世界と日本の経済と市場展望

4つの資産〜満ち足りた人生を手にする鍵

短期的な世界経済の3つの結論

2007年、世界経済を大きく揺るがした最大の要因はやはり、サブプライムにつきるということであります。しかしサブプライムというような問題があればこそ、日本の株式市場はかつてない買い場を提供してくれているとういうのもあると思います。私は、三つ結論を考えております。
 第一の結論は、世界経済は来年、再来年とむしろかなり活況を呈していくだろうということです。多くの人々は世界経済は来年リセッションに陥るという心配をしております。特にアメリカ経済は悪化するという見通しをしていると思います。私の意見はむしろ逆ですね。世界経済も日本経済も目先の踊り場を経て、後半はかなり力強い活況になっていくのではないかということ考えています。
 第二の結論はそのような環境の下で世界的な株価上昇ということが再び起こると思います。そのような株価上昇の中で日本の株価というのは非常に魅力度を増す、世界の中で日本の株式のパフォーマンスがかなりアウトパフォームしていくということが、予想されると思います。
 第三の結論は、おそらくドルは相当売られて今、陰の極に近いのではないか。現時点(2007/12/10)の1ドル110円を超えたあたりの円高のレベルというのは今後2年くらいを考えると一番の円高ではないか、しばらくはドル高円安という基調のもとでフレームを考えていいのではないかということです。 というこの三点を、わたくしは結論として考えています。
しかし、これは二年くらいのフレームワークの結論でありまして、三年から四年先になりますと話は異なってくる。まず、三年から四年先には今以上にさらに深刻な世界的な景気後退のリスクがさらに高まると思います。そのような局面において日本の株価は堅調かもしれないんですが、世界的には株価の調整場面がやってくると思います。そして三年から四年さきには1ドル110.円をこえる相当な円高がやってくるだろうと思います。このように3年から4年先に状況が大きく変わるのは世界経済の大きなトレンドがようやく10年サイクルの調整場面にはいっていくことが予想れるからであります。つまり、景気、株価、為替それぞれが2年くらいの周期的なフレームワークと、3年から4年のフレームワークで結論は大きく変わりうるということがいえると思います。


アメリカ経済がリセッションに入らない3つの理由

サブプライムの問題を本当に議論するためには、やはりアメリカ経済がどれほど健全な状態にあるか、どれほど危険な状態にあるかの知見なしに議論できない。一番重要なことは、アメリカ経済がどれほど健全であるかと言うことであります。アメリカ経済がいつまで順調に景気を拡大できるか?あるいは、いよいよリセッションに入ってしまうのか?の見極めをする場面に入ってきたのであります。私は、アメリカの経済がリセッションにはいる可能性は、まずないとかなり強く主張しております。そのように考えている最大の理由は、普通、アメリカ経済がリセッションに入るときは、必ず起こる非常に重要な現象が3つ起こっていないことが明らかであるからです。
 まず1点目に、アメリカの労働分配率です。明確なのは労働分配率がピークを迎えたときにリセッションに陥ると言うことである。なぜ、労働分配率がピークを迎えるとリセッションが起こるかといいますと、企業の成績がよいとどんどん人を採用し、人件費が負担して重くなると今度は人のクビ切りをはじめそれが原因となって給料が減って人々の消費ができなくなる。このように考えますと過去50年間アメリカの景気変動をもっともリードしてきた要素と言うのは、アメリカの人件負担だったと言うことであります。さて、この人件負担、労働分配率が今、どういう状況かといいますと過去最低の水準から少し上昇したところにあります。レベルの低いところにあります。このような状況でアメリカ経済でリセッションをしたことはなかったと言う点からしますと、アメリカ経済がリセッションにはいる第一の非常に重要な条件がまだそろっていないということになります。
 2点目は、企業の借金の増加、バランスシートの膨張であります。つまりバランスシートで借金がもっとも膨れたときは、いずれもリセッションが始まったときであります。つまり、アメリカの経済がリセッションにはいる2番目の条件は借金のピーク。景気がいいときには前後の見境なしに規模を拡大するためにどんどん借金をする。しかし、それが維持できなくなって景気が悪くなるわけですから同然、好況のピークは借金のピークであります。
 3点目にアメリカ経済がリセッションにはいる理由とはインフレリスクにともなう長短金利の上昇です。これはで言うまでもなく起こっていません。つまり、労働分配率、企業の借金、バランスシート、そして長短金利の上昇このどれもが起こっていない。
  このような局面において、アメリカ経済がリセッションにはいったということは過去50年振替ってみても、一度もない。逆に言えばこの3点が制御できないようになるとアメリカ経済はリセッションに入ると言うことになります。ということになりますと、今のアメリカ経済が直ちにリセッションにはいる可能性は極めて少ないという結論になります。

国際ジャーナリスト 蟹瀬 誠一(かにせ・せいいち)氏
ドイツ証券株式会社副会長兼CIO
武者 陵司(むしゃ・りょうじ)氏

1949年生まれ、長野県出身。73年横浜国立大学卒業後、大和證券に入社。調査部・産業アナリスト、大和総研アメリカのチーフエコノミスト、大和総研・企業調査部長を経て、97年ドイツ証券に入社。株式調査部長兼チーフ・ストラテジストとして活躍され、現在ドイツ証券株式会社副会長兼CIO(チ−フ・インベストメント・オフィサー)。世界屈指の外資系金融グループ・ドイツ証券でチ−フ・インベストメント・オフィサーして活躍されており、独自のマーケット分析には国内外で高く評価されている。



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