マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー

第141回 ”短期取引ではイベントリスクは避ける” (2007/07/10)

外国為替を使った投資手法にもさまざまなやり方がある。全体の資産構成を考えながら長期的な観点で外貨投資を自分のポートフォリオに組み込む人がいれば、証拠金取引の仕組みを活用しながら比較的短期で売買する人もいるであろう。また、瞬間的な上げ下げを狙うスキャルピングを得意とする人もいるかもしれない。

長期投資を中心に行っている人は、短期的、かつ一時的な値動きにはあまり動揺せず、じっくりと投資する姿勢が求められる。しかし、短期の取引をする人にとっては、一時的な値動きも注意をしておく必要がある。突発的なものは避けようがないものの、事前に予定がわかっている指標や行事、要人発言などに対しては、ある程度事前にリスクを予期することは可能である。こうしたリスクを一般に「イベントリスク」と呼ぶ。
こうしたイベントがある場合、結局は円安(或いは円高)にいくからさほど気にしなくてもいいという程度のものであれば問題はない。しかし、イベントの結果によってどちらにいくかよくわからないようなケースでは、この勝負自体が確率的にあまり分のよいものではないので、イベントリスクはできるだけ避けるほうが賢明である。

例えばということで1つ直近の例を挙げてみる。

今週、日銀の金融政策会合が開催される。今回は金利の据置きが予想されているが、これに関してはほぼ確実な状態であり、これ自体はあまり大きな材料とはならない。しかし、それにも関わらず今回の会合は重要である。

まず、前回6月に実施された会合では全9名のメンバー全員一致で金利の据置きが決定されたが、今回はひょっとするとメンバーの何名かが利上げに票を投じる可能性がある。仮に利上げに3名或いは4名賛成ということになると、後1-2名が利上げに賛成すれば利上げが決定されるという状況になるため、いよいよ8月の利上げに対する市場の期待感が高まってくる。

また、今回の会合では展望レポートの中間評価が行われる。日銀は毎年4月と10月に「経済物価情勢の展望」通称展望レポートを発表しているが、今回の会合では4月のレポートで示された基本認識に対する中間評価が実施される。前回の展望レポートでは、景気は底堅く、物価は目先上昇しないものの年の後半になってくれば上昇する可能性が高いという見解を示していた。発表から3ヶ月経過した今回の会合で、4月の認識が現在も変わっていないという評価になれば、いよいよ利上げ実施の環境が整うことになってくる。

仮にこうした状況になって、市場が利上げを期待し始めると一時的にしろ円高が進む可能性が高くなってくる。

昨年7月に利上げを実施した際も今年2月に追加利上げが実施された場合も、利上げ実施以前に市場には利上げ期待が高まり、為替市場も円高の展開となった。そして、実際に利上げが実施されると再び市場は円安に戻っていったという過去があるからだ。もちろん、2回のケースとも円高の展開は一時的なものに終わり、結局は更に円安が進行するという展開になった。イベントに対する短期的な動きと、長期的なトレンドとは必ずしも一致しないことは強調しておきたい。

今回のケースはあくまでも例として出しているだけであるので、これを推奨しているわけではないが、逆にいくリスクがある程度高いと感じた場合は、イベントの結果を確認するまで、様子見をするというのも短期取引をする上でのリスク管理の観点からは重要ではないかと考える。


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