下半期のマーケット展望
サブプライム問題は通過点、景気は再び堅調に推移
「ヘッジファンド」といっても、その中身は千差万別だ。年数10%という高いパフォーマンスを打ち出すものもあれば、お客から預かったお金を持って逃げてしまう連中まで、実にさまざま。
そのなかで、最近特に注目されているのが、「スーパーヘッジファンド」とも称するような巨大ヘッジファンド。彼らの特徴は、国家の力を背景にしている。というよりも、官製ヘッジファンドであり、その目的は国の富を増やすことにある。
JPモルガンの世界経済見通しは引き続き強気のスタンスです。サブプライムローン問題でアメリカの景気がスローダウンする兆しが若干見えてきているということで、今年の第3四半期から来年第1四半期あたりは少しスローダウンする見通しですが、来年の第2四半期から第3四半期あたりには回復してくるだろうということで、基本的にはサブプライム問題はそんなに懸念してはいません。@主要各国の政策金利がまだあまり高くないこと、A金融市場に資金がまだ溢れている(アメリカの株が最高値を更新したことがそれを示しています)こと、BBRICsをはじめとするエマージング(新興)諸国の台頭、C証券化によるリスクの分散が、サブプライムローン問題によるショックを吸収すると考えています。
円キャリートレード活発化の要因は金利差よりもボラティリティ
なぜそもそも円キャリートレード(円借り取引、円売り/高金利通貨買い)がそんなに活発化しているのか、つまり言い方を換えると、なぜ皆さんが証拠金取引を通じて円を売って外貨を買っているかということをひとつ御説明したいと思います。これは実は金利差だけじゃないんですね。金利差は2番目に重要なことなんです。一番目に重要なのはボラティリティ(変動率)なんですね。マーケットが乱高下するとボラティリティが高い、逆に横ばいで全然動かないとか、あるいは、淡々と上がっている、こういうのをボラティリティが低いといいます。
年末/年度末頃から再び円安基調が始まる
米国の一連の企業決算が終わって、「そんなに損は大きくないんだ」という話になったら、株が大きく上昇する可能性があります。そうなるとボラティリティは下がってくる(相場に一定の方向性が出てくる)、そうすれば再び円キャリートレードが始まる(円安が進行)するという話になります。先行き、まだまだ円安が続くんじゃないかと私がいうと、中には、「いや、今後日米の金利差が縮まるじゃないか」という人がおられると思います。今(10月4日)、日米の金利差は4.25%ですが、我々の予想では3.75%まで縮まります。問題はこれで円キャリートレードは終わるんでしょうかということなんですね。私はこれでは終わらないと思っています。確かに金利差がグーッと縮まってきてしまったら、円キャリートレードは終わります。こうなってしまったらボラティリティが低くなってしまっても駄目なのですが、4%前後の金利差が残っていれば、ボラティリティがポイントになります。

佐々木 融(ささき・とおる)氏
1967年生まれ。1992年上智大学外国語学部卒業、日本銀行入行。調査統計局、札幌支店を経て94年から97年まで国際局(当時)為替課に配属され、為替市場への介入や市場調査・分析を担当。98年から2000年まで考査局で実地考査および銀行の財務内容の分析を担当。2000年7月よりニューヨーク事務所において、NY連銀と情報交換を行いつつ外為市場を含めた市場全般の情報収集、調査・分析を担当。2003年4月より現職。日本証券アナリスト検定協会会員。為替アナリスト人気調査ランキング3位(2007年3月22日付日経金融新聞)。
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