中岡望『世界深層レポート』
第11回 「緊急経済安定化法案」の行方―サブプライムローン問題はどうなる(1)?(2008/10/01)
経済状況は急激に動くものです。この数週間、アメリカの金融危機の動向を詳細に見てきました。アメリカ時間で日曜に「緊急経済安定化法案」について民主党と共和党が妥協に達し、下院を通過する見通しでした。しかし、一転、下院は投票で同法案を否決してしまいました。それを受けて世界の株価は大幅に下落し、「アメリカ発の世界金融危機が始まる」とメディアは一斉に報道しました。議会で否決する直前に、今回の原稿を準備していたのですが、新しい状況を織り込む必要もあり、原稿の掲載が遅れてしまいました。なお、日本では「金融安定化法案」という表記を使っているメディアも多いですが、「緊急経済安定化法案(Emergency Economic Stabilization Act of 2008)」というのが法案の正式の名称です。今回は改めてサブプライムローン問題を整理し、その上で同法案が否決された理由、今後の展開について整理、分析してみます。
サブプライムローン問題とは何だったのか
サブプライムローンはすっかり悪者になっています。サブプライムローンが何だったのか簡単に整理しておきます。サブプライムローンがアメリカで普及するようになったのは1990年代に入ってからです。住宅ローン金融制度が整備されたこと、さらに「地域再投資法」で銀行はコミュニティでの融資を行う義務が生じたことで、低所得層向けの住宅ローンに力を入れ始めたこと。また1980年に「預金金融機関規制緩和・通貨管理法」が成立して、住宅ローンの上限が廃止されたことと、1982年の「選択的抵当権取引法」の成立で“変動金利住宅ローン”や“元本一括満期返済型ローン”や金利返済を軽減するために金利の一部を元本に組み入れる“ネガテフィブ・アモタイズド・ローン”などの新種の住宅ローンの提供が可能になりました。こした新種の住宅ローを使って低所得者向けのローンが開発されたのです。貸し倒れのリスクの少ないローンを「プライムローン」といい、プライムローンの条件を満たさないが、貸し倒れの確立がそれほど高くないローンを「ALT-A」といいます。そして過去に借入の返済が滞った経歴などがあり、信用度の低い人向けのローンを「サブプライムローン」といいます。【当レポート詳細について】
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