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マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー
第137回 ”米国の時代から中国の時代へ” (2007/06/12)
先日、米連邦準備制度理事会(FRB)が国際通貨基金(IMF)の調査などを元に推計した結果を日経新聞が紹介をしていたので、今回はこれを取り上げてみたい。記事によると、先進国と新興国の間での投資マネーの流れは1998年までは先進国から新興国への流れる投資資金のほうがネットで多かったのが、1998年にこの関係が逆転したそうである。 その後もその流れは続き、2003年頃から急速に差が拡大し、2006年には新興国から先進国向けに流れた投資マネーはネットで6380億ドル(約78兆円)にも達したということである。その中身を見てみると、中国からの投資資金流出が2300億ドルと最も大きく、その次がロシア、中東諸国と続いている。そして、この中国、ロシア+中東諸国13カ国で実に全体の8割を占めているということであった。
現在、米国は経常収支最大の赤字国であるが、その最大の原因は中国である。また、米国は資源輸入国であるため、高騰した資源価格の影響で資源国に大量の資金を支払っている。資金の行く先は、中東やロシアなどの資源国である。こうした資金フローが現在の為替相場に大きく影響を及ぼしているのではないかと私は考えている。
まず、中国であるが、中国は現在、大量の外貨準備を抱えている。外貨準備の多くは米国との貿易によるものだとすれば、当初は米ドルで受け取りをしている。しかし、中国人民銀行はこれをすべて米ドルで保有しているわけではなく、一部をユーロなどにシフトしている。そのため、市場にユーロ買い米ドル売りが発生することになる。また、この状況は中東諸国も同様である。世界の原油市場は米ドル建てで取引されているために、中東諸国は原油の売却代金を米ドルで受け取る。しかし、彼らはその資金を分散投資する。最近こうしたオイルマネーが多く入り込んでいたのは、ユーロ圏、イギリスなどだといわれている。こうした資金フローで欧州通貨が上昇し、逆に米ドルが下落してきたという推測ができる。資源価格の高騰によって、莫大な資金を獲得したロシアの投資資金も欧州に大量に流れ込んでいるようである。
また、中国やインドなど現在経済が急成長している国は、資源の確保に躍起になっている。そのため、オーストラリア、カナダなどの資源国に莫大な投資をして安定的な資源供給の確保を試みている。こうした資金の流入が資源国の通貨を上昇させるという効果もでてくるであろう。
20世紀後半は「米国の時代」であり、資本市場も米ドルを中心にして動いていた。しかし、21世紀は「中国の時代」といわれている。中国だけではなく、多くの新興国が台頭する世紀になってくるというのは容易に想像がつく。そうなると世界を駆け巡る資金フローもそれまでとは違った形になってきても全く不思議ではない。既に、中国が急成長してきたことの影響が世界中に波及していることは否定できない事実であろう。
私達も、こうした時代の変化に応じて、相場を見るときの「視点」を変えていく必要があるというのが私の持論であるが、今回のこの記事は、こうした持論を益々確信させるものであると思っている。
皆さんが個人的に中国という国が好きかどうかは別として、世界の為替相場を見るときには、是非中国を中心にして考えてみることをお勧めしたい。
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