<1月25日放送分>
「お~い、今帰ったぞ!」と今まで見せたことのない真っ赤な顔をして玄関口に座りこむ父。
それは人間の顔ではなかった。母がよく読んで聞かせてくれるお伽噺に出てくる赤鬼の顔がこのような顔ではないのか、とその鬼を遠くダイニングの柱からそっと覗いていた。父親が毎晩の食事の時にお酒を飲むのはもちろん見ていたし、大人になると皆、お酒をこのように飲むものだと子供心に思い込んでいた。
父は母の手を借りて部屋の中に入ってきた。強いはずの赤鬼が母の手を借りないといけないその姿は妙に滑稽だが、「水を持ってこい!」とこの期に及んでまだ命令している父に多少の腹立たしさを覚える。
水を一気に飲み干した父は今度は陽気に歌を唄い始めた。今、そこに座って大きな声を出しているのは、普段は優しく、そしてキャッチボールをしてくれている父なのだが、今日の父は知っている父とは違っていた。
翌日、母が昨日の様子を父に話すと、「すまん、すまん」と言いながら頭を掻く父なのだがその姿は赤鬼から優しい父に戻っていた。赤鬼に変身できるお酒という威力を目の当たりにしたのは小学3年生の時だった。
さて、今週のテーマは「居酒屋」です。最近、立ち飲み屋さんが流行っています。90年代に150件程度であった立ち飲み屋さんは今では700軒とも言われています。僕が良くいくアメ横のゴルフショップの隣も立ち飲み屋さんで、なんと、若い女性だけで飲んでいたりします。ちょっと前までは見たことのない光景でした。僕は、父に似ず、下戸に近いものですから、いい気分になるような飲み方というのは残念ながら経験がありません。ただし、飲み会の席は好きですので、素面でも全然ついていけます。むしろ、先に立って騒ぐ方かもしれません。もちろん、たまに飲むこともありますが、すぐに真っ赤になります。