FXブログ 月曜コラム「週刊 独り言」

出来ないことを言ってはいけない。

2010年の新年が始まって、早1週間が経った。
まあ、値幅こそそう大きくはないが、ドル・円の高値は93.78、安値は91.24で、比較的動きの小さいドル・円でさえこの1週間で約2.7%動いたことになる。

1月8日93.78の高値を付けた背景には、新任の菅財務相の、“円は90円台半ばが適切。 もう少し円安の方向に進めばいいと思っている。”との、円安誘導発言がきっかけとなった。

思い起こせば、鳩山政権誕生後のやはり新任の藤井財務相の、円売り介入への否定的な意見(これが、あたかも円高容認と伝えられたが、そんなことはない。旧大蔵省に席を置いた、“事情をよく知っている。”経験者としての発言であった。)とまるで反対の事を言った訳であるが、こちらも一国の為替政策の責任者としては、甚だ不注意な発言であったといえよう。

責任者が、為替相場の具体的なレベルを言ってはいけない。(今は変動相場制であって、相場が自分の望むレベルに行くかどうかは、誰にも分からない。)

出来もしないこと(円売り介入)を、迂闊に喋ってはいけない。(ドル・円で為替介入するには、日米両国の財務省の合意が必要であるが、現在米国財務省が介入(今は円高らしいので、円売り介入)を認めるとは到底考えられない。

ドル・円は過去、政治的に翻弄されてきた。
翻弄というと、市場が自由に売買している時に、強権で円高時には円売り介入をし、円安時には円買い介入を行い、往々にして政治的な駆け引きの道具として使われてきたということである。
円高時には、“外需が落ち込む。景気が後退する。”と叫んで円売り介入を行い、円安時には、“これ以上円安になると、アメリカが怒る。”と恐れて円買い介入を行う。

日米両国の間には、暗黙の内にお互いの“Preferred range.” =(望ましいレンジ)が存在した。
これは、両国の景気動向、そして貿易不均衡の状況によってしばしば変わり、当然我が国は、“どちらかと言うと円安気味の安定”を求め、逆にアメリカは“どちらかと言うと円高気味の安定”を求める。
ドル・円は1995年に史上最安値の79.75を付けた後、3年後の1998年には、戻し高値の147.66を付けた。
ご存知の様に1995年には100円以上にドル・円相場を戻す為にMr.Yen.が大規模で、しかも卓越した手腕で円売り介入を行ったが、1997年から1998年に掛けては、“行き過ぎた円安はアメリカが怒る。”ので、今度は125円から135円の間で
円買い介入を行った。
http://www.mof.go.jp/feio/034_133.htm
全然効果は無く(その後、冷酒の様に急に効いてきて、ドルは暴落することとなる。)、147円台を付けたのである。
そして何と1年後の1999年には101.25まで暴落し、今度は100円割れを阻止する為の大規模な円売り介入が行われた。


お分かりであろう。
短期的には、レンジを逸脱したこともあったが、彼らのPreferred range.は105~125円で、125円以上は“行き過ぎた円安”で、105円以下は“行き過ぎた円高”であり、強権の介入でそれを阻止しようとした。

2001年から2002年に掛けて、135円台の円安相場が示現したが、円買い介入は出なかった。
円買い介入を行うと、外貨準備を使う羽目になるのでなるべくやりたくないところに、アメリカが文句を言わなかったからである。
同年には程なく125円以下に戻り、それ以降125円を超えることは無かった。
その後、2003年から2004年に掛けて円高が進み、今度はMr.US Dollar.が35兆円もの円売り介入を実施し、100円割れを防いだ。
この時の日米関係は最良で、小泉首相がブッシュ大統領に、“このまま円高が進んで100円を割ることになると、折角回復基調の日本経済と株価に悪影響を及ぼす。介入をさせて頂戴な。”と頼んで、ブッシュ大統領は仲良し純ちゃんに、“いいよ、但し自分の銭を使いなさいよ。”と強調介入には応じなかった。

結局は大きくは、105~125円のレンジに留まっていたのである。
その後、何度か100円台のLow.に相場が落ちたが、100円を切ることは無かった。
市場が、“100円割れは政府が介入で阻止する。”と強く信じ、皆ドルが下れば買っていたからである。
塾長も2007年に124.12まで円安になった時に、“何れ102円に行くけれど、100円は切らない。”と思い、そう言っていた。

その後徐々にドル安・円高が進み、2008年に105円を切った時に、“100円割れを阻止する円売り介入は出ない。”と確信し、“92円まで行く。”と言いだしたら、誰も相手にしてくれなかった。
市場には、“必ず、円売り介入が出て、100円割れを阻止するであろう。”との思惑と希望の様なものが存在した。
これは危ないな、と思い、もしかしたら“何れ史上最安値(79.75)を割り込むような大円高になるかも知れない。”と思いだしたのもこの頃である。

そして、今はすっかり100円割れが定着した。
どうやら、市場もこの相場に目が慣れ、恒例のエコノミストらによる年頭の一年の円の高値・安値予想も、100円を超えると予想する声は少なかった。

この15年間に、ドル・円相場は安値79.75、そして高値147.66で、実に46%も動いた。
それでも、2007年から2008年に見られた、その他通貨の動きに比べればまだ大人しいものと言えるかも知れない。
このダイナミックに動く為替相場に対して、責任者が“具体的な相場”を示して、ぐだぐだ言っても仕方の無いこと。
もっと為替相場に、“真面目に向かって欲しい。”ものである。


  正月のお節料理に飽き飽きして、毎日麺類を食べている塾長。

2010年1月11日(月)19:07 コメント(1)
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コメント一覧コメント1件

今の日本に必要なことは、世界を良く見て、いいも悪いもバランスを取ることです。余りきついことを書くとお叱りを受けますが。世界から離れています。良いポジションからです。衰退新興国です。今は昔、日本という国がありました。国土は狭く、資源もなく、人口も少なく、一時は世界に冠たる国が今や姿、形もありません。さてどこにいったのでしょうか。過去の渤海国と同じ。消えてしまった。という風にならないように。です。
インド洋の給油活動中止を喜んでいるのはどこでしょう。タリバンと思っている方はまさに世間が見えていない。あの給油はインド洋に日本のある種の影響を付与し、日本のタンカー等の安全にかなり寄与しています。そのインド洋に出たがっている国はどこでしょう。日本への油が誰に支配されますか。。。。
とにかく円を有る範囲で安定させることが、大事で、経済の安定化とともに国際的なバランスで円を安定させることが最優先と思いますがね。でなければFXなんかやってられなくなりますね。何故と思う人はやはりオンチです。

投稿者:fmhr|2010年1月12日  00:30

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