マット今井『トレーディングのつぼ』バックナンバー

第25回 トレードの心掛け4(新春版)「すべては自分の責任」(2005/1/4)

みなさん、明けましておめでとうございます。本年も宜しく御願いします。
年初早々大荒れの外為相場で、私も痛手を負いましたが、めげずに一年やっていきたいと思います。

さて、心掛け編も4回目となりましたが、今回は新春版ということで、少し長めに書こうと思います。テーマは「自己責任」です。
現代はよく自己責任の時代といわれますが、トレードでもこれは同じです。当たり前ですよね、自分のお金を自分で運用しているのですから。ところが、頭ではわかっていても、中々そのことを体で理解できている人は少ないように思います。
例えば、講演会とかで有名なエコノミストが「今年は円安に行く」と言ったのを聞いて、それを信じてドル買い円売りをしたとしましょう。ところが、全く円安に行かない、それどころかどんどん円高になっていって、損が膨らんでいく。「何だよ、あいつの言ったことを信じてやったのに全然当たらないじゃないか」と怒ってみたり「信じた自分が悪いよな」と自分を納得させてみたりする。
よく耳にする話です。


日本人にはとても悪い癖があります。それは権力や権威に弱いということです。名前を聞いたことがある有名な人の有難い話を聞くと直ぐ信じてしまって、「あれだけ有名で偉い人の言うことなのだから間違いない筈だ」と思い込んでしまいます。特に年配の方に多いのではないでしょうか。
私も駆け出しのディーラーの頃、こういう失敗を何度となくしました。有名な人の話を真に受けて、相場を張って大損したこともあります。そうした失敗を繰り返してたどり着いた結論が2つあります。

1. 有名だということと、言うことが当たるかどうかはあまり関係がない
2. 人のいうことを真に受けて失敗すると、後悔が大きく後に引きずる

今はちょうど、今年の相場予測というのが、新聞や雑誌で紹介されていると思います。でもこうした予想はあまり当てにはならないことが多いです。実際に昨年の相場予測を見返してください。為替相場に関しては、昨年、殆どのエコノミストが、年初は円高でその後円安になり、115円から120円を目指すといっていました。かくいう私も同じような内容の予想ををいくつかの雑誌に書きました。 しかし、実際はどうなったでしょうか?年後半にかけて、円安どころか、100円をも切ろうかという円高になりました。ところが、昨年の相場予想が当たっていたかどうかなんて、今では誰も気にしていません。そして、そのことは忘れて、また今年はどうなる?と相場予想を立てています。予測というものはそういうものです。 また、予想をするに当たっては、みんなが聞いて納得する理由が必要なので、どうしても通り一遍の予想になる傾向があります。 理由を聞くと確かに理路整然としていて、成る程とうなずいてしまいます。

ところが市場はそういうものではありません。 私達トレーダーは市場が理屈どおりに動かないことを知っています。成る程思うような話をされても、話半分に聞くようにします。 また、マーケットの人達は移り気で、飽きっぽいことも知っています。私の経験上、同じネタをテーマに相場が動くのもせいぜい数ヶ月です。それを超えると飽きが来ます。人間ですから当たり前です。材料の賞味期限は数ヶ月と思っておいてください。


市場が次に何をテーマにするかは正直言ってわかりません。昨年後半、アメリカの双子の赤字に焦点にあたり、ドル安が進行しました。しかし、こんな使い古されたネタが再び注目を浴びるなどとは殆ど誰も予想していませんでした。忘れたように昔のネタをひっぱり出してくるのは為替相場での常套手段です。しかし、実際にその局面になってみないとそれはわかりません。どこからともなく、誰からともなく始まるからです。
我々トレーダーは話題になった時点からそれに対応していけばいいのです。そのネタでその後数ヶ月は食えるからです。とりあえず、1年間の予想はしても、違うことに市場が注目し始めたら、その都度、見方を修正して対応していくというやり方がトレーダーの性です。相場をあてることでは目的ではなく、稼ぐことが目的なのでこのやり方がいいと思っています。

そうはいっても、一般の人はどういう風に相場を考えたらいいのかよくわからないかもしれません。まずは、専門家と言われる人達の意見をひとまずいろいろと聞きましょう。そして、どれが、自分として信じられるかを決めてください。そして、一度決めたら、誰が言ったからとからではなく、自分の判断として行動してください。その際に大事なことはあまり長期の予想を当てにしないことです。せいぜい、3-4ヶ月程度までの相場予想を大事にしてください。 また、トレードで負けたことをマーケットのせいにする人も良く見かけます。「何で俺が買うと売りのニュースが出るんだ!」とか「こんな局面で、下がるのはおかしい。マーケットが間違っている」などという展開がしばしばあるでしょう。 しかし、それはたまたまです。負けたのは自分が下手なせいです。負けるようなタイミングで売買をしてしまっているだけです。それを、認識した上で、どうしてそういうタイミングで売買してしまうかをよく吟味してください。必ず、共通した原因が見つかるはずです。自分をよく見つめてください。

今日の教訓
「何事も自分で決めて自分で行動した結果。うまくいかないのは自分のせい」 今年も宜しく御願いいたします。

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※外国為替保証金(証拠金)取引業界における「口座数」「預かり資産」の2部門。期間2009年3月までの5年間。
参考資料:(株)矢野経済研究所『2009年版 FX(外国為替証拠金取引)市場の動向と展望』