マット今井「トレーディングのつぼ」バックナンバー

第40回 相場の見方9「いろんな国同士の関係を知ろう」 (2005/4/25)

世界にはいろいろな国があります。それぞれの国は政治や経済でいろいろと付き合いがあったりします。そういう国同士の関係を考えるというのも非常に重要なポイントです。
こうなると連想ゲームの世界で、「Aという国で何かあるとBとういう国にこういう影響が出る」という発想で為替相場も動きます。
例として現在注目されている中国元(人民元)の話を取り上げてみたいと思います。中国はここ10年ぐらいに急速に経済が発展してきました。戦後の日本と同じように、まだ、経済が成熟していない状態では、いろいろな規制を設けて、経済発展が壊れないようにコントロールされています。例えば、中国元は未だ中国国内でしか取引ができません。
また、外国為替の制度も、先進国ではほとんどが変動相場制を採用して、為替レートの水準を市場にゆだねているのに対し、固定相場制を採用しています。中国元と米ドルの交換レートを固定して、1日の動きをそのレートから0.3%以内に抑えるというやり方ととっています。これが今世界中から批判を浴びています。


最近の中国は経済が急成長し、その結果他の国への輸出が増加して、貿易の黒字がどんどん大きくなっています。それなのに、為替レートを固定して「安い中国元」のままの状態にして価格競争力を維持しているので「けしからん」と各国が怒っているわけです。
特にアメリカは中国に対する貿易赤字が拡大し、アメリカの貿易赤字のうち最も大きい赤字対象国になっています。そのため、国内の製造業者から「中国元が安いためにみんな中国に工場を作ってものを作っている。アメリカ国内での働く場所を中国が奪っている!」と怒り心頭の状態です。
しかし、中国共産党にとっては、外国からの圧力で中国元を切り上げたとなれば、威厳に関わります。アメリカが人民元を切り上げろ!と叫んでいるからといってそれで、中国元が切り上げるかというのはちょっと短絡的です。しかし、中国はWTOも加盟し、2008年にはオリンピックを、2010年には万博を開催します。それに向けて、国際化を推進していかなければならないのも事実です。
実は来月、中国は外国為替のインターバンク市場を立ち上げます。これは来るべき中国元の規制緩和への第1歩です。こうやって、体制をしっかり整えてから、切り上げや開放をしていくのが、中国のやり方です。従って、そんなに極端な政策もでてこないでしょうし、時間もじっくりかけてやるでしょう。

さて、仮に中国元が切り上げすると他の通貨にどういう影響がでるでしょうか?
今、中国元の米ドルに対する切り上げの噂がでると、市場は円高の方向に反応します。これを市場用語では「連れ高」と呼びます。中国元が切り上げられることによって、中国企業の価格競争力が弱くなるので、日本企業が有利になるので円が買われるという理屈なのか、はたまた、日本と中国は同じアジアの国で距離も近いので、中国元が高くなると日本円も高くなるという極めて単純なイメージかもしれません。 しかし、本当のところは日本と中国は輸出している製品もあまり重なっていないし、もっと重要なことは日本の企業は中国に沢山工場をもっています。元が切り上げられると日本の企業は困るのではないでしょうか?禅問答のようですが、元が強くなると本当に円も強くなるのか皆さんもご自分でゆっくり考えてみてください。

為替市場は非常に短期的にはイメージで反応してしまうことが時々あります。本当に切り上げをしたら、最初は円高になった後、市場が間違いに気がついて以外に円安になっていったりするかもしれないのでご注意あれ。


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