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マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー
第120回 “Buy the rumor , sell the fact” (2007/02/13)
以前このテーマについてはお話したことがあると思いますが、今回はこのテーマの非常に良い例なのでもう1度取り上げてみたいと思います。
先週末7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が閉幕しました。
今回のG7では、欧州サイドから事前に最近の円安についてG7で何らかの是正合意をしたいという発言があり、市場に衝撃を与えました。 しかしその後、米国が消極的な姿勢を見せるなどして円高警戒ムードが一気に後退し、先週の水曜日から急激に円安が進行していくことになったのは皆さんよくご存知だと思います。特に欧米の投資家がユーロ円、ドル円を大きく買い、同時にユーロ円、ドル円のコールオプションも大量に購入したようです。尚、例に出している、為替レートや手数料(プレミアム)は適当なものを使っていますので、実際のレートとはかけ離れていると思いますがご了承ください。
その状態でG7が閉幕し、やはり何もなかったということが確認されました。
さて、これでいよいよ円安が進行していくか? 事前に円売りを仕込んでいた人は当然そういう期待をする筈です。週明けの月曜日、シドニー市場が開きました。それほど大きな動きではなかったもの、とりあえず順調に円安の展開で始まります。ドル円も122円台に乗り、ユーロ円も159円の史上最高値をつけました。
円売りを仕込んでいた人がしめしめと思っていたのも束の間で、その後ジリジリと円高に戻っていきます。
先に円売りを仕込んでいた人たちは、こうした動きを見てがっかりします。G7が終わると一気に円安になると思っていたのに、全然円安にならないとなると、彼らは失望感から円売りのポジションを一旦手仕舞う(止める)と円買いを進め、そうした行動が更に円高を加速していくという展開になっていきました。
これは正に「But the rumor, sell the fact 」現象が起きる過程を示しています。
今回のG7では、今回のG7の草案作成の総責任者であるミロー独財務次官が「今回のG7では大きな変更はないだろう」と円に関する言及がないことを示唆しました。その結果円売りムードが一気に高まり、G7前に大きく円安に振れましたが、G7後はかえって円高が進むという展開となったわけです。
これが、もし事前に、どのような結果になるのかが予想できない状態で、こうした結果になっていれば、G7後に一気に円安の展開になっていた筈です。これが相場の面白いところで、同じ材料に対しても、その前の動きかたによって、後の反応が異なってくることがあるわけです。
こうした現象をよく理解しておけば、或る程度相場の動きを読むことが可能です。
例えば、日銀が利上げをするという観測が発生したとします。市場関係者がこれはまずいと敏感に反応し、円買いをしていきます。実際の会合が近づくにつれていよいよ利上げが確実だというムードが高まっていけば、みんなは利上げに対して十分な準備をします。円売りをしていた人は一旦手仕舞って、中には短期的に円高になると思って円ロング(円買い)にする人も現れてきます。
この状態で実際の利上げを迎えたとき、市場はこの利上げに十分に準備ができているために、そこからは円高にならず、逆に織り込みすぎの解消で円安に動いてしまうという現象が起きます。実際昨年3月に量的緩和を実施したときも、7月に0.25%利上げを実施したときもこういう動きになりました。(むしろ、実際は会合の少し前からまき戻しが起きていますが)
毎回、毎回同じことが起きるとは限りませんが、事前に確実視されている何かの決定がなされたときは、市場は事前にそれを織り込んでしまうので、その結果が判明した後は、かえって逆方向に動くケースがしばしば起きるということをよく頭に入れておきたいと思います。
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