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マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー
第183回 ”ショックに弱い新興国市場” (2008/05/07)
今年3月頃から米国の金融市場が安定してきた。信用市場の状況を表しているCDX指数などを見ても、信用スプレッドは最悪時に比べ半分程度にまで下がってきている。当面目新しい材料が見当たらないため、今後1―2ヶ月はこうした安定した傾向は続く可能性は高そうだ。
我々の中には、米国の金融市場が混乱している間はドル安が進行し、逆に回復するとドルも上昇するというイメージがあると思う。確かに、主要通貨ではそうした傾向が見られるものの、新興国通貨を見てみるとそうでもない。
まず、下のグラフを見ていただきたい。このグラフは昨年7月からの直近までの米ドル円の動きと米ドルランド相場の推移を示している。日本の個人投資家の方はランド円のほうがより馴染み深いと思うが、米ドル相場がどう動いたのかを比較するためにここでは米ドルランドの動きを取りあげる。
ドル円は昨年の夏以降今年3月までの大きな流れとしては、ドル安円高傾向にあることがわかる。それが今年3月以降米国の金融市場が徐々に安定してくるにつれ、ドルが回復し、それほど大きくはないにせよ一応ドル高円安傾向となってきている。そのドル円の動きとドルランドの動きを比べると全く相関していない(違う動きをしている)ことがグラフを見るとよくわかると思う。
ドルランドの動きをもう少しよく見てみると、@サブプライムローン問題が発生した昨年の7月後半から8月にかけて A10月の後半からサブプライムローン問題の第2波 B今年1月から3月にかけての第3波 いずれのケースにおいても、ドルランドは上昇(ドル高ランド安)している。逆に混乱が一時的に落ち着いた昨年9月から10月と今年の3月以降はドル安ランド高になっているのがわかると思う。
つまりアメリカが混乱すると対ランドではドル高が進み、逆にアメリカが落ち着くとドル安(ランド高)になっているということになる。一見不可思議に思えるがこれが現実である。どうしてこんなことが起きてしまうのだろうか?
現在の世界の経済、金融は密接に繋がっている。アメリカの経済、金融市場の混乱は世界全体に波及する。世界経済全体が混乱した場合、最もその影響を受けるのが、経済が不安定で、市場が非常に小さい新興国である。マクロ的に考えても、経済の減速に対する耐久力という点で新興国は先進国に比べて大きく劣る。また、金融市場に関しては、小さな市場に投資資金が流れこんでいる場合、その反動で資金が国外に流出する影響が新興国では非常に大きなものとなってしまうため、振動が非常に大幅になってしまうということである。
世界経済全体が安定しているときには新興国市場は非常に魅力的であるが、一度混乱が生じると最も不安定な状態に陥ってしまうという性質はよく理解をしておく必要があるだろう。
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