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マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー
第150回 ”ユーロに安定感” (2007/09/11)
米国の経済がいよいよ減速のリスクに晒されている。先週発表された米雇用統計では、雇用市場の低迷が鮮明となり、いよいよ今後米国の消費が落ち込み、景気が減速していくリスクがでてきている。今回の住宅市場の低迷によって、米国経済が徐々に減速していくのはほぼ確実なところであろう。残るは、どの程度の減速になるかという点に焦点が移る。つまり景気が軟着陸(ソフトランディング)するか、大幅な景気後退(ハードランディング)になるかという問題である。個人的には前者と考えているが、いずれにしても景気の減速は避けられそうもない。
一方、欧州は今回のサブプライムローン担保証券に多く投資をしていた金融機関が大きな損失を出したと報道されているが、それは単なる海外への投資したことの失敗であり、それが実態経済に影響を及ぼす性格のものではない。景気そのものは米国よりもより健全な状態にあるのはあまり議論の余地はないところではないだろうか。
現在は、金融市場の混乱によって、円高、円安を繰り返す展開となっているため、こうした点に投資家も目がいきづらくなっているが、金融市場の混乱もいつまでも続くものではない。混乱が落ち着いた後には、やはりユーロとドルのファンダメンタルズの差に改めて注目が集まるときは来ると思う。
また、今回の金融市場の混乱の中でもユーロは比較的安定している。例えは対円レートを見てもその傾向ははっきりしている。ここでは、NZドル円とユーロ円を比較してみることにする。
NZドル円の今年の最高値は97円80銭、本日9月11日午前10時現在78円70銭程度であるので、最高値20% 程度NZドル安円高となっている。一方ユーロ円を見ると、今年の最高値は168円95銭に対して、11日午前10時現在のレート156円50銭は7%強程度のユーロ安円高に留まっている。
こうした変動幅の違いは、ユーロとNZドルの市場規模の違いに起因している面は当然ある。しかし、それ以外にも元々の背景にも相違がある。最近よく話題になる円キャリートレードに代表される手法は、低金利のもので調達して高利回りのものに投資をするという投資行動である。為替市場で考えた場合、投資先として嗜好された通貨の代表的なものは高金利通貨である南アフリカランド、ニュージーランドドル、豪ドルなどである。一方、ユーロは非常に安定している通貨であるのも関わらず、他の通貨に比べて金利水準が高くないため、金利差狙いの投資通貨としてはあまり人気がなかった。それよりも中央銀行の外貨準備のドルからユーロへのシフトなどを代表とする安定的なポートフォリオの見直しによって、ユーロは健全な上昇を続けてきた。そのため、今回のような投資家のリスク回避の行動の中でも、ユーロは比較的安定していたということが言えるのはないだろうか。
米国経済が低迷し、政治的にも米国の指導力が低下している中では、米ドルに対するユーロの比較優位性は依然続くと考えることに対してあまり違和感はない。本来長期投資を目的としているのであれば、高金利が魅力という「色物」より、こうした安定した通貨への投資をするほうが、堅実であるといえるのではないだろうか。 もちろん、高金利は魅力である。しかし、高金利の通貨は総じて市場規模の小さな通貨に多い。そうした通貨は当然変動幅も大きい。あまりそうした通貨に集中して投資をしないで、あくまでも中心は安定した通貨において、サブ戦略として、高金利通貨にも一部投資をする程度の付き合い方をするほうがより安全だと思う。

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