欧州情勢レポート

2012年6月19日更新

当面の欧州債務問題については、以下の点が軸になってくるでしょう。

  • ギリシャ選挙
  • スペインの金融不安
  • EU内の足並みについて

ギリシャ選挙

2012年6月17日に実施される再選挙によって、旧与党が改めて過半数の議席を確保できれば、一旦ギリシャの政情不安は落ち着くと見られます。しかし一方で、SYRIZAを含む反緊縮財政派が過半数議席を取るような事態になれば、緊縮計画の頓挫からEU/IMFからの支援打ち切り、ひいては無秩序なデフォルト、ユーロ圏離脱など、先行きに対する不安が急速に強まると考えられます。後者の場合、ユーロはかなり大きく売られるでしょう。再選挙の結果が出るまでは、様々な思惑が交錯する、不安定な相場が予想されるでしょう。

2012年6月19日追記
2012年6月17日に行われたギリシャの再選挙では、旧連立与党の新民主主義党(ND)と全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が合計で過半数の議席を確保。新政権は欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)と合意した緊縮財政策を維持(一部見直すとしながらも)すると見られる事から国際支援の継続が見込まれ、ひとまず同国のユーロ離脱の可能性が大きく低下する事になりました。今後については、GDP(前年比)-6.5%、失業率(第1四半期)22.6%という厳しい経済状況を打破するためにも、EU/IMFとの緊縮財政策の見直し交渉で支援条件の緩和をどこまで進められるかが焦点となります。しかし、抜本的な条件見直しにはドイツなどの反対が予想されるため、ギリシャの思惑通りに交渉が進まない可能性もあります。そうなると、ギリシャ国民の不満が再燃して反緊縮派が息を吹き返し、新政権が短命に終わるリスクも浮上してきます。

スペインの金融不安

スペインでは一部国有化された大手銀行バンキアの他にも、多くの銀行が増資および公的資金注入を余儀なくされる流れになっています。しかし、スペイン政府はもはや十分な資金の確保が難しい状態。これを受けて、ユーロ圏財務相は6月10日、スペイン政府の正式な要請を待って、同国の銀行を最大1000億ユーロ支援することで合意しました。これによって一旦スペインの金融システム不安は後退しています。しかし、この融資の原資を時限措置の欧州金融安定ファシリティ(EFSF)から拠出するか、7月から稼働予定の欧州安定メカニズム(ESM)から拠出するかなど、具体的な融資方法についてはまとまっていません。ここがなかなかまとまらないようだと、その先行き不安がユーロの押し下げ要因になってくる可能性があります。

EU内の足並みについて

EUの財政規律強化についての新協定はEU25カ国で合意にいたりましたが、2012年6月の施行に向けて、現在は各国の議会での承認が出そろうのを待っている状態です。しかし、ギリシャで緊縮策に対する国民の反発が他の国にも波及しており、新しい財政協定についての各国議会での承認がスムーズに行かない様子が見受けられます。これが否決される国が出てくるようだと、欧州の足並みの乱れを嫌気し、ユーロが売られる要因になりそうです。
これら問題についての要人発言や観測報道、格付け会社の見解、また各国の国債利回りなどは、今後もユーロ相場を動かす大きな要因となってくるでしょう。

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