米雇用統計特番

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特別企画2012年の米雇用統計を振り返る

はじめに

米雇用統計は米金融政策への影響力の強さから、外国為替市場にも多大な影響を及ぼす経済指標だ。特に、日・米金利差に左右されやすいドル/円相場が米雇用統計に敏感に反応する事は広く知られている。2012年の米雇用統計について、当時のドル/円相場や米金融政策への影響を絡めつつ、ポイントとなった発表を振り返ってみたい。


2012年 ドル円相場と失業率・非農業部門雇用者数の推移

2012年 ドル円相場 2012年 失業率推移 2012年 非農業部門雇用者数


2月(3月9日発表)「雇用市場の改善が際立つ」

2012年2月雇用統計(3月9日発表)

米2月雇用統計は、失業率が前月から横ばいの8.3%、非農業部門雇用者数は前月比22.7万人増(後に24.0万人増に修正)であった。非農業部門雇用者数は前年12月から3カ月連続で20万人を超える増加幅、同じ期間に失業率は0.4%もの大幅な改善となっており、米労働市場の改善を強く印象付ける雇用統計となった。

2月雇用統計に対するドル/円の反応は、ストップを巻き込みながら断続的に上値を切り上げて82.64円まで80銭程度上昇した。

なお、3月13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明に「労働市場はさらに改善した」「失業率はここ数ヶ月間で顕著に低下した」との記述が見られ、米景気回復期待が高まった。


6月(7月6日発表)「雇用改善に急ブレーキ、QE3を示唆」

2012年6月雇用統計(7月6日発表)

米6月雇用統計は、失業率が前月から横ばいの8.2%、非農業部門雇用者数は前月比8.0万人増(後に6.4万人増に修正)であった。非農業部門雇用者数が4〜6月の3カ月連続で10万人未満の増加幅にとどまるなど春先に見られた雇用の改善傾向に急ブレーキがかかり、米景気の先行きに対する不安が高まった。

6月雇用統計発表直後のドル/円の反応は79.90円付近から79.49円まで急落。しかしその後は、大幅下落で始まったNYダウが下げ幅を縮小したため79.70円台まで持ち直した。

なお、8月1日のFOMCで「一段と強い景気回復と持続的な雇用環境の改善を促進するため、必要に応じ追加緩和を実施する」として量的緩和第3段(QE3)の導入を示唆した。


8月(9月7日発表)「低調な結果にドル/円は下落トレンド継続」

2012年8月雇用統計(9月7日発表)

米8月雇用統計は、失業率が8.1%と前月から0.2%低下したものの、非農業部門雇用者数は前月比9.6万人増(後に14.2万人増に修正)にとどまった。失業率の低下についても、労働参加率が30年ぶりの低水準となった事から、職探しをあきらめた失業者が増加したためとの見方が強く、好材料とはみなされなかった。

8月雇用統計発表直後のドル/円の反応は78.80円付近から78.02円まで急落。しかしその後は、雇用統計の結果を嫌気して安く始まったNYダウがプラス圏に持ち直したため78.30円前後までやや値を戻した。

なお、9月13日の米FOMCで「労働市場の見通しが著しく改善するまで」として事実上無期限のQE3が導入された。


11月(12月7日発表)「失業率は改善するも景気見通しは不透明」

2012年11月雇用統計(12月7日発表)

米11月雇用統計は失業率が前月から0.2%低下して7.7%と、2008年12月以来の水準に改善、非農業部門雇用者数は前月比14.6万人増であった。10月下旬に米北東部を襲ったハリケーン「サンディ」の影響が懸念されたものの、比較的良好な結果となった。ただ、今回も職探しをあきらめる動きが失業率を押し下げたと見られ、米景気に回復期待が浮上するほどの強い内容とは受け止められなかった。

11月雇用統計に対するドル/円の反応は82.30円付近から82.82円まで急騰。しかし、失業率の低下が労働参加率の低下によるものだった事や「財政の崖」への懸念が強まった事から上げ幅をそっくり吐き出す「往って来い」となった。

なお、12月12日の米FOMCで「失業率は夏以降、幾分低下したものの、依然として高止まりしている」との認識を示した上で、失業率目標(6.5%)を設定するとともに、ひと月あたり450億ドル規模の量的緩和拡充を発表した。


総括

失業率は年頭の8.3%から11月(12月発表分)には7.7%まで低下しており、米雇用市場の緩やかな回復基調を物語っている。しかし、リーマンショック前の失業率が5%前後であった事を考えると、十分な回復とは言い難いだろう。また、非農業部門雇用者数は年前半の大幅増加や年央の低迷など、月毎に見るとばらつきがあったものの、平均14.6万人のペースで増加した。ただ、失業率を継続的に押し下げるために必要とされる15〜20万人増のペースには届かなかった。こうした中、FOMCは12月の会合で、失業率が6.5%を下回るまでゼロ金利政策を続ける意向を示した。FOMCが6.5%という具体的な数値目標を設定した事で、今後は失業率の推移に市場が一喜一憂する場面が増えそうだ。

なお、2012年各月における米雇用統計発表後のドル/円相場の値動きは、最小30銭、最大1円20銭であり、平均すると約57銭であった。

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