マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー

第181回 ”中国株の動きに学ぶ” (2008/04/22)

先週の米国大手金融機関の決算発表が予想の範囲内に終わり、一大イベントを終えて株式市場も為替市場もかなり落ち着きを取り戻してきた。世の中いつ何が起きるかはわからないので断定するのは難しいが、今後の予定を見てみると当面大きく市場を変動させるような材料がないので、金融市場は全体的に、緩やかな動きとなってくる公算が高くなってきた。

さて、今回は為替相場からややはなれて中国株式の動向について考えてみたい。 今年に入って中国株式の主要指数である上海総合指数の下落傾向が鮮明になっている。昨年10月16日の終値で6092の史上最高値をつけていた指数は、4月22日現在3100を割りこんでいる。実に約50%下落していることになる。

実はサブプライムローンの直撃を受けているニューヨークダウ平均株価を見てみると、 上海総合株式指数の動きと比べてみると昨年の高値である14198から見て、10%程度しか下落していない。それと比較すると如何に中国株式の下落が激しいかがよくわかる。

どうしてこんな状態になってしまっているのだろうか?それは、人間が時として陥る安易な思い込みが原因となっているのであろう。

中国の実質GDP成長率の推移を見てみると、ここ数年間毎年10%近くの高い成長率を続けてきている。確かに2007年は成長率が拡大し、11%を超える水準に達した。しかし、拡大幅はたかが1%程度である。一方、株価を見てみると2006年後半から急激な上昇をしているのが見て取れる。

つまり、この間の急上昇はある瞬間から芽生えた、経済拡大に対する安易な楽観論が投資家を強気にさせすぎてしまったのである。

昨年の夏ごろだったと思うが、或るテレビ番組で、中国の証券会社の店舗の前に開店前から個人投資家が列を作って並んでいるのを見た。ちょうど1980年台後半のときに日本のテレビで見た光景とそっくり。まるでデジャブーのようであった。また、同じ頃、中国では毎日30万口座新規で開設されているという記事を新聞で見たが、単純計算すると年間で8000万口座も増えるような驚異的な数字である。こういう異常な現象が起きているときは、いずれ反動がくるものである。

中国はここまで経済成長を優先する余りに、その副作用に目を瞑ってきた。インフレの加速と環境問題である。それがここに来て、中国経済拡大の足かせになっていることは各所で目にすると思うので、ここでは詳細は割愛する。

相場の世界では「山高ければ谷深し」とよくいわれる。今回の中国株の場合も同様か、もう少し言うならば「険しい山ほど谷も急なものになる」というケースかもしれない。

中国のGDPは現状のペースでいくと2025年当たりには米国を抜いて世界第1位の経済大国となる。もちろん、長期的に考えれば、中国の株式市場は「買い」であることは間違いないとは思う。しかし、余りに政府が経済成長を優先したことと、それに乗せられる形で投資家の中に中国楽観論が強なってしまったことのつけは、大きなものであった。インフレ退治という難問を依然として抱えている状態では調整はもう少し長引くかもしれない。

相場ものというのはどんなものでも似たような動きをする。中国株の教訓を、FX取引をやっている投資家も是非参考にしたいところだ。

<上海総合株式指数>
上海総合株式指数

<中国実質GDP成長率>
中国実質GDP成長率

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