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マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー
第151回 ”中国の急成長が欧米の住宅バブルを崩壊させる?” (2007/09/18)
米国の住宅市場におけるバブルの崩壊は、金融市場に混乱を招き、依然不安定な状態が続いている。こうした事態は投資家のモラルハザードが大きな原因として挙げられているが、今回はやや違った観点から考えてみたい。
最近の世界全体における金融市場の混乱をよそに、中国では経済の急成長が続いている。直近の07年第2四半期GDPも年率で11.9%と驚異的な成長を示していた。ご存知のとおり、中国はエネルギー効率が非常に低く、このような新興国が急成長することは原油などのエネルギーの需給バランスが歪ませ、その結果エネルギー価格は上昇するという状況を巻き起こす。事実、原油価格はWTI市場でとうとう80ドルを超えてきた。こうした傾向は鉄などの原材料市場でも起きているであろう。エネルギー・資源価格の上昇は、世界中にインフレをばら撒く。実際のところ、欧米のインフレ率は、中央銀行による金利の引き上げにも関わらず、全く下落する様子がない。
現在、米連邦準備銀行(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、イギリス中央銀行(BOE)ともに、インフレ重視の政策運営を主体としている。各国とも今後のインフレ進行に対して、警戒感をもっているのは、各中銀総裁の発言から見ても、明らかである。
しかし、インフレ抑制のために、金利を引き上げる(或いは金利を高止まりさせる)と景気にはマイナスとして作用する。特に金利動向に敏感である住宅産業などへの影響は顕著であろう。
世界経済の健全な成長と、2000年代前半の世界的な低金利による過剰流動性(金余り)で、多くの国の不動産市場は活況を呈してきた。低金利が必要以上に不動産の価格を上昇させてしまった可能性もある。ちょうど1980年代日本で発生したバブルのような現象である。一方、世界経済は全体的に堅調であることに加え、エネルギー・資源価格が上昇している事態に対応して、各国の中央銀行は政策金利を継続的に引き上げていった。金利の上昇は住宅市場を徐々に低迷させていく。市場が低迷すると住宅価格も上昇しなくなってくる。そうなると担保である住宅(或いは不動産)の価格上昇を見込んで作られた特殊なローンなども機能しなくなる。そして、住宅バブルは崩壊へと向かっていく。
しかし、ここで問題となるのは、インフレ抑制重視の中央銀行が多い中で、エネルギー・資源価格が上昇している状態が続くと、どうしても金融政策は引締め方向に傾きやすくなってしまうことである。 こうした場合、仮に住宅市場の低迷が始まったことを中央銀河認識したとしても、金利の引き下げ等の対応が遅れがちになってしまう。そのため、崩壊のショックは大きくなってしまう。
今回、米国で住宅市場の低迷が鮮明化しているが、第2、第3の米国が今後現れてきても全く不思議ではない。最も可能性の高い国は、当然、それまで住宅バブルとでもいわれるような現象が起きているところである。不動産価格が上昇している状態では、金融機関も多少無理をしてでも融資できるような体制に流れていきやすい。所得証明の提出なしでも簡単に融資を受けることができるといった状況も発生してくる。このような傾向が最近、英国、南アフリカなどで起きていると聞いた。おそらく他の国でもこうした現象はかなり起きているのではないかと推測できる。こうした国で不動産バブルが崩壊するリスクも考慮しておく必要があるかもしれない。
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