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マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー
第180回 ”短期投機筋の手口” (2008/04/15)
4月10日、欧州中央銀行(ECB)の金融政策委員会で政策金利の据置きが決定されたが、その後の会見において、トリシェ総裁が「最近の急激な為替変動を懸念している」とユーロ高を牽制する発言をしたことを受けて、ユーロドルが1.58台後半から1.57台前半まで下落する局面があった。しかし、その翌日になって、直ぐにユーロドルは買い戻され、結局1日もしないうちにほぼ元のレベルに戻ってしまった。この時は、トリシェ総裁の発言を受けて、ユーロドルの売り仕掛けをした投機家が複数いたのだが、結局翌日になって全部買い戻したようである。これは、こうした発言などによる市場への影響がせいぜい1日程度しか持たないということを経験的に知っていることに加え、週末にG7が控えていたという事情も関係していると思われる。
また、今週末にワシントンで開催された7カ国財務相中央銀行総裁会議(G7)では欧州サイドからの強い要望に配慮して「主要通貨において時として急激な変動があり、経済や金融の安定へ与える影響について懸念している。」という表現が加えられたことを受けて、 昨日の東京時間が始まる前に、シドニー市場などでユーロ売りを仕掛けて、その後で東京、或いはロンドン時間に他の市場参加者が追随してユーロを売ってくれるのをじっと待っていた投機家がいた。しかし、しばらく見ていても一向に追随して売ってこないので、ロンドンの朝一の欧州勢が売ってこないことを確認した段階で、ああやっぱり売ってこないなと諦めてユーロを売った分を一生懸命買い戻したということだろう。
彼らの手口は何かの材料が出てきた場合ともかく他の人より先に仕掛けて、その後みんなが追随してくるように誘導する。そして、うまく市場が自分達についてきたときは、みんなが売っているときに買い戻して利益を得る。逆にみんなが付いてこないと感じるや損切りになっても構わないのでともかく直ぐに買い戻す。こういうことを繰り返している。 こうした彼らの仕掛けのパターンを知っておくと、市場の動きに振り回されることをある程度回避できると思う。
先日、週明けの月曜日にドル円が95円台まで急落し、クロス円でも急激な円高が進行した局面があった。このときはおそらくこういうことが起きていた。
短期投機家はドル円を始めいろいろなクロス円で下に損切りの円買い注文が並んでいたことを知っていた(或いは推測していた)。そして、東京時間が始める前から一生懸命円を買って、市場を円高方向に誘導した。東京時間の朝7時近辺になると、個人投資家の損切り注文が一気に執行されていく。それが更に円高を誘発するために、その下にある外貨売り円買いの損切り注文が次々に執行されていく。そして、相当損切り注文の執行が終わったと思われる状況となってきたら、最初に円買いを仕掛けていた投機筋は利食いの外貨買い円売りをして、ゲームーオーバーである。
こうした仕手戦は株式市場では違法行為である。しかし、為替市場は世界中に開かれた市場であるために、こうした規制が作れない。そのため、こうした仕手戦が水面下でいつも行われているのである。
もちろん、こうした仕手筋の手口がわかれば一番いいのだが、彼らとてプロである。そんな簡単にわかってしまうようなやり方はしない。となれば、後我々ができることは想像力を働かせることである。
最近、こういう局面があると市場がこんな風に動くことが多い。それはきっとこういう手口での取引が行われているからではないか? もし、自分が大きなお金を動かすことができるのであれば、こんな感じに市場を撹乱するだろうなどとあれこれ考えていると段々想像力がついてくるものである

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