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マット今井『トレーディングのつぼ』コラムバックナンバー
第173回 ”今後は金利環境をよく考えてみよう” (2008/02/26)
為替市場には大きく分けて2つの局面がある。1つは金利差を含めたファンダメンタルズを反映した相場展開、もう1つは昨年のサブプライムローン問題発生によって起きたような金融相場である。ファンダメンタルズ相場は比較的市場の値動きも安定しているが、金融相場になると市場の流動性が低下するために変動が激しくなるのが一般的である。しかし、金融相場というのは長期間続くことはあまりない。通常数ヶ月から長くてもせいぜい1年ほどで落ち着くというのが私の感覚である。これは、その間に様々な対策がでてきて或る程度様相がはっきりしてくるということと、投資家など市場関係者がショックに慣れてくるという心理的な面が影響するのだと思う。
さて、今回も2008年に入ってから、さまざまな展開があった。@欧米の金融機関の決算が発表されて実態が明らかになってきた。AFRBが1月に合計で1.25%という大胆な金融緩和を実施し、FRBの感じている危機意識が市場に伝わった。Bサブプライムローン問題で傷んだ欧米の各金融機関が中東、アジアなどを中心し、資本増強のために出資を受けたCモノライン(金融保証会社)の救済策が銀行団から発表され、ウォーレンバフェットなどの著名投資家もモノラインの経営悪化によって低迷している地方債市場の再保険を引き受けると表明するなど、モノライン包囲網がはっきりしてきたことによって「当事者や当局の対応が迅速で、最終的には何とか落ち着きそうだな」というムードが広がってきた。
さて、金融市場が終わると今度はファンダメンタルズに注目が移っていく。もちろん金利差が相場に影響を与えることになってくるのであるが、こういうときは絶対金利差より金利の方法により敏感に反応するものである。そうした観点から現在の各通貨のおかれている状況を見てみよう。まず米国、サブプライムローン問題による消費の落ち込みがこれから起きてくるだろうから、金利はまだ下がっていくのはほぼ確実である。そのため、ドルは基本的には弱い状態が続く。 お隣の国のカナダは米国経済の影響を受けるので、米国と同様、まだ金利が低下していくだろう。従って、基本的には強くはなりにくい。ただし、資源国通貨であるというメリットはもっているので、米ドルよりは上昇の期待が持てる。 欧州に向かうとユーロ圏は依然として景気は堅調である。一方でインフレが加速しているため、この先金利を上げる可能性は高い通貨の1つである。従って目先は堅調に推移することが予想される。(年後半には懸念が残るが) イギリスは難しい。住宅市場が低迷してきたことに対応して、昨年12月と今年2月にそれぞれ0.25%金利を引き下げたが、その効果がどうでてくるかを今後しばらく見守ることになると思う。従って、現段階では中立である。
オセアニアは両方とも上昇の余地がまだある。オーストラリアは鉱物、エネルギー、ニュージーランドは農業製品を持つ。こうした商品の上昇の恩恵を受けて、景気は堅調、更に物価も上昇してきている。既に2月5日に0.25%金利を引上げたが、来月も追加利上げする可能性はかなり高い。ニュージーランドも好調な経済情勢の中、物価が再び上昇し始めているため、近い将来金利の引き上げを実施する可能性は十分にある。こうした国の通貨は当面有望である。
最後に南アフリカ。この通貨は中立である。確かに絶対金利は高い。しかし、9%という極端に高いインフレ率に加え、インフレ不足による深刻な電力不足など不安材料を抱えているのも事実である。こうしたファンダメンタルズの悪さからここまでかなり軟調に推移してきたので、その反動で上昇する可能性はあるものの、少なくとも経済の環境は決していいとは言えない。金利差を長期間に渡って享受するような長期投資に向いている通貨だと思う。
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