マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー

第178回 ”最悪の事態に備える” (2008/04/01)

為替相場もいよいよ混沌とした状況に入ってきた。専門家の中でもドル円は80円、90円或いはもうこれ以上ドル安円高にはならないなど様々な意見がある。私は、下がっても90円程度までと考えているが、それも正直はっきりとはしない。それは、経済は生き物のようなもので、状況によっていろいろと変化してくるからである。

例えば、突然の事故に巻き込まれ重傷を負った人が一命を取り留めるか残念ながら命を失ってしまうかというギリギリの状態にあったとき、初動の応急処置が迅速、かつ適格に行われたのかが大きな分岐点となってしまうことがある。また、その後の治療においても対応を1つ間違えばそのまま尊い命を失うことになってしまう場合もある。 経済もそれと似たようなところがある。現在のサブプライムローン問題に関して米国市場はかなりの重傷を負っている。このまま国が滅びてしまうことはないにせよ、傷がどの程度の影響となるのか、どれぐらいで回復するのは、今後の中央銀行、各金融機関、米政府などがどのような治療をしていくかに大きく依存している。つまり、相場の行方もかなり人為的な要素に影響を受けるということである。

更に相場には、ここを守るか守らないかで展開がガラッと変わってしまうという水準がある。直近の例でいえばドル円の105円と101円であった。次の節目となるのはおそらく90円前後になってくると予想される。

私は以前地雷(損切りの円買い注文)は90-100円のところに集中していると聞いていたが、その後いろいろと聞いた限りでは状況は異なるようである。90円を割りこむとやや専門的になるが、通貨オプションのガンマがドンドンショートになり、下がれば下がるほど売らなければならない状況に陥ってしまうということらしい。

仮にそんな事態になれば、当然他の通貨に対しても激しい円高が襲ってくるだろう。しかし、その可能性については正直はっきりとわからない。それは、人為的な要因でどちらにも転んでしまうからである。

現在の政府、FRBなどの対応を見ていると、正しい道(Right Track)を歩んでいるように見える。個人的には、米国はこの問題に或る程度適切な対応を行い、ドル円が90円を下回るような円高は回避できるのではないかと考えている。しかし、対応を間違えるとそれが引き金となって、抜けてはいけないところを抜けさせてしまう可能性もある。

それを私達はよく見極めていかなければならない。重要なことは思い込まないことである。こうした不透明な状況は正確には予測をしていくことは困難であるという認識をまず持つ。状況を見ながら対応を考えていけばいいと思うが、ともかく、今自分が持っているポジションにとって、どういう状態が最悪で、それによってどの程度の損を最大被る可能性があるかをよく考えておく必要がある。それが自分のお金を守るということである。自分のお金を守るのは自分しかいない。他人は決して自分のお金を守ってはくれない。

儲けと損はコインの裏と表のようなものである。「攻めと守り」のバランスをよく理解しておくことが何といっても重要だと思う。
「まあ、大丈夫だろう」的な安易な発想は大怪我の元である。

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