マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー

第163回 ”12月の季節要因” (2007/12/11)

以前このコラムにもご紹介したことがあるが、相場ものには大概季節要因というものがある。もちろん市場は生き物であるので、毎年同じことが起きるわけではないが、それでもある程度の傾向というものはあるように感じる。こうしたものが存在する理由は企業や運用機関の行動にある程度の季節的なパターンがあるからであると考えられる。

現在、残念ながら金融市場に大きな影響を与えているのが、欧米の運用機関である。個人投資家には投資期間に区切りがあるわけではないが、運用機関などの大半は1年毎の単位で行っている。 欧米の運用機関の多くは1-12月を決算の期間としているところが多い。彼らの基本行動としては、1月から2月にかけて、その年のメインシナリオに沿って大きくリスクを取る。

そして、11月後半から12月にかけて、ある程度刈り取りをする。もちろんリスク資産すべてを手仕舞いするわけではないが、ある程度のその年の運用成績を確定するために、リスクを縮小する行動にでる。こうしたオペレーションは12月15日前後ぐらいまでには終わる。12月もクリスマスに近づく頃になると市場が極端に薄くなってくるので、巨額な資金を運用している運用機関にとっては流動性のリスクが大きいからである。

そのため、11月後半から12月15日前後の期間にはそれまでのトレンドが反転することがしばしば起きている。最近は11月分決算という機関も増えてきているので、徐々に調整機関がバラけてきている傾向はあるようだ。(ちなみに1980年台後半から90年代前半は、「ザ・セイホ」を代表としたジャパンマネーが金融市場に大きな影響を与えていたので、日本の企業の決算期に合わせて、2-3月や4-5月は大きな動きを見せることもあった。)

今年は、10月から11月にかけて、サブプライムローン関連の混乱が生じたために、それに際して、リスクの縮小が起きてきている。 そのため、決算前の調整を待たずにかなりリスク資産が整理されている可能性が高い。それが正しければ、今年の12月は例年より市場が安定してくるということが推測できる。

また、人間の体力にも限界がある。荒れた相場が長く続くとさすがに疲れる。少しは休みたいものである。大荒れの相場展開となった後はしばらく静かな相場展開が続くということは相場の世界ではよく起きることである。

本日米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、来週には米大手証券会社の決算が相次いで発表される。どれも材料としては、確かに波乱要因となりうるものである。しかし、最近の市場の反応を見ていると悪い材料に対して明らかに反応が鈍くなってきている。決算前に新規の取引を手控えているということもあるだろうが、それに加えて皆「サブプライムローン」という言葉にかなり食傷気味なのであろう。

相場というものは人が行動することによって始めて動く。決して材料だけ動くわけではない。材料はあるものの、それに反応すべき投資家が活発な行動をしなければ相場は大きくは動かない。

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