マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー

第149回 ”1998年との類似点、相違点” (2007/09/04)

最近、今回のサブプライムローン問題での市場の混乱が1998年のケースに酷似しているという議論が盛んになっている。

たしかに、2つのケースは類似点がある。1998年のケースではロシアの債券がデフォルト(支払い停止)に陥ったことで、LTCMというヘッジファンドが経営破たんに陥ったことがきっかけとなった。問題は、このLTCMに大手米銀が大量の資金供給をしていたことで、これが信用不安を醸成し、金融市場全体の混乱を招いた。今回のケースもサブプラムローン担保証券という金融商品に投資をしていた多くの金融機関、機関投資家が損失を戸被ったことに端を発した金融市場の混乱という点では、問題の本質は1998年と全く同様である。

しかし、どの程度の影響がでるのかという震度に関しては、ここまでの値動きを見る限り、若干の相違点も浮かびあがってくる。

下の最初のグラフは1998年のドル円とNYダウ平均株価の推移を示している。2つ目のグラフは2007年のドル円とNYダウ平均株価の推移を示したものである。

1998年のドル円とNYダウ平均株価の推移

2007年のドル円とNYダウ平均株価

ここから、値動きでは2つのケースが若干違う動きを見せていることがわかる。

まず1998年のときは、7月頃から米国株式市場が下落傾向に入っている中で8月にロシア金融危機が発生し、株価が更に下落した。一方ドル円は8月の147円をピークに下落していたが、10月に入って再び急落している。そのとき、株価は底を打っており、あまり下落していないことが見て取れる。今回は、ドル円のほうが先にピークを打って下落し、8月に急落しているが、米株価のほうは、ドル円に1月ほど遅れてピークを打ち、その後下落している。しかも、下落幅は1998年に比べるとかなり小さい。

これだけで、すべてがわかるわけではないが、1つの推論として考えられるのは、1998年の場合は株価が急落したときも、ドル円のドル買い円売りポジションは解消しておらず、第2波で急落する展開を招いた。しかし、今回の場合は株価の下落以上にドル円での下落が急であることから現段階でかなりポジションが整理されている可能性が高いことということである。

 もちろん、サブプライムローンの問題は深刻化する可能性は否定できないものの、為替市場に関していえば、今後は7月8月ほどの大幅な円高になる展開は起きづらいという1つの推測は可能であると考えられる。

一般的に市場の調整幅がどの程度まで拡大するかは、ポジションがどの程度偏っているかにかかっている。現状IMMのポジションを見ても、円ショートは既に一掃されている。ある程度顕在している範囲内でのポジション状況を見ると、今後大幅な円高となるリスクは少ないということがいえるのではないだろうか。

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