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マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー
第177回 ”月曜日に注意” (2008/03/25)
先週月曜日、急激な円高相場が日本でやってきた。はっきりと確かめたわけではないので確信はないが、東京で大きく円高になるときは週明けの月曜日に起きることが多いような気がする。私の感覚が正しければちょっとしたアノマリーだ。こうした現象はどうして起きるのであろうか。今回はこれに関して少し考えてみたい。
外国為替市場というのは取引所で取引されるものではなく、相対の取引である。そのため、極端に言えば、どんな時間でも取引は成立してしまう。例えば、日曜日にある2人がFXの取引をすれば、市場は成り立ってしまう。実際は、銀行間市場で取引されている時間を正式の取引とみなしており、土日は銀行間市場が閉まっているため、例え誰かが土日に相対取引をしても、我々には影響はない。
さて、問題の月曜日であるが、世界中で最も早く市場が開くのはニュージーランドである。時には東京時間の夜中ぐらいから実際に取引が始まっていることがある。しかし、その時間帯は参加者も非常に少ないため、一般的な取引とはあまり認識されない。しかし、その時間帯にも実際に取引が行われているため、為替レートそのものは動いてしまう。金曜日の日に円高傾向で終わった日の翌週の月曜日や、週末にG7などの重要なイベントがあり、何か円高になるような材料が出た場合、東京時間の月曜日夜明け前から円高が進行していくことがある。そしてその後、参加者が揃っていよいよ本格的に取引スタートとなった時点では、既にかなり円高が進んでしまっている。
こういう状態のときは、ある値幅の中にあった損切りの円買い注文が一定の時間(例えば東京の朝7時)あたりに一斉に執行されるため、弾みがついてしまって、一気に円高が加速する。こういうことが月曜日に時折起きているのではないだろうか。このような傾向は特に日本でFX(為替証拠金取引)が盛んになってから顕著になってきたような気がする。つまり個人投資家のFXでの損切り注文が一時的な円高を加速させているのかもしれないということである。
更に、こうした傾向は特に南アフリカランドなどの新興国通貨に顕著である。一般的にいって、新興国の通貨はマザーマーケット(その通貨の国内市場)が開いている時間以外は非常に取引が薄くなる。南アフリカはほぼ欧州と同じ時間帯の取引となるので、東京時間の夕方頃になって、初めて取引が本格的に始まる。それ以前、つまり東京市場ではランドの市場は非常に商いが薄い。そもそも市場規模がそれほど大きくない通貨であるが、マザーマーケットが開いていないことで一段と市場は薄い状態にある。
通常は、それでも個人投資家の取引もそれほど集中しないので、多少市場は薄くても問題なくレートが提示される。しかし、一度、市場が荒れてしまうと銀行も安定的にレートを提示することが非常に困難な状態に陥る。そのとき、歯を食いしばってレートを出し続けるか、市場環境に合わせて柔軟に対応するかは、それぞれの判断によって分かれてくるが、それでも大なり小なり投資家へのレート提供も当然影響を受ける。
市場が薄い状態で荒れ相場になると、必然的に値動きが加速度的に速くなっていく。値動きが速くなり値幅は大きくなると、更に下のレベルの損切り注文がついてしまう。「売りが売りを呼ぶ」状態である。結果として、思っていなかったような激しい円高となってしまう。おそらくこうした現象が起きているのだろうと推測することができる。
こうした状況に巻き込まれないためには、金曜日に極端な円高傾向にあったら、一旦円売りは手仕舞いをして、週明けを迎えることが1つの方法ではないかと考える。
たまにしか起きない現象なので、普段はあまり影響ないが、相場が荒れ模様のときは一度思い出してみるといいと思う。
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