プロの為替ディーラーになるべきか?
- 2009年3月23日(月)13:37
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日々のブログに、“プロの為替ディーラーになりたいと思っているのだが、どう思うか?”とのご質問があったので、この“週刊・独り言”のネタ、いやテーマにさせて頂くことにした。
お断りしておくが、これは塾長の経験に基づいた全く個人的な意見であり、参考にして頂くよりも、“ふむふむ、そんなものか?”と読んで頂ければいなと思う。
先ず、“為替ディーラーとは何か?”であるが、プロの為替ディーラーには二種類ある。
一つは、“カスタマー・ディーラー”と言われる職種で、お客さんとインターバンク・ディーラーの間におり、お客さんの売買注文をインターバンク・ディーラーに繋いで、ディールを執行したり、お客さんにアドバイスをする。
よく耳にする、“為替アナリスト”、“為替ストラタジスト”の一部もこれに該当する。
そしてもう一つが実際に為替取引に従事するディーラーで、これも二つに分けることが出来ようか?
よくテレビなどで紹介されるのが、“インターバンク・ディーラー”であり、彼らは与えられたポジション枠の中で、自由自在に通貨を売買し、基本的には短期のディールに専念する。
“デイ・トレーダー”と呼んでもいい。
彼らは、下ると思えば売り、上がると思えば買って、大規模な額の取引を行って、小さい利益を上げることを厭わない。
いや、小さい利益を厭っている暇は無い。
兎に角、売ったり買ったりして為替売買益を狙う。
ドル・円が100円から90円に落ちようが、また再び90円から100円まで戻そうが、余り気にしない。
その途中の相場の動きを捕まえて、“下ろうが、上がろうが”、どっちでもいいから利益を上げればいい。
そしてもう一つが、“ポジション・テーカー”、或いは“プロプライエタリィー・ディーラー”=(プロップ・ディーラー)と言われ、比較的中・長期のポジション保有を狙い、日々の多少の相場のブレは、余り気にしない。
100円から90円に落ちるのに、一気に落ちはしないで途中紆余曲折(100円から98円に落ちて、また99.50まで戻す。94.50まで落ちて、“しめた!”と思ったら、また97.00まで戻した。でも結局は90円まで落ちたぜ!)があるが、じっと耐えて自分の相場観を信じて、断固としたディールをする。
通常は、“インターバンク・ディーラー”を何年か経験したベテラン・ディーラーがその職に就くのが普通である。
この仕事は、儲かっていると格好いいが、一旦損をしだすと惨めである。
兎に角、“ドル・円は90円に落ちるんだ!”と信じているのだから、ドルをショートにして、じっと待っているだけ。
大袈裟に言うと、相場が下る局面では、会社に来ても何もする事が無い。
儲かっていると、周りから“あの人はああやって、長期のポジションを持って、利益を上げるんだ。凄いなあ!”と賞賛の目で見られるが、これが一旦損をし始めると、“あの人、毎日何をやっているんだろう?90円に行くと言ってショート・ポジションで頑張っているらしいが、行きゃあしないって! ホント、我々にも迷惑なんだよな。”と影で中傷される。(多くの場合、先輩がやっているから大っぴらには批判出来ない。)
勝てば(儲かれば)官軍、負ければ(損すれば)賊軍と言うヤツである。
傾向として、儲かる時は凄く儲かるが(そりゃあ、100円で売って途中何もしないで数ヵ月後に90円で買い戻す、“いいとこ取り”だけしていれば、ごつく儲かりますよね!)損をする時もデカイ!
勿論、あるレベルまで相場が逆に行くと、損切りをしなくていけないが、それが往々にして遅い。
だから、損失も大きくなる。
只、彼らは過去の“Track Record.”=(過去の輝かしい業績や実績)があるから、短期間損失を出しても、直ぐに首になることはない。
そして勿論、優秀な“ポジション・テーカー”は、その月が駄目でも、その期が駄目でも、はたまた半年駄目でも、一年が終わってみればちゃんと利益を上げている。
そして、目標をちゃんと達成すれば、それ相応のIncentive Bonus.=(ボーナス)が頂けるのである。
“インターバンク・ディーラー”も、“ポジション・テーカー”も、大変厳しく、辛い職業である。
我が国の金融機関のプロのディーラーの場合、ディーラーとして入社するケースは殆ど無い、と言ってもいいだろう。
普通の銀行員、或いは証券、商社、機関投資家(生保、損保)などに入り、“ひょんなことから”為替をやらされて、頭角を現す、というケースが多いと思う。
その“ひょんなこと”が、機転が利くとか、マージャンが強いとか、英語が出来るとか、周りとの協調性が高いとか、ユニークな意見を持っていて、それをちゃんと表現出来るとか、色々であろう。
難しいのは、それらの点を鑑みて、“ふむ、こいつはいいディーラーになるかも知れない。”と思ってやらせても、まあ大体その9割は期待に反して、“モノにならない。”ケースが多い。
機転が利いても、協調性が無い。
マージャンは強いが、サキヅモをしたり、大声で喋ったり、マナーが悪い。
英語が出来るが、只それだけ。 アメリカに行けば、子供だって英語を喋っているわい!
協調性は大いにあるが、ポジションを持つとビビッてしまって、人が変る。
ユニークな意見を持っているが、人前で上手くプレゼンテーションが出来ない。
まあ、帯に短し、襷に長しが多い。
塾長が属した外資系金融機関は違う。
多くの場合、既にTrack Record.を持っている優秀なディーラーを雇い入れる(所謂、ヘッド・ハンティング)のが普通で、即戦力となる。
期待に反して、Mediocre Dealer.=(二流のディーラー)であれば、まあ1年もしないで首!
そんな世界なのである。
さて、“プロの為替ディーラー”になるべきかどうかのご質問であるが、率直に言って、物凄く難しいと思う。
先ず、“ディーラーとして”雇って貰うだけのちゃんとした“Track Record.”が無いでしょう?
“はい、私はこれだけ儲けました。”と自分のFXの取引記録を見せても、誰も評価はしない。
“Good for you !”=(良かったですね!)で、お終い。
何時も口を酸っぱくして言うように、あくまでもFXは、余裕資金を如何に効率よく、安全に運用するための手段に使うべきだと思う。
世の中には凄い人達がいて、Virtual FX.で巨額の利益を上げてフェアレディー・Zを貰ったり、また実際に自分の余裕資金を運用して相当額の利益を上げている人達がいるのは知っているが、その人達の並々ならぬ苦労を理解するのは、甚だ難しい。
それこそ、ウィークデイは寝るのを惜しんでディールに没頭していることであろう。
そこまで、やる覚悟がありますか?
それを何年続けますか?
折角抱いておられる大志に水を差す積りは無いが、
Please be realistic.=(どうぞ、現実をちゃんと見詰めて下さい。)
ちゃんとした仕事を持ち、毎月Hard Cash.=(ちゃんと貰える毎月の給料)を頂きながら、余裕資金があればFXで運用して下さい。
結局、いいアドバイスにはならなかった筈であるが、忌憚の無い意見を述べた積りである。
ご意見、ご反論、大歓迎!
今日も花粉症で参っている塾長。(今日が一番ひどいと思う。朝から、何百回くしゃみをしただろうか?)
- 2009年3月23日(月)13:37
- コメント(9)















コメント一覧
コメント9件酒匂塾長様 こんにちは。以前にNHKの番組クローズアップ現代で某銀のディーリングルームが移っていましたが
相場急変時だったのか、憔悴しきった顔つきで怒鳴っていました。大変なストレスのある職業なんだと思いました。塾長様のスタイルは、確固たる信念を持つ(ドルベア)中長期のプロップディーラー型ですね。損切りが遅くなる傾向があるが、年間通して利益があればいいとのことですが、その時の損切りのレベル(何円マイナスか)、レバレッジ(低レバですよね)のレベル、最長どのくらいの期間我慢するのか?教えていただけませんか。僕はセンスがないのでこのスタイルもいいかなと。
投稿者:小樽市銭函|2009年3月23日 14:51
こんにちは。お題が興味深かったのでレスします。
何方かプロの為替ディーラーになりたいとお考えの方がいらっしゃったようですね?
しかし現在の私達個人投資家へ提供されているFXの環境はプロのディーラーと遜色のない環境だと言われています。
個人でも十分利益が出せるし、人様のお金で勝負するより自分の余裕資金で勝負して利益も全て自分のものになりうる環境である以上はディーラーになる妙味を全く感じないのは私だけでしょうか?
FXで勝てる手法を探究し、確立していたらそんな考えは湧かないと思います。個人でダメだから(他人の資金を運用して気楽に見えるのか?)プロのディーラーを目指すというのは余りにも甘過ぎだと私個人は感じてしまいますよね。
あと最後によく、投資で儲ける事を卑下して「汗水垂らさずに」とか「ラクして」などと言う方が居られますが、アレは凄く不愉快ですね。
世の中簡単にラクして儲ける事は不可能です。
世の中、目に見える汗水垂らして労働するだけじゃなく、目に見えない胃液を垂らしてストレスやリスクと向き合ってする労働もちゃんと存在している事を認識してほしいですよね。体を使わずとも、頭(神経)や目をすり減らしながらチャートを分析しないと厳しいゼロサムの相場の世界で大きな結果を得ることはできないと私は認識していますので・・・
投稿者:yt|2009年3月23日 15:48
*著作権等の問題がありましたら削除願います*
堀内昭利氏の"市場の神々"
を読まれてみてはいかがでしょうか?
塾長の仰るとおりの内容が具体的に
書かれています。
あとがきに「若いディーラーたちへ、
ディーラーを目指す人たちへ」
これだけでも読めば、理解可能と思います。
投稿者:bbctv|2009年3月23日 16:34
はじめまして。 TAKA。と申します。
いつも楽しく拝見させていただいております。
花粉に苦しめられておられるみたいで・・・・、
ぜひ、鼻うがいと漢方をおすすめいたしまっす!
鼻うがい水と鼻うがい器のセットも最近市販されておりますし、うがい水は御自宅でも簡単に作れますよ。
漢方は、ぼくは、胃腸が弱いのでとても助かっております。 友人も昨年から飲みだし、花粉症克服いたしました! 漢方医にかかれば保険もきくし、西洋医より気さくな先生多いし、いろいろからだの不安なところの相談出来て、ある意味、楽しく通っています。
先日の大阪セミナー参加させていただきました!大変、興味深く拝聴させていただきました。
ほんとは、ワインとくるまと食のお話を伺いたかったです。
友人に板さんやソムリエいるので、また大阪来られるときは、ご一報を。
術後のお体、ご自愛下さい。
TAKA。
投稿者:TAKA。|2009年3月23日 17:46
はじめまして。
いつも面白く拝見させていただいております。
いつも、みなさんの質問に対してコメントをしている塾長のまめさには頭が下がる思いです。
今回も1人の方の質問からまったくイメージの出来なかったプロの為替ディーラーというものが少し理解でき、非常に面白かったです。
さて、昨日の日経ヴェリタスでロジャース氏が日本円は1ドル70円になるまでは持つ!といっていました。
これはどういう基準で出てきた数字でしょう?
購買力平価の数値が77円ぐらいだからそのへんぐらいまでは下がっても不思議ではないということでしょうか?それとも70円を割ると日本という国の存亡にかかわるからそれを切ったら日本はもうだめだということでしょうか?
投稿者:shoichiro|2009年3月23日 23:28
こんにちは、塾長。
私が(自分が生業としている)“同時通訳者になりたいと思っているのだがどう思うか?”と誰かに質問されたとして、“同時通訳者として食べていけるのは英語がペラペラの100人に1人くらいです。努力に努力を重ねて何とか仕事をもらえるようになった後も、来る日も来る日も勉強ばかりでたいへんです。Please be realistic.”と言うと、同時通訳者を目指す人がいなくなるような気がします。
be realisticに徹すると、日本のプロ野球界でそこそこの成績をあげている選手がわざわざメジャーリーグを目指す理由がなくなってしまいます。元阪神タイガースの井川など、阪神にいれば大金を稼ぎ続けられたものを、ヤンキースに入ったばっかりに冷や飯を食わされています。
社会は為替ディーラーも同時通訳者も必要としています。難しいのは承知で挑む人がたくさんいて、そのほんの一部の人だけが食べていける世界ですが、目指す人がたくさんいるからこそ、競争によって食べていける一部の人が輩出されるわけです。be realistic だけでは人生は味気ないので、We have to be realistic to survive but we want to be ambitious to be satisfied. 勝負に出る時と守りに徹する時のバランス感覚が大切だと思います。
ところで、もし塾長が学生から先ほどの相談を受けたとしたら、同じ回答、Please be realistic になっていたでしょうか。職業を持たず、よってhard cashを頂いていない人たちに対しては塾長は違う回答をされるように思いますが。
投稿者:かたな|2009年3月24日 01:15
塾長様
ご丁寧にご教授下さり、ありがとうございました。
プロの方からのアドバイス非常に参考になりました。
並々ならぬ努力、才能豊かな人間性、どれが欠けても続けられる仕事ではないんですね。
確かにHard Cashを貰いながら、FXを続けるのが一般的ですし、自分の経歴的にもそうするのがBESTかとも思いますが、自分で線切りをした期間は必死に求職したいと思います。
率直なご意見、改めてありがとうございました。
塾長様に相談し、本当によかったです。
現実の厳しさを実践でされていた方からお伺いできたので。
身が引き締められました。
投稿者:masa|2009年3月24日 02:09
「カスタマー・ディーラー」、
「インターバンク・ディーラー」、
「プロプライエタリィー・ディーラー」
と説明して頂けて、大変面白かったです。この職に就きたいと考えても、通常は無理だと言うのも良く分かります。
ちょっとお聞きしたいのですが、塾長さんは、一応、上の三つの職全部を経験されたのですか?差し支えなければ教えてください。単なる興味本位です。
ところで、たまに、ゴルフのレッスン番組をたまたま目にすることがあって、共通した見解がありました。
実際に、コースに出る前のパターの練習についてでした。ある有名なアメリカ人のコーチは「コースに出る前には決めるには難しい遠くの距離でパターは練習しなさい。なぜなら、比較的近い距離で練習した場合、うまくいかなかった場合、嫌な感じをもってコースに出ることになり、スコアを悪くする可能性がある。」ということでした。
そして、日本のトップアマの人達も事前のパターの練習には同じようなことを言ってました。
これは、慣れたゴルファー達にとっては当たり前のことなのですか?塾長さんもそうしてますか?
私、ゴルフしないのですど。
また、よろしく!
投稿者:べき乗分布|2009年3月26日 18:07
塾長こんにちは^^
本当に丁寧な回答ありがとうございました。
少しだけイメージが湧いてきました。本当にストレスとの戦いなんでしょうね・・・。
投稿者:たっくん|2009年3月27日 01:07
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