マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー

第156回 ”市場は何度も同じ事を繰り返す” (2007/10/23)

週末に7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が開催された。その中で人民元に対しての新たな言及が追加された。内容は以下の通りである。

「我々は、人民元の柔軟性を向上させるとの中国の方針を歓迎しているが、経常収支黒字が増加し、国内インフレが上昇していることに鑑みれば、人民元の実効為替レートのより早いペースでの増価を許容することが必要と強調する。」

各国が人民元の上昇に対してこれほどはっきりと要望を表明したのは始めてのことであったため、人民元に上昇圧力がかかり、人民元高→円高という連想を市場関係者は以ってしまったようである。そのため、週明けの昨日は大きく円高に振れてのスタートとなった。

しかし、過去の例から考えると、この反応は論理的であるとはとても思えない。

まず下のグラフを見ていただきたい。このグラフは2005年7月に人民元制度が改革されて、管理変動相場に移行してから現在に至るまでの、ドル円とドル人民元の為替レート推移を示している。
ドル円とドル人民元の為替レート推移 このグラフを見ると、人民元が継続的に米ドルに対して上昇している一方で、ドル円は上下動を繰り返す展開となっている。人民元と円には相関性は全く見受けられない。

しかし、それにも関わらず、過去の例を見る限り、例えば人民元の1日の変動幅が拡大されたときなど、人民元に上昇圧力がかかるかもしれないような事象が起きたときには、殆どのケース短期的には円高に反応している。そして、いずれのケースもその後直ぐに円安方向に反転し、元の水準近辺に戻ってしまうという反応を見せている。今回のG7でも週明けの東京市場からロンドン市場にかけては、円高に反応したが、その後は円安方向に転換している。市場は何度でも同じことを繰り返すのである。実は市場には学習効果があまりないのかもしれないとさえ考えてしまうほどである。

こうした現象は長期的なものでも同様である。良い例が金融バブルの発生であろう。

今年発生したサブプライムローン問題も、新しい金融スキームを駆使し、レベレッジをかけて大きな投資をするという観点から考えると1980年代のLBOブーム、1990年代の新興国債券投資などとほぼ同等の性質の現象である。長期的なものにせよ短期的なものにせよ歴史は繰り返すのである。

従って、投資をする人間にとって、過去の相場の勉強をすることは非常に重要であるということである。過去に起きたことをしっかりと把握しておけば、過熱やパニックに巻き込まれる確率は自ずと低くなってくると思う。

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