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マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー
第143回 ”中国を中心に考える” (2007/07/24)
先日、中国の07年第2四半期の実質GDPが発表された。年率で+11.9%と事前予想の+11%をはるかに上回る結果となった。(ちなみに第1四半期は+11.1%)そこで今回はこうした中国経済の急成長の影響を中心に考えてみたい。 第2四半期のGDPが発表された翌日の20日、中国人民銀行は景気の過熱を抑制するために、日貸出金利と預金金利をそれぞれ0.27%引き上げすると発表した。また同日には中国政府は同日利子所得税を現行の20%から5%に引き下げると発表した。これは、やはり貯蓄に誘導することによって、株式市場の過熱を抑制すると同時にインフレも抑えたいという意図が含まれている。しかし、+11.9%という異常な成長をしていることへの対応としては、いかにも場当たり的でしかも中途半端であり、現状の成長を維持するという中国政府の本音が見える。
また、為替レートを見ると、人民元の対米ドルレートは年初7.8050近辺でスタートし、7月24日現在で7.5650近辺まで人民元が上昇しているが、この間の上昇率は3%強となっている。これは2006年1年間での人民元の上昇率とほぼ同じであり、確かに上昇のスピードは加速している。しかしながら、他の通貨を比べてみると、その上昇スピードの緩やかさが逆に鮮明になってくる。例えば、タイバーツだが、タイバーツの2007年年初の対ドルレートは36.0近辺であったが、現在は29.80近辺、この間に何と17%もタイバーツは上昇している。タイ成長率は年利率で4% から5%程度であり、これよりはるかに成長率の高い中国の通貨である人民元の上昇率が3% 程度と考えるといかに緩やかな上昇であるかがわかると思う。
つまりどの政策を見ても、中国は景気の過熱を本気で抑制する気など更々ないということである。これは、資本主義に目覚めた新興国としてはある意味必然的な行動パターンなのかもしれない。現在の中国は自国経済に強い自信を持ち、いわゆる「イケイケ」の状態になっている。こうした状態の中、景気にブレーキを踏むどころかむしろアクセルを踏んでいるかもしれない。
現状、先進国の中で環境問題に関する議論が継続的に実施されている。しかし、本来こうした問題には、中国などのように急成長に歯止めがかかっていない国を巻き込む必要があるのだが、中国は自分達は発展途上国であるということを理由にこうした議論に加わろうとはしない。そんなことより自分の利益優先なのである。人はどうしてもお金儲けをしたがる。商売も拡大し、お金もドンドン儲かるような状態で、少し、ブレーキを踏むようなことを要請したとしても、殆どの人は耳を貸さない。この急成長は、息切れをするか、それによるマイナスの影響が顕在化するまで続くであろう。
さて、こうした状態の中で今後おそらく発生することは以下のようなことが考えられる。
- 今後も米中間の貿易不均衡は拡大する。それによって、受け取った米ドルを中国が分散投資すれば、市中にドルがばら撒かれるため、ドルは減価(下落)する。
- 中国の旺盛な需要により、資源価格は今後も上昇する。そのため、非資源国から資源国への富の移転が今後も続く。従って、資源国通貨は今後も強くなる。また、非資源国の国力は相対的に低下していく。
- 中国との経済関係が密接な国は中国の急成長の恩恵を受ける。
- 中国の旺盛な需要により、資源価格、特にエネルギー価格が上昇し続ける。そのため、世界中でインフレ傾向が継続する。仮に、経済が低下傾向に入る国(一番可能性の高いのは米国、次にニュージーランド)でもインフレは低下せず、スタグフレーションの状態に陥る可能性がでてくる。
こうした影響を念頭に置きながら、今後投資戦略を考えていく必要があると考えている。
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