月曜コラム「週刊 独り言」 外為どっとコムFXブログ

危険な取引慣行?

  • 2013年2月18日(月)10:22

毎日曜日に自宅に配達される“日経ヴェリタス”を読んでいたら、興味の有る記事を見付けた。

その題は、“国内FX会社の危険な取引慣行”である。

記事によると、金融先物取引業界の調べによると、取引額のうち80%以上をカバーしている店頭FX会社は昨年10月時点で48社と調査対象の8割近くを占めているのだが、金額ベースでみるとカバー率は全取引額の5割程度に留まるらしい。

カバーとは、FX会社が顧客と取引した反対取引をインターバンク市場(プロの銀行同士が取引する、謂わば卸の為替市場。FX会社は直接インターバンク市場には参加出来ないので、取引先の銀行を使ってカバーする。)で行って、リスクを背負う自己ポジションを清算する事を意味する。

上の記事は、調査したFX会社の8割はちゃんとカバーしているのだが、取引金額の半分はカバーされていない、言い換えればFX会社が“呑んでいる。”事を意味する。

もっと分かり易く説明すると、インターバンク市場のドル・円相場が93.50~93.51で、それと同レートをFX会社がQuote.=(相場の提示)をしており、顧客が@93.51でドルを買ったとすると、FX会社はなるべく早く@93.51以下でインターバンク市場でドルを買って、リスクを回避する様に努力する。
逆に顧客が@93.50でドルを売ったとすると、FX会社はなるべく早く@93.50以上でインターバンク市場でドルを売って、リスクを回避する様に努力する。

@93.51で顧客に買われたドルを上手く@93.50で買い戻す事が出来れば、FX会社は1銭の利益が出る事になり、逆に@93.50で顧客が売って来たドルを上手く@93.51で売る事が出来れば、FX会社は1銭の利益が出る事になる。

こう書くと簡単そうだが、@93.51で顧客に買われた直後に相場が@93.52になってしまえばFX会社は1銭の損失を被ることになり、逆に@93.50で顧客がドルを売って来た直後に相場が@93.49になってしまえばFX会社は1銭の損失を被ることになる。

FX会社にとって最も楽で、しかもリスクが無いのがマリーと言って、顧客の売買を相殺してしまう事である。
こんな事は有り得ないが、相場が1日中93.50~93.51で張り付いていたと仮定して、ドルにBullishでドルは上がると見る顧客が@93.51で買って行き、ドルにBearishでドルは下がると見る顧客が@93.50で売ってくれると、FX会社はそのスプレッドである@93.51-@93.50=1銭が1日中転がり込んで来ることになるが、それは有り得ない。
だからFX会社は“なるべく早く”カバーをして、リスクを回避しようと努めなければならない。

では何故FX会社は取引金額の約半分をカバーしないで自らをリスクに曝すのであろうか?

理由は極めて簡単である。
リスクを取らないと儲からないからである。

塾長は随分前から、スプレッド(売りと買いの相場の幅)の縮小競争や、手数料の撤廃に疑問を抱いていたのだが、まあこれは資本主義市場における競争。
顧客はスプレッドの狭い業者と取引したいであろうし、なるべく安い、或いは手数料の無い業者と取引したいのは当然であろう。

でもこれは、元為替ディーラーの観点からすると、どう考えてもおかしい。

インターバンク市場のスプレッドが1銭以下と言う事は有り得ないのに、どうしてスプレッドがそれよりも狭いのか?
(いや、違うんだ。A銀行が93.50~93.51でQuoteし、B銀行が93.49~93.50でQuoteしていれば、買う時はB銀行から@93.50で買い、売る時はA銀行に@93.50で売る事が出来るので、理論的には@93.50を中心に93.498~93.502の0.4銭幅で顧客に相場を提示出来るのだ、と言う人が居るかも知れないが、何時もそうは上手くは行くまい。)
あ、それと雇用統計などの指標の発表の時でも、頑なに狭いスプレッドを提示しているが、あれは全くのナンセンス。
インターバンク市場のスプレッドが20~30銭になったりしているのに、どうして 1銭のスプレッドをQuote.出来るのか?
何か、変だなと思う。

まあいいや。
皆さんは、FX会社の過当競争を上手く使っちゃえばいいのだ。

さて、日経ヴェリタスが危険な取引慣行と言い切ったのには理由が有る。
相場がある程度のレンジンの中でゆっくりと推移していると、“呑んでも”リスクは小さいが、相場が急激に一方向に動きだすと極めて危険である。

相場が下がる。
当然、多くのプレーヤーが売りたがる。
相場はもっと下がる。
呑んでいると、どんどんロングが溜まって、気が付くと大きなロング・ポジションを抱え込んでいる事になる。
相場が戻ればいいが、戻らなければ膨大な為替差損を抱え込むことになるのだ。

まあ、他人の事だからどうでもいいと言えば、どうでもいいのだが、元為替ディーラーとしては、まあ理解の出来ないやり方ですな。


  花粉が飛び始めているのだが、痛い注射のお陰で(今のところ)平気な塾長。
 

  • 2013年2月18日(月)10:22
  • コメント(5)

コメント一覧

コメント5件

個人投資家がFX会社を選ぶとき、先ず注目するのは手数料とスプレッドでしょうから、多少の無理は仕方がないのかもしれませんが、私個人としてはMT4(自動売買ツール)を利用できるようにするといったサービスの多様化を目指してほしいですね。

詳しく調べたわけではありませんが、海外のFX会社ではMT4を使えるところが多いものの、スプレッドは大きい、日本のFX会社はMT4を使えるところは少ないものの、スプレッドは小さいという印象です。

スプレッドはそんなに小さくなくてもいいので、こっち方面でもちょっと頑張ってほしいなと個人的には思います。

投稿者:松|2013年2月18日  15:02

松さん、
ヴェリタスの記事によると、マカオで開催された集まりで、海外のFX業者が、日本の業者のスプレッドの狭さに驚いていたそうです。

“みすみす損をする”ことが分かっている取引には興味が無いのでしょう。

投稿者:塾長|2013年2月18日  16:19

塾長様
結構大きなお金を銀行代わりに置いているので気味の悪い記事ですね。
この記事は危険な取引慣行をしている会社は危ないから近寄らないようにという立場なんでしょうか?それともいずれ信託保全されているから投資家は安全ですよということなんでしょうか?

投稿者:tomas|2013年2月20日  00:21

日本のFX会社はスプレッドは狭い、信託保全はある、と至れり尽くせりです。
逆に海外の会社はスプレッドは広い、信託保全はない(もちろん、あるところもありますが)で、日本の個人投資家はなんて恵まれているんだとつくづく思います。

しかし、FXではレバレッジを何倍かけられるかということも魅力の1つになっていて、海外の会社だと何百倍にもできるところがあります。
日本では25倍までの規制がありますから、もしかすると、日本の個人投資家は高レバレッジを求めて海外の会社に資金を移すようになって、それで日本のFX会社は投資家をつなぎとめるために低スプレッド競争を強いられているのだろうかとも想像します。

もしそうだとすると、危険な取引をしているのは投資家のほうであって、そういう投資家を低レバレッジという縛りの中でつなぎとめるために日本のFX会社は自ら危険に身をさらしているのかもしれませんね。

本来なら高レバレッジでの取引は危険だと啓蒙に力を尽くすべきなのでしょうが。

投稿者:松|2013年2月20日  08:11

tomasさん、
我が国の業者は信託保全をしていますから、大丈夫ですが、海外の業者の実態はどうなんでしょうね?

何か有った時に、英語で法律的な事を丁々発止と戦える自信が無いので、塾長は海外の業者と取引する勇気は有りません。

投稿者:塾長|2013年3月21日  13:44

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