月曜コラム「週刊 独り言」|FXブログ|外為どっとコム

ディーラー失職?

日曜日の日経新聞の朝刊でショッキングな見出しの記事を見つけた。

見出しは"ディーラー、失職の危機。"

2016年9月に日銀が長期金利をゼロ%程度に誘導する金融政策を導入して以来日本国債(JGB.)の金利は終値ベースで0.10%を超えた事は無く、2016年11月から0.01%から0.10%の間に張り付いているが、世界的な債券利回り上昇の機運の中日銀が国債買い入れ増額などで金利上昇を力づくで抑えており、ボラティリティーが極端に下がって利益チャンスが細り、債券ディーラーは"こんな状態では商売はやっていけない。"と嘆く中、雇い主の金融機関は事業の縮小を図って結果ディーラーが失職の危機に晒されていると言うのである。

10 yeras JGB.png

(チャートは過去1年のJGB.10年物利回りの推移。 ブルームバーグ参照。)

この記事を見ても余り驚かなかった。

実は為替ディーラーの世界でももうだいぶ前から同じ様な事が起きていたからである。

これは為替相場が動かなくなったからではない。

先ずは銀行に対する規制が厳しくなって自己勘定取引(顧客との取引ではなく、自分がリスクを取る所謂Proprietary trading.)が難しくなり、昔からの為替ディーラーの本領であったリスク・テイキングが出来なくなってきたことや、A.I.=(人工知能)やアルゴリズムの台頭で人(為替ディーラー)のニーズが減ってきたことも挙げられよう。

(何せ機械は文句を言わず、残業代も請求せずに黙々と24時間仕事をし続けますからね....)

必然的に花形ディーラーの出番は無くなり、ディーリング・ルームでは昔の様に"Yours !"=(売った!)や"Mine !"=(買った!)の怒号は聞かれなくなりカシャ・カシャと電子取引の機械の端末を叩く音だけが聞かれるようになってきた。

寂しい限りだがこれが時代の流れと言う物。

為替ディーラーには二つのタイプが有り、インターバンク・ディーラーとカスタマー・ディーラーの二つに分ける事が出来る。

インターバンク・ディーラーとは読んで字の如く銀行間での取引をするディーラーで経験を積むとチーフ・ディーラーと成ってチームを任され、自分ではProprietary trading.を行う。

カスタマー・ディーラーとはこれも読んで字の如くカスタマー(顧客)と話をして銀行の全体の相場観(House view.)や自分の相場観を述べて仕事を貰う。(為替取引をして貰う。)

昔は顧客と言えば商社、輸出メーカー、輸入業者そして生保などの機関投資家などの実需の顧客が殆どであったが1998年に外為法が改正となって個人の為替取引が自由化されてからは個人投資家が東京外為市場の勢力図を一変させて現在はシェアは5割を超えると聞く。

我が国の個人投資家は伝統的に金利の低い円を売って高金利通貨を買う傾向が高いので結果的に円売り&その他通貨買いの取引が多くなる。

下の表は今年1月からの個人投資家に最も人気の高い豪ドル・円の外為さんの売買比率であるが常に70~80%の比率で圧倒的に豪ドル買いポジションが多い。

AUD JPY Hiritu.png

その間高値は2月15日に付けた88.17、そして安値は4月19日に付けた81.49で現在は高値近辺に値を戻しているが相場に関係無く豪ドルのロング・ポジションが変わらないのは大変興味深い。

AUD JPY Chart.png

さて少し話が逸れたが我々の世界では"ディーラー殺すのに刃物は要らない。ボラティリティーさえ奪えばいい。"と言う格言めいた物が有る。

スイス・ショックの様な過度の付いていけないボラティリティーは御免だが、程々のボラティリティーがディーラーに利益チャンスをもたらす。

滅茶苦茶に相場が動いては困る。

かと言って動かないのはもっと困る。

まあ難しい時代に成ったもんですなあ。



  銀行を辞めて既に16年にもなるんだと感無量の塾長。


コメントを書く

ニックネーム (必須)

コメント




※ 『投稿』 ボタンを押す前に必ず画像に表示されている文字を入力してください。
※ 画像認証には有効期限(現在は30分に設定しております)があり、それを超えてしまうと正しい文字を入力されていても投稿に失敗する場合があります。

酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表
酒匂 隆雄 (さこう たかお)氏

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で敏腕ディーラーとして外国為替業務に従事。その後1992年、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行、さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長に就任した。現在はコメンテーターとしても活躍中。

詳しくはこちら

ESCARPMENT

ブログカレンダー

 


業界最狭水準スプレッド

上限なしキャッシュバックキャンペーン

高金利通貨キャンペーン

口座開設キャッシュバックキャンペーン