金曜日の日経新聞に、面白い記事があった。日経平均が連日年初来高値を更新する中、一向に円高が進まないことに触れ、その理由として金利差を狙った機関・個人投資家双方の外債投資による外貨需要が、海外からの資本の流入(円の需要)を上回っているからだという。それは分かる。まあ見ていろ、もっと巨額の資金が日本アセットを購入するために日本に入ってきて、円はいずれ強くなるであろうから。
それよりももっと興味を引いたのはこの記事が、もう一つの円が強くならない理由として、個人の外国為替証拠金=保証金取引を挙げていることである。
曰く、"個人による外為証拠金取引も円売り・ドル買い要因となっている。拡大しているのは、証拠金を差し入れたうえで、外為証拠金業者から借り入れを受け、外貨で運用する*スワップポイント取引*と呼ばれる手法だ。これは、キャリー・トレードの個人版ともいえる。"
うーん、そうか。だから皆さん、いくら塾長が口を酸っぱくして"ポジションを少なくしなさい。=ドルの買い持ち比率を下げなさい、と言ってもちっとも言うことを聞かない訳か。(実は9月16日付けで、半月ぶりに80%の買い持ちを割り、78.1%となった。お見事。)ふーん、キャリー・トレードね。初めてこの言葉を耳にする方にご説明すると、キャリー・トレードとは、低金利の通貨を借りてそれを売り、高金利通貨を買って、その金利差を享受するというものである。通常は、例えば米国のヘッジ・ファンドなどが銀行から円を借り、その円を売ってドルを買う。それによって、調達した円(低金利)と運用したドル(高金利)の金利差を稼ぐ、という取引が一般的である。皆さんの場合はどうか?円を借りる必要は無い。既に、円は手元にたっぷりお持ちである。放っておいても金利ゼロの円を叩き売ってドルを買い、証拠金=保証金取引においては、毎日、毎日金利差分のスワップを貰えばいいのである。しかも、何?外為保証金取引業者が、10倍の資金を貸してくれる?=(約10倍までのレバレッジをやらせてくれる?)記事によると、"例えば証拠金として10万円を元手に業者から借金し、1ドル=110円で、1万ドルのドルを購入した場合。1万ドルに対して、今なら日米金利差相当分の110円が日々入ってくる。円相場が当初水準で1年間推移すれば、スワップ・ポイント(金利差相当分の収入)は4万円強となり、運用利回りは差し入れた証拠金10万円の40%に達する。"とある。
これを読むとよく分からない人は、外為保証金取引は、魔法をくれる"打ち出の小槌"のような印象を受けるかも知れないが、実はそう簡単に利益を上げられないことは、我々は重々承知している筈である。
理論上は
1) 為替レートが一年間全く動かなければ、確かに金利差分がそっくり入る。110円×365日=40,150円。ふむ、確かに投下資本10万円の約40%である。
2) いやいや、もしかして締結時よりも円安が進めばキャピタル・ゲイン(元本までもが増える。)例:110円で購入したドルが、1年後に115円になった。(115円−110円)×1万ドル=5万円。あれれ、先程のスワップ益約4万円と足すと、約9万円で90%ものリターン、言い換えれば殆ど元本近く儲かったではないか!が、ところがどっこい、
3) 逆に、円高に進んで1年後に105円になったら、当然キャピタル・ロスが5万円で、それはスワップ益をも上回って、結局は1万円の損、言い換えれば投下資本の10%を失ったことになる。
なんだ、5円円高に行けば、金利差分など吹っ飛んで、元本が1割も減価しているではないか?あの記事は大変面白い内容ではあり、この円高によるリスクについてもちゃんと説明してはいるが、はっきり言って結構misleading=誤解を与える内容であったと思う。
どうですか皆さん、本当にキャリー・トレードをおやりになっている積りなんですか?しかも、10倍とは言わないが、数倍のレバレッジを効かせて?危ないなあ。
円相場は、殆どの通貨に対して年初来安くなっている。と言うことは、現在の状況は上の2)のケースで、金利ゼロの円を叩き売って、高金利通貨を買って大成功である。
塾長も、年初、"こんな通貨(円のこと)は売りましょう。"と勧めた。そして、巧い具合に円安になった。106円に行った時は嬉しかった。110円を超えた時は、もっと嬉しかった。ところが皆さんと違って、どちらかというと投資家というよりは、トレーダー=ディーラーの観点から言うとこの期に及んで(約10%のキャピタル・ゲイン+スワップ・ポイント)、未だに高いドルの買い持ちを持ち続ける勇気は無いのである。これは全く個人的な相場観であるが、やはり毎日海外の投資家と話していると、このまま円安が進むとは思えない。
しかし、相場は相場。塾長がやいのやいのと言っている間、またぞろ111円を超える円安となった。塾長は相変わらず、対ドルとユーロで、円を買い増している。但し、その分は109円台ミドルとか、135円ミドルで買い戻して、当面のレンジ取引をエンジョイしている積もりである。
今年塾長は、まとまった夏休みは取らず、結構いい子をしていた。そこで今週は、恒例の"アメリカ・ゴルフ・一週間の旅"である。昨年もこの"独り言"=2004年8月9日号でご披露したが、この時期シカゴの名門銀行の会長が、一週間のゴルフの旅に招待してくれる。昨年から、その舞台がサンフランシスコに移った。 そして今年、憧れのペブル・ビーチとサイプレス・ポイント・クラブでプレーするそうである。"するそうである。"と言う理由は、塾長はただ飛行機に乗ってサンフランシスコ空港に降り立ちさえすればいいのである。どの宿に泊まるのか、どうやって行くのかなどは、全く知らない。知る必要が無い。お迎えが来てくれているからである。まあ、ゴルファー冥利に尽きますな。
今週号が結構真面目な"独り言"であったので、来週号は帰りの飛行機の中で、"サンフランシスコ紀行・第二弾"でも書いて参りましょう、wishing the Yen is stronger than current level=円が現時点よりも強くなっているのを望みながら!
塾長
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