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マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー
第170回”ドルキャリートレード” (2008/02/05)
先週、米連邦準備銀行(FRB)が定例の連邦公開準備委員会(FOMC)を開催し、政策金利の0.5%引下げを決定した。これで1月22日に緊急のFOMCを開催して0.75%の緊急利下げを実施したのと合わせて1ヶ月で1.25%金利を下げたことになる。これほどの急速な金利の引下げは神様と呼ばれたグリーンスパンFRB元議長でもやらなかった。それだけに今回の対応は、米国の直面している事態の深刻さを余計に物語っているということも言えるかもしれない。バーナンキFRB議長は元々「インフレターゲット論」支持者で知られており、FRB議長就任当初は、インフレ抑制に固執するのではないかと市場関係者の中ではみられていた。
しかし、今回サブプライムローン問題に直面して、まるで全く別人になってしまったかのような決断をしてきている。FRBは昨年9月から政策金利の引下げを開始し、先週の利下げで昨年8月までの5.25%から3.00%にまで低下してきた。現状のFRBの姿勢から判断するに米金利はいずれ1%台にまで低下する可能性が高くなってきた。金利市場は既に3月18日のFOMCでの0.5%の利下げを織り込んでいる
さて、ここ数年「円キャリートレード」という取引が話題になってきた。こうしたブームが発生したのは円の金利が低かったからである。長い経験を持つ市場関係者の中には、日本の景気がいいのに円が弱くなるということを受け入れられない人もいたが、投資家が安い円の金利に着目して、こうした特殊は取引に傾倒していったのだから、こういう動きになったのは自然な流れではあった。
円の金利は依然として0.5%と世界中で最も低い。米国経済低迷の影響を日本経済も当然受けるので、日銀も当面利上げをすることはないであろう。円金利の低位推移は今後も続く。しかし、今回の金融市場の混乱で投資家も単純に円を売る取引にやや慎重な姿勢に変化していくかもしれない。
そこで、1つ考えられるのは「米ドルキャリートレード」である。米国金利は既にユーロの4%を1%下回っている。以前はユーロドルを買うとスワップを払う必要があったが、現在は状態が逆転して、ユーロドルを買えばスワップをもらえる。豪ドルやNZドルなどの高金利に対しては更に金利差は大きい。それに加えて、米国経済が減速していくことによるドル安圧力も存在する。景気が悪く金利が低下していく通貨、つまり米ドルを売ることで結果としてキャリートレードになっているという風に考えてもよいかもしれない。いずれにしても、これからドル金利が低下していく中で、ドル売り戦略で結果として金利も稼げるという状態が続く可能性が高くなってきている。あまり極端に考える必要はないが、世界中の投資家が円キャリートレードからドルキャリートレードに向かっていくという展開も頭に入れておいたほうがいいと思う。
ただし、ドル金利が円金利よりも低くなるということはさすがにないであろう。米ドル円ではドル売りをするとマイナススワップになる状態は続くので、この通貨ペアではこうした戦略をとることはできないが....。
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