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マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー
第175回”改めてスワップ戦略を考える” (2008/03/11)
サブプライムローン問題の影響は益々深刻化してきており、金融市場も再び混乱し始めている。2008年は非常に不透明な年となってきた。さて、市場が不安定な状態では金利を稼ぐという手法はどうしても敬遠されがちになる。そこで今回は改めてスワップ戦略というものを考えてみたい。
元々このFX取引が日本の個人投資家の間で人気となったのは、日本の金利が長い間ゼロであった状態で日本の個人投資家が海外の高い金利に魅力を感じ始めたという状況が背景にあった。こういうブームが起きるとある一定期間は相場もその投資家の行動に沿った流れを作る。つまり、みんなが円売り外貨買いをすることで外貨高円安が加速するという流れである。こうした状態が続いていた間は、いろいろなところでFX長者が現れてきた。「世田谷の主婦」という言葉が世界中で通じるようになったのは驚きとしかいいようがない。
しかし、相場の流れが永遠に続くことはない。円安の流れがあればいつかは円高の流れに転換する。それまでのブームが大きければ大きいほど反動が大きいのも世の常である。ここ数年サブプライムローン関連商品で大儲けをしていた投資家が、今回の市場の混乱で一気に大きな損失を抱えて困っていることなどは典型的な例である。 スワップ戦略は円安傾向のときはいいが、ブームはいつか終わるものである。そうなると今までのようなやり方では逆に大きく損をしてしまうこともある。そこを自分なりによく整理することが重要であると私は思う。
例えばランド円で見てみると、昨年11月初めには17円77銭だったのが昨日は12円58銭近辺まで下落している。下落率は4ヶ月程度で約30%である。もし、高値のときに3倍のレバレッジをかけてランド円を買って持ち続けていればこの間に30%×3倍=約90%の元本を失っていることになる。強制退場である。もちろんその間スワップを取れているが、ランドと円の金利差が10.5%とすれば、スワップは4ヶ月で10.5×4/12×3(倍)=10.5%程度にしかならない。つまりスワップを考慮してみても80%近くの資金を失っていることになるのである。レバレッジをかけるということはこういうことである。
では金利を稼ぐという手法は間違っているのだろうか?そんなことはない。金利を稼ぐという手法はやり方によっては有効である。元々金利というものは長期間保有して始めて効果が出てくるものである。日本の機関投資家などは長期投資目的で日本の国債10年物などを購入している。先程の例と比べるために今度はランド円を外貨預金のようにレバレッジ1倍で長期保有しておくことにしてみる。ランドと円金利差は約10.5%であるので10年持っていれば約105%の金利を稼ぐことができる。(ここでは、その間に元本が目減りすれば同じ金利でももらえる利息が変わってくる、或いはランドと円の金利差も常に変動するという要因は無視して単純化しているのでご了承いただきたい)。為替相場がゼロになることはまず有り得ないので、為替差損が元本に対して100%になることはない。となれば、10年間保有していれば元本と金利合計すれば、少なくとも表面金額では損はしないことになる。(両国のインフレ率を考慮して実質的な貨幣価値を比較すればまた別の議論になるが)。この例のように金利の効果は長期間保有すればするほど大きくなっていくものである。
短期間で、レバレッジを利かせて金利(スワップ)を沢山取ろうとすれば、それと同時に為替変動リスクも拡大してしまうので、強制退場のリスクが高まる。従って、このやり方は円安傾向のときしか有効ではないということになる。
環境に合わせた投資戦略を考えてみることはとても重要である
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