ストップ・ロス。
- 2008年9月 8日(月)13:03
- この記事についてつぶやく
- ブックマーク





約2週間前に、ブログの読者から以下のご質問を受けたので、お答え出来るようにトライしてみたい。
面白い例があるので、ユーロ・円相場を使って話を進めてみよう。
* よく、「~証券がとか、~銀行が、○○○円のストップをつけにいった」とありますが、ストップをつけてどうするのでしょうか? ガッと下がった時に反対売買を仕掛けるためでしょうか?*
-先ず、キャッシュ(皆さんがおやりになっている通常のFX取引)の場合。
レンジ取引が続いていて、チャート上のサポート・レベル(指示レベル)とか、大台(例えば165円、160円など。)を切るのはそう簡単ではないと思っている。
では、どうするか?
ここでも何回か勉強したが、レンジ取引の場合は“Buy on dips, and sell on rallies.”=(下がったら買って、上がったら売る。)ことを心掛ける。
暫くは165~170円のレンジ取引だと思ったら、中途半端なレベルでは手を出さなくても宜しい。
165.20~40で買いを入れ、169.60~80で売りのオーダーを入れればいいのだ。
但し、このレンジは何れ必ず破れる。
これもここで勉強したが、一旦レンジを突き破ったら、今度は“Sell on dips, and buy on rallies.”=(下がったら売って、上がったら買う。)をやらなくてはいけない。
それが最初のストップとなる。
レンジの下サイドに限りなく近いと信じて165.20~40で買い、意に反して相場が下がれば、165.00でストップを入れる人もいようし、塾長なら164.80でストップを入れる。
で、それを心得ているちゃっかり者のプレーヤー(銀行でも、証券でもヘッジ・ファンドでも、誰でもいい。)は、166.50~166.00で仕込んだ自分のショートを利喰うために、ストップを焙り出す。一部でも165.00がGiven.=(売られる。)されたらストップの執行が成されるから、インターバンクで165.00で小額の売りが出ただけで、大量のストップ売りが出て、ちゃっかり自分のショート・ポジションを利喰うことが出来る。
Thank you very much.
先週の怒涛の円高は、このストップの嫌々の“Sell on dips.”が大量に出たからだと思われる。
確かに、東京金先の通貨の買い持ちの建て玉が大きく減少している。
こういった場合、ちゃっかり者の連中は反対売買を仕掛けるどころか、一旦利喰った後、再び売り浴びせてくることがしょっちゅう。
166.50で作ったショートのポジションを一旦164.80~165.00で利喰い、下げ相場に乗じて164.40で再びショート・ポジションを構築し、それを今度は159.80~160.00で買おうとする。
彼らが売っては買い、再び売っては買いを行うので、下げトレンドが増幅される。
悔しいけれど、これもDealing.のテクニックの一つで、“Stop Loss Hunting.”=(ストップ狩り。)と言う。
-次にオプションの場合。
よく、“オプションの防戦買いとか、防戦売りが出た。”ということを耳にするが、これはノックイン・オプション=(為替レートが、ある一定の期間内に、事前に決められた水準に達すると、オプションを行使する権利が得られるオプションのこと。)の売り手は、その権利を発生させないように、手前で(例えば165.20~40)防戦のキャッシュの買いを入れるだろうし、逆にオプションの買い手は権利を得る為に、無理矢理キャッシュで売ってくる。
これもオプションのストップと言える。
ノックアウト・オプション=(為替レートやが、ある一定の期間内に、事前に決められた水準に達すると、オプションを行使する権利が消滅してしまうオプションのこと。)も基本的には同じである。
権利を得たい者、それを阻止したい者との攻防で、無理矢理ストップを狙ってくる取引で、それらによって我々の地道で(?)、全うなFX取引を掻き乱されたのでは、これは適わない。
しかも、防戦買いをして敗れた場合は、無理をして買った(165.20~40)分の投げも含まれるから、下げが加速する訳である。
さて、冒頭で“面白い例がある。”と言ったが、話はこうである。
塾長の友人の一人に、バリバリの現役為替ディーラーがいる。(I君としよう。)
ディーラーといっても、ある外資系銀行の為替責任者なので、“売ったり、買ったり。”はしないで、所謂ポジション・テーキングをしている。
銀行でしこたま利益を上げながら、この御仁、自分でもFX取引を行っている。
銀行によっては、ディーラーの個人的な為替取引を制限しているが、彼の銀行は問題無いようである。
さて、話はこうである。
ご本人もこのブログの愛読者なので、これを読んで後で彼に怒られるかも知れないが、事実は事実である。
ご存知のように、ユーロ・円は170円が中々上切れずに、結局7月23日に169.95の史上最高値を付けた後に急落した。
高値である169.95はBid rate.=(市場の買いレート)で、2ウェイ・プライスだと、169.95-170.00である。
実際は、インターバンク市場では169.97まで取引されたらしい。
さて、この友人であるが、何を血迷ったか、ユーロ・円のショートを持っていて170.00でストップを入れていた。
何を血迷ったか、とは失礼であるが、塾長なら170.20で出す。
で、彼のストップの170.00の買いが執行され、ポジションがSquare.となった。
彼は、このストップの執行に対して、怒ったと言うか、理解出来なかったらしい。
I君=“何で、169.95-170.00が2ウェイ・プライスの高値で、俺のストップが執行されるんだよ!”
塾長=“だって、169.95-170.00と言う事は、Offer=(売値)は170.00だろ。170.00のストップを執行するためには、それを買わなきゃいけないじゃないの。それを逃せば、例えば169.97-170.02になれば、170.00でDone.出来ないだろ。”
I君=“だけど、我々の世界では、ストップの執行は、Taken next.と言って、170.00 でTaken.=(買われる。)された次のレートで執行するのが礼儀だろ!例えば170.02でも170.03でもいいんだよ!”
とカリカリしている。
塾長=“Too bad. アンタは、その我々の世界でFXをやってるんじゃあないんだよ。プロの世界じゃあないんだよ。彼らは彼らのルールでやってんだよ。
そもそも指標の発表前に、スプレッドが変わらないとか、何秒かレートが変わらないなんて、プロの世界じゃあ無いだろ?”
で、ようやく納得した。
勿論I君、その後169.60くらいで再びユーロ・ショートを作り直したことは言うまでもない。
先週の金曜日は、朝起きて突然の円高にぶったまげ、今朝は逆に突然の円安にぶったまげた。
GSE(二つの政府系住宅公社)救済のニュースが週末に流れて、多少はドルが買い戻されるかなと思ったが、クロスでこんなに円安になるとは思わなかった。
難しい相場が続くが、Volatility.=(市場の変動)に負けるようなポジションを持ってはいけない。
下手をすると、円のショートでもやられ、円のロングでもやられる危険性がある。
このVolatile.な動き(大きな変動)を、割合達観して見ている塾長。
- 2008年9月 8日(月)13:03
- コメント(4)















コメント一覧
コメント4件私もぶったまげました。6時半頃だったので、100pipsのバグレートかと思ったのですが、実勢レートでした。
投稿者:win|2008年9月 8日 13:19
はじめまして。先日に本家(?)で紹介されていた日銀レビューを興味深く拝見しました。いわゆる「ミセスワタナベ」の存在は無視できないとよく耳にしますが、具体的な数字を目にしたのは初めてで、特にレポート中の図表10:通貨別日次平均取引高を見て驚きました。これでは格好のストップハンティングの的にされてしまいますね。
昨今のFX事業者を取り巻く競争に関連して、なるほどと思う記事があったので引用させていただきます。塾長はこうした事情を御存知のことと思いますが。(不適切と御判断なさったらお手数ですがこの投稿も丸ごと削除してください)
日経マネー DIGITAL: 外貨 FXディーリングルーム通信:
第20回 スプレッド0(ゼロ)のカラクリとは…
http://nikkeimoney.jp/gaika/fxdealing/index.html
(新しい記事が出たらurlは ***/fxdealing/080821.html に変わるかもしれません)
**
FX会社のカバー取引を引き受けているのは、欧米の10行ほどの銀行です。どの銀行も名前を聞けば皆さんが知っている大銀行ばかりで、これらの銀行が個人投資家の取引を取り込もうと必死になってよいレートを提供してきています。
なぜ個人投資家の建て玉(ポジション)を取り込もうとするのか?この理由もいくつか考えられます。まず、個人投資家の為替取引の動きが為替市場の中で無視できないものとなっており、彼らの注文を直に受けることは結果的に市場の動向を早く把握できることにつながります。また、個人投資家の動きが特定の通貨ペアに偏りがちであり、しかも売買の方向も一方通行になりがちなために、ある程度方向性が読める、つまり売買を受けた後の処理が比較的楽になる場合が多いことも挙げられるでしょう。(このことは、逆に言えば個人投資家がいかに為替市場でカモになりやすいか、を示しているかとも思えますが…)
投稿者:cc|2008年9月 8日 13:56
塾長の話を毎回楽しみにしてます。
私が失敗の連続なのは「木を見て森を見ず」なのだと
理解できました。
ちょっとや、そっとのレート変動にも微動だにしない
取引を心掛けようと思います。
投稿者:黒崎|2008年9月10日 21:42
winさん、
ドル・円が多少戻すだろうなとは思っていましたが、クロスの爆騰にはたまげました。
ccさん、
塾長も、“スプレッド・ゼロ、手数料もゼロ”が理解出来ません。
107.20~23がインターバンクの実勢に限りなく近い時に、107.22でスプレッド・ゼロで出すのは天晴れ。
顧客が107.22で売ってくれば、107.20でカバーして即2銭の損。
顧客が107.22で買っていけば、107.23でカバーして即1銭の損。
こんなことやります?
107.20でQuote.すれば、顧客の売りは107.20でチャラ。
顧客の買いは、即3銭の損。
107.23ならその逆。
こんなことやります?
全く、理解に苦しみます。
手数料がゼロ?
顧客に迷惑を掛けない強固なシステムを構築し、それを維持するには相当な資金が掛かると思うのですが。
There is no free lunch.=(タダほど怖いものは無い。)が、塾長が長く生きてきて得た教訓の一つです。
* 個人投資家がいかに為替市場でカモになりやすいか、を示しているかとも思えますが…)*
それは無いでしょう。
先程、FX業界に相場をQuote.し、Liquidity.を供給している最大手の銀行の担当者と会って話をしましたが、彼らは物凄く真面目ですよ。
昔とは、東京外為市場のキー・プレーヤーの顔ぶれが変わってきた。
大手期間投資家とか、大手輸出入業者とか、大手商社だけが大口取引を行っているのではない。
個人の集団が、好むと(利喰い)と好まざるとに(損切り)に拘らず、たった数時間で10億ニュージーランドドルを売る時代になったんです。
彼らは、それを理解してなるべく競争力のある相場を提示し、なるべくこのFX業界を助けようとしていると言っても過言ではありません。
この業界はもっと良くなりますよ。
黒崎さん、
* ちょっとや、そっとのレート変動にも微動だにしない*
を言い換えれば、“身の丈に合ったポジションで取引をする。”ということですよね。
我々は、“損をすることを凄く怖がる。”臆病な取引をしていていいんじゃあありませんか?
ところで、上でご紹介した件のI君から電話が掛かってきた。
やっぱり、これを読んでいた。
“俺をネタにしたんだから、今度奢ってよ!”と言う。
“いいよ、じゃあC-chanと行った、あのトンカツ奢ってやるよ。”と言ったら、大喜びしていた。
“でも、俺、アンタたちと違って、依然としてれっきとした現役ディーラーなんだから、市場が凄く静かな時しか行けないよ。”
あーああ、そうか。 Too bad !
来年までお預けだな。
投稿者:塾長|2008年9月11日 17:31
コメントを書く