FXブログ 月曜コラム「週刊 独り言」

2010年2月 8日アーカイブ


そんなのあり?

昨日読んだ、日曜日の日経新聞の、“投資入門”というコラムに、興味深い記事があった。

題は、“外国為替証拠金取引(FX)の怪しい値動き”とあり、“一部の業者が自社の利益になるよう価格を操作している”との噂に基づいて、何が起きているかを推測した記事である。
推測とした理由は、確証が無いからである。(金融庁の検査では厳しく追及されるであろう。)

ご存知のように、FXは相対取引であり、株式取引の様に、“売り手と買い手が納得した同じ相場で取引が成立”するものではない。

例えば、取引をしようとして業者から得たドル・円相場が、89.30~89.32であれば、我々が業者にドルを売ろうとすると、89.30で成約され、ドルを買おうとすると、89.32で成約される。
買い手と、売り手の成約相場は違う。

業者はこの後どうするかというと、
―買ったドルを市場(カウンター・パーティーとなる、インターバンク市場に参加している取引銀行)で、89.30で売るか、売ったドルを同じく市場から89.32で買い戻そうとする。
この場合は、基本的には取引による業者の収益はゼロ。
―上手い具合に、ドルの売り手と買い手が、ほぼ同時に取引をすると、89.30で顧客から買ったドルを、そのまま89.32で顧客に売ることが出来るので、業者にとってはその差(スプレッド)が収益となる。これをマリー益と呼ぶ。
顧客数が多く、取引高が多い業者は、当然このマリー益が多い。

ところで、この業者が提示したプライスの89.30~89.32が“東京外為市場の相場”かと言うと、そんなことはない。

そもそも、決まった“東京外為市場の相場”というものは存在しない。
これはあくまでも気配値であり、ある銀行は89.29~89.31で相場を出すかも知れないし、またある銀行は89.31~80.33で出すかも知れない。
だからこの気配値とは、“限りなくその瞬間の東京外為市場の相場に近いもの”と認識すれば良かろう。

さて、本題に入ろうか。

上で言った“外国為替証拠金取引(FX)の怪しい値動き”という記事は、 “一部の業者が自社の利益になるよう価格を操作している”と指摘し、“ストップ狩り”の疑惑、との副題がある。

業者は、顧客からの売買注文を総て把握している。
通常の指値の注文と共に、当然逆指値の注文、所謂ストップ・ロス注文を抱えているが、これを悪意を持って意図的に成約させて、上手く行けば差額を懐に入れようとする業者がいるらしい。
外為さんが公表している“外為注文情報”
https://trade.gaitame.com/members/index.asp
を見ればよく分かるが、逆指値の注文は結構多い。
特に、ドルが下げトレンドの時、大きなラウンド・ナンバー、例えば90.00、89.50とか89.00には指値の買いオーダーと共に、逆指値の売りオーダーも結構沢山存在するケースが多い。

で、その“ストップ狩り”の仕組みはこうである。

分かりやすくする為に、ちょっと極端な例を挙げてみよう。
(89.03が安値で、相場は反転したとする。)

現在、ドル・円相場は89.05~89.07で、89.00丁度には、指値の買いオーダーと、逆指値の売りオーダーの両方が存在する。 
業者が意図的に、瞬間88.99~89.01を提示する。(その時の市場の実勢相場は89.05~89.07かも知れないし、89.03~89.05かも知れない。)
Bid.=(買値)が88.99に下ったので、当然89.00のストップ(逆指値)は成約される。
Offer.=(売値)は89.01にしか下っていないので、89.00の指値の買いオーダーは成約されない。
業者は、ストップの成約でまんまと買った89.00のドルを、正常の実勢相場である89.03とか89.05で売り逃げて、利益を上げるのである。

実に狡猾で、せこい取引である。
たった3銭か5銭のせこい利益を上げて、顧客から疑念を抱かれたらどうする?(賢い顧客は、直ぐにおかしいな、と思う。)
日経新聞の記事は、もしかして、こういった“ストップ狩り”が横行しているのではないかという問題提起をしたのだろうと思う。


ちょっと話が飛ぶが、以前から言ってきた様に、塾長はどうしても手数料がゼロだとか、Bid.とOffer.のスプレッドがゼロというサービスが理解出来ない。

莫大なボリュームをこなして、上で言ったマリー益を相当計上している業者(Bid.とOffer.のスプレッドがある。)が、手数料をゼロとか、少なくしてくれるのは有り難い。

ところが、Bid.とOffer.のスプレッドがゼロという仕組みが分からない。

そもそも、インターバンク市場(謂わば、卸売り市場)には、“必ず”スプレッドが有るのに、何故業者が出す相場(謂わば、小売市場)で、スプレッドをゼロに出来るのか?

これ、資本主義(安く仕入れた物を高く売って、その鞘を利益とする。)の原則に反しません?

信頼出来る業者の幾つかが89.30~89.32でQuote.しており、これを限りなくインターバンク・東京外為市場の相場に近いとしよう。

で、スプレッド・ゼロの業者が89.30でQuote.しているとするとどうなるか?

顧客とは、89.30の一本レートで成約するから、売買金額が同額なら業者の差損益はゼロ。
顧客の売り(業者の買い)が多いと、差額をインターバンク市場で89.30で捌いて、チャラ。
顧客の買い(業者の売り)が多いと、差額を89.32で捌かなくてはならないから、2銭の損失。

では、スプレッド・ゼロの業者が89.32でQuote.しているとするとどうなるか?
顧客とは、89.32の一本レートで成約するから、売買金額が同額なら業者の差損益はゼロ。
顧客の売り(業者の買い)が多いと、差額をインターバンク市場で89.30で捌かなくてはならないから、2銭の損失。
顧客の買い(業者の売り)が多いと、差額を89.32で捌いて、チャラ。

では、スプレッド・ゼロの業者が真ん中の89.31でQuote.しているとするとどうなるか?
顧客とは、89.31の一本レートで成約するから、売買金額が同額なら業者の差損益はゼロ。
顧客の売り(業者の買い)が多いと、差額をインターバンク市場で89.30で捌かなくてはならないから、1銭の損失。
顧客の買い(業者の売り)が多いと、差額を89.32で捌かなくてはならないから、1銭の損失。

こんなの、まともだと思います?
誰が、みすみす損をする商行為を行いますか?
だから、資本主義(安く仕入れた物を高く売って、その鞘を利益とする。)の原則に反しませんか?と言っているのである。

投資家の一人でもある塾長は、そりゃあ手数料が安くて、スプレッドが狭い方が望ましいと思う。
只、元プロとして“おかしいな?”と思う業者とは取引しない。
ふむ、こりゃあ安いな、と思って何かをやろうとして出来ないこと(やろうとした相場で約定出来ない。)はしない。
特に、自分が知らないところで訳の分からないことをやられるようであれば、絶対に手を出さない。

実のところ、塾長は実際に新聞報道の様なことが行われているかどうかは承知しないし、余り興味も無い。

理由は簡単で、自己責任で信頼のおける業者としか取引をしてないと思っているので、全然心配していないのである。
多少の手数料や、スプレッドは、安全を買うための当然のコストだと思っているから、全く気にならない。

 


日経新聞の記事を読んで“そうか、そうやって理不尽な利益を上げている業者もいるのか?”と驚いた塾長。

2010年2月 8日(月)08:29 個別ページ コメント(8)

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