マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー

第118回 “米国景気は底入れの可能性” (2007/01/30)

ここのところ、ドルの上昇が際立っています。ドル円が122円台に乗せたのが最も顕著な動きですが、それ以外に通貨に対してもドル高が進んでいます。例えば、対ポンドなどでは、1ポンド=1.99台までポンド高ドル安が進んだ後は、また1.95台にまでポンド安ドル高になってきています。(1月29日現在)
さて、こうしたドル高の背景には、一時期盛り上がりを見せていた米国の利下げ期待が急速に後退してきたことを挙げることが出来ます。昨年の8月まで、FRBはインフレ抑制の為に利上げを実施してきました。その後、利上げの悪影響で景気がやや落ち込んできたために一旦利上げを休止しました。そのころから市場では、今後アメリカ経済が減速に入り、FRBも早い時期に利下げをするのではないかという観測が広がりました。そうした観測を受けてドルにも下落圧力がかかっていったわけです。
金利の引き上げで一番冷え込んだのは、住宅市場です。市場関係者は住宅市場が落ち込めば、国内消費も低迷し、インフレ率も徐々低下してくるためFRBは利下げに踏み切るであろうと予想していました。しかし、実際はクリスマス商戦なども比較的好調で消費はなかなか落ち込みませんでした。おそらく、株価が高かったことが消費を支えたのではないかと個人的には思います。
さて、そうやって市場関係者の大方の予想に反して消費が強いという状態が続いている間に、住宅市場でもFRBが金利の引き上げを休止した効果が出てきた可能性を示すテータが出始めました。
下の表は、米国の住宅市場の販売件数の推移を示したものです。赤の線は新築住宅の販売件数推移で左軸になります。青の線は中古住宅の販売件数推移で右軸になります。

これを見ていただくと、住宅の販売は新築中古ともに2005年後半ぐらいから徐々に低下しています。その後、昨年の夏場あたりまで、下落が続きますが、それ以降は下落幅が急速に鈍化し、秋口以降は下止まりを見せて、むしろ若干ではありますが、増えてきていることが見て取れると思います。FRBが利上げを休止したのが昨年の8月です。つまり、FRBは金利の引き上げを止めたのと時期をほぼ同じくして、住宅市場も底入れをしているという結果になっているわけです。
これが偶然なのかどうかはもう少し時間をかけてみる必要があるかもしれません。しかし、今のところそういう傾向がでているのは事実で、これから、ひょっとすると、住宅市場は回復基調に入る可能性も否定できなくなってきました。
もちろん、経済は生き物なので、この先もまだまだ変化していく可能性が十分に残されています。
しかし、現状起きていることだけで判断する限り、一時期心配されていたような極端なアメリカ経済の後退によるドル暴落の可能性はかなり低くなってきていて、むしろ、場合によっては景気がまた回復基調に入る可能性ででてきたことといえるのではないでしょうか?

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