欧州情勢レポート

2012年8月22日更新

当面の欧州債務問題については、以下の点が軸になってくるでしょう。

  • ギリシャの債務削減目標の達成時期延長について
  • ECBの政策
  • ドイツでのESM合憲判断の行方

ギリシャの債務削減目標の達成時期延長について

現在、ギリシャは国債支援を受けることと引き換えに、2014年末までに財政赤字を対国内総生産(GDP)比3%未満の水準にまで低下させる緊縮財政措置の実施を求められています。しかし、昨年の9.3%から残り2年あまりでこの水準まで財政赤字を押し下げようとすることは景気・世論的に大変困難で、ギリシャのサマラス首相はこの期限を2年延長するよう欧州各国、特にメルケル独首相とオランド仏大統領と交渉しようと試みています。
ドイツはギリシャの債務削減措置緩和に対して強く反発する姿勢を示しており、この期限延長交渉がすんなりまとまる可能性は高くありません。ユーロ圏各国の足並みの乱れはユーロの売り要因視される傾向にあるため、関連の報道には注意が必要です。

ECBの政策

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は「ユーロ圏を崩壊から守るために出来ることを、責務の範囲内でなんでもする用意がある」と発言していますが、スペインを中心とする問題国の国債購入の再開についてはドイツ連銀のバイトマン総裁が否定的な態度を示しており、ECBはなかなか具体的な対策を打ち出せずにいます。ただ、メルケル独首相はドラギECB総裁の発言を支持する発言をする様子も見せており、バイトマン独連銀総裁との方針の違いがやや浮き彫りとなっています。9月6日のECB理事会に向けてバイトマン独連銀総裁の態度が軟化し、ECBの国債買い入れ再開となるのか、注目されます。国債買い入れが再開されれば問題国の国債利回りが低下すると見られます。これはユーロには買い材料視される見通しです。

ドイツでのESM合憲判断の行方

当初、7月稼働目標だった欧州安定メカニズム(ESM)ですが、ドイツの連邦憲法裁判所が合憲・違憲の判断を出すのに9月12日まで時間が掛かるとしたことから、稼働が延期されています。無事に合憲となればESMが本格稼働に向けて動き出すと考えられますが、万一「違憲」と判断されてしまうと、欧州問題国を救済するメカニズムの稼働ができない点が大きなユーロの売り要因となります。

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