀総会、G-20会合がある。G-20は9月下旬に開催されたばかりなので、景気見通し下方修正を避けるということが繰り返されようが、目新しいトピックはないだろう。

3.その他通貨「豪ドル、NZドル、南アランド、米ドル上昇と資源安で下落中」

 豪ドル、NZドル、南アランドは先週円高推移した。円が対ドルで売られる以上に資源国通貨が売られたからだ。中国景気減速もあり工業資源、農産物価格が下落、さらには米ドル高で通貨が下落している。

 豪は今週は政策金利決定と雇用統計の重要イベントがある。8月雇用統計はサプライズ的な改善を示したが、抽出サンプルの変更によるものとの見方が多く、豪ドル上昇に繋がらなかった。NZと同じく通貨高懸念はあるが、9月で対ドルで約700ポイント下落しているのでRBAも
少しは満足しているだろう。インフレは落ちついてきているが、2Qの数字はまだインフレターゲットの上限の3%であったので、政策金利は据え置きとなるだろう。鉱山業は弱いが、住宅投資は過熱している。RBA声明では「金融緩和継続、長期的には豪ドルは高い水準にある、鉱山業不振」などが取り上げられるだろう。政府の緊縮財政も家計を圧迫している。また政府は2014年成長見通しを引き下げている。
 ただ豪ドル円は秋の円の売り需要もあるので下げ止まっていくだろう。

 NZは週末に先の総選挙の最終結果が出た。速報では与党国民党は単独過半数を獲得していたが、最終結果では1議席減らし、単独過半数はならず。ただ連立の枠組みが出来ているので影響はないだろう。
 先週はNZ中銀が8月のNZ売り介入実績を公表して下落した。一時戻したが米ドルの上昇で再び下げている。実弾介入や強い通貨高懸念は主要輸出品目の乳製品価格の大幅下落によるものだ。インフレが落ちついている限り、通貨高懸念の表明は続くだろう。ただ住宅ブームはまだ続いている。キー首相は対ドルで0.65NZドルを目途としている。景気はやや減速しているが、4%台の長期金利と財政の良好さが海外の資金を引き付けるのだろう。国内要因では下げ止まりつつあるが、米国景気がさらに強まればNZドルも下落、NZドル円ではドル円も上昇するので、大きくは動かないだろう。

 南アランドは景気減速、雇用悪化でも株価がしっかりしていたが、このところの資源価格の下落、欧州景気の悪化で、ついに株価指数が5万を割り、南アランドもやや下落している。金利はインフレ懸念が強く、若干上昇している。マーカス総裁の期日での退任も一時売り要因となった。アフリカン・バンクの破たんもあり、4大銀行の格下げがあった。世銀、IMF、南ア中銀は成長見通しを引き下げている。
 景気減速と高いインフレのジレンマがあるが、7%前後の長期金利で海外からの資金流入は続いている。


4.テクニカル「主要3通貨ペアテクニカル」

*ドル円=米国失業率の改善で上昇したのだが、実は10月3日の東京での始値は10月1日-2日の下降ラインを上抜いていたのでチャートに素直な動きとなった。早速、10月2日-3日の上昇ラインを引きたい。8月8日-15日の上昇ラインもサポート。5日線は上向いた。まだ109円台でのもみ合い、団子天井の可能性もないわけではない。ボリバン上限は9月3日では110.47。
 週足では9月8日週-15日週の上昇ラインを下抜き、この上昇ラインは上値抵抗となる。先週は下ヒゲを残した。月足は9月の陽線でボリバン上限を越えてそのまま。月足は長い下降ライン1998年8月(147.63)と2007年6月(124.10)の下降ラインを上抜いた。直近では今年 2月-3月の上昇ラインを下抜いたが4月-5月の下降ラインを上抜いた。年足は2002年-2007年の下降ラインを上抜いた。2012年-13年の上昇ラインに沿っている。

*ユーロドル=下げトレンドが続く。10月1日-2日のつかの間の上昇ラインを下抜き、ボリバン下限も下抜いた。9月23日-24日の下降ラインも下抜いたので、そのラインは上値抵抗となろう。10月2日-3日の下降ラインはその次の上値抵抗。9月4日-8日の下降ラインはサポートとなっている。5日線は下向き。週足は8月18日週-9月15日週、7月14日週-8月18日週、5月5日週-6月30日週などの下降ラインが上値抵抗。7月14日週から殆どが陰線。週のボリバン下限は下抜いている。月足は7月-8月の下降ラインに沿う。今月もここまで陰線。5月の月足ボリバンの上限から下限へ達したのは5月のドラギ発言効果。年足は12年-13年の上昇ラインを下抜いている。

*ユーロ円=9月19日のボリバン上限越えで出た上ヒゲ効果での下落が続き、ボリバン下限に迫っっている。ドル円の上昇よりユーロドルの下落が速いからだ。9月19日-10月1日の下降ライン、9月23日-24日の下降ラインが上値抵抗。10月2日-3日の上昇ライン、8月8日-9月5日の上昇ラインがサポート。5日線は下向き。ボリバン下限は10月3日では136.67。週足は9月15日週でボリバン上限上抜きの長い上ヒゲで下落。9月15日週-22日週の下降ラインに沿う。ボリバン下限の135.92も近い。月足は2月ー3月の上昇ライン下抜いたが4月-5月の下降ラインを上抜いたまま。9月は前回書いた通り陽転。今月は陰線スタート。年足は08年-10年の下降ラインを上抜け、12年-13年の上昇ラインに沿う。たた今年はここまで陰線。

5.当局・円無常・需給「世界的にも通貨安だが物価安。日本だけ物価高」

 今年は鉄鉱石や乳製品価格が40%から50%下落して豪やNZが苦しんでいる。農産物、工業資源も下落している。その中で、いくら
円安と言っても、対ドルで4%程度、他国も対ドルでは自国通貨安である。他国は低インフレに苦しんでいる。日本の物価だけ上がるのは
為替、消費増税以外のものがあるのではないか。もともと国内デフレでも世界水準では物価が高い日本。この高さは国際競争力を失わせ、日本への海外からの投資を減少させるのではないか。

6.ID為替「先週もほぼ円高、表参照」

  急激な円安と言われているが、先週は対ドルを除き円高推移。 表は先週の選手通貨推移表。

 2014年2014年  
 9月26日10月3日
ドル円109.28109.770.49 0.45
ユーロ円138.6137.34-1.26 -0.91
ポンド円177.61175.25-2.36 -1.33
カナダ円97.9197.48-0.43 -0.44
豪ドル円95.7195.17-0.54 -0.56
NZドル円85.8985.25-0.64 -0.75
スイス円114.85113.45-1.40 -1.22
ランド円9.729.67-0.05 -0.51
     
     
ユーロドル1.26841.2512-0.0172 -1.36
ポンドドル1.62531.5966-0.0287 -1.77
ドルスイス0.95130.96730.0160 1.68
ドルカナダ1.11581.12580.0100 0.90
豪ドルドル0.87590.867-0.0089 -1.02
NZドルドル0.78610.7767-0.0094 -1.20
ドルランド11.242811.35160.1088 0.97

7.リスク「長引くイラク、イラン、パレスチナ、北朝鮮」
 
日中・日韓領土問題、北朝鮮暴発(北朝鮮開国?)、朝鮮半島統一、イラン、地震、テロ、外為取引税(トービン税)、日中国交断絶、
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 内需拡大-規制緩和-市場開放-小政府-財政均衡-自己責任-公明正大 50―超円高-100―円高
-150-普通円-200―円安-250-超円安- 「世界一のデフレと物価高の共存が日本の弱点」「国を選ぶ時代」FX湘南社是 「面白くしく」FSIG FX湘南投資グループ 代表 野村雅道 専修大学、中京大学講師(事務所 横浜田園、山下公園、伊豆稲取) 

8.横浜湘南便り「プロジェクション・マッピング」

 国重要文化財に指定されているドックヤードガーデンでの最新の空間演出 「プロジェクションマッピング」。
 高さ約10 メートル・横幅約29メートルの船型の石壁に沿って映像を投影、屋外では日本初の“180度体感型
 

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FX湘南投資グループ代表
野村 雅道(のむら・まさみち)氏

1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行、82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。

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