アセット・アロケーションとPF: 拙著『勝者のchART』
- 2010年3月28日(日)21:35
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プロフェショナルな機関投資家の伝統的な資産運用の世界ではいわゆるアセット・アロケーション(資産配分)と呼ばれるものがポートフォリオ全体の運用成績の90%を決定すると考えられています。すなわち、例えば各資産の投資比率を与えられたベンチマーク(例えば、国内株式30%、外国株式10%、国内債券40%、外国債券10%、不動産5%、現預金5%という各個別資産比率のベースとなるもの)対比どの資産をどれだけ許容された範囲内でオーバーウェートするか、またはアンダーウェートするかで運用成績の90%程度を決定し、各個別資産毎の運用成績は大きくは左右しません。
各資産にも与えられたベンチマーク、例えば国内株式はTOPIX、外国株式はMSCI Kokusai(日本を除く先進諸国の株式インデックス)があり、そのベンチマークの運用成績の乖離幅(トラッキング・エラーといいます)を事前ベースですが一定以内にするように顧客側から要求されるのが一般的です。従ってそもそもベンチマーク対比それ程の差はでないように管理されています。
換言すれば、そもそものポートフォリオ全体のアセット・アロケーションのベンチマークをどう決めるかで、運用成績はほぼ決定されているのです。例えば、先のベンチマークの例でTOPIXが年間マイナス20%だったとすれば、それだけでポートフォリオ全体の運用成績をマイナス6%(=-20% x 0.3)にする効果があるわけです。
要するに、プロの機関投資家の運用とはプロセスと説明責任を尊ぶ世界であり、対ベンチマーク比の成績を問われ、ベンチマークが負の成績であれば、結果が負(資産を減らす結果)に終わってもプロセスさえ予め許容された範囲であれば結果に対する責任はすべて顧客側が負うことになります。プロの機関投資家の運用とは説明責任の世界、換言すれば「言い訳」の世界なのです。また原則として一部のヘッジファンドと呼ばれるポートフォリオ以外は「買い」から入り、「売り」から入ることはありません。ヘッジファンドでもネットショートは原則ありません。
それに対してPFの世界は売り買い自由の「絶対収益の積み重ねの世界」であり、ある商品が上昇するというシグナルがあればその商品を各自の限度までロングにし、逆に下落するというシグナルがあればその商品を各自の限度までショートにします。シグナルがないときはポジションはありません。
「もつリスク」と「ショートにするリスク」を同等に捉えます。
プロの機関投資家は「もたないリスク」を力説しますが、「もつリスク」(=買いから入るリスク、買って持っているリスク)を語る人はほとんどいないという極めて偏った運用をある意味顧客に押し付けていることになります。
- 2010年3月28日(日)21:35
- コメント(7)




















コメント一覧
コメント7件松本鉄郎様、「勝者」のCHARTを読まれた方に質問です。
PFを描かれた書籍の中では最も優れた内容で楽しく読めました。
バランスの列の数え方などについて疑問があり質問します。
・質問1
日経平均先物ミニを活用した実践相場
具体例4(116ページ)では
フラット・ボトム・ワイドニングの形状で
バランスの列を「3」とカウントされています。
翻って
FXを活用した実践相場
具体例2(126ページ)では
先に触れた形状と同じように見えるのですが
フラット・ボトム・ワイドニングの形状にはならず
バランスの列を「5」とカウントされています。
2つのバランスの列のカウント方法の違いが理解できません。
上記のようにターゲット設定が違いますと、成績に大きな違いが出ます。
過去のデータを検証して、この部分が重要だと感じました。
・質問2
取引時間中のエントリーについては触れておりましたが
「損切り」のイグジットもエントリーと同様に考えれば良いでしょうか。
日経225先物はFXよりもギャップの回数が多いです。
ギャップに対する松本先生の考え、読者の方の考えは如何でしょうか。
日経225先物、ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/ドル、ポンド/ドルなど10年程度バックテストを行いましたが
「バランスのカウント方法」
「イントラデイの損切り」
「ギャップ」
この3点の判断によって、成績が大幅に変化することは実証されております。
以上、よろしくお願い致します。
投稿者:tk|2010年4月 2日 10:10
tkさん
コメント&ご質問有難うございます。拙著をご購入頂き誠に有難うございます。
以下お答え致します。
ご質問1.
116ページの形状では下値バランスを形成しているのが3列と捉え、126ページの形状では5列と捉えます。
ご質問2.
まずPFに「損切り」という概念はありません。例えば短期目標値が算出された後、3枠転換で枠の転換が起こったら、それはあくまで「撤退の売買」であって、益が出て撤退することもあります。
PFは基本的には終値を確認してから売買します。
何故なら、日中にある価格にタッチしたからといって終値で到達するかどうかはわからないからです。
従って、日中で逆指値注文等を入れておくのも便法としてはありますが、基本的には終値で確認してから、翌営業日に成行で売買します。但し、目標値が出た後の利食いの売買は指値注文で入れておきます。技術的にOCOで入れておくこともありますが...
「ギャップ」のご質問の意味がよくわかりませんが、もう少しご説明をお願い致します。
投稿者:松本鉄郎|2010年4月 2日 13:17
松本先生ご回答ありがとうございます。
質問1について重ねて質問です。
日経225先物(116ページ)については
16300まで×が描かれていることから、3列と捉えるのでしょうか。
ユーロ/円(126ページ)については
158まで×が描かれていることから、5列と捉えるのでしょうか。
つまり、○(底)の深さから下値バランスの形成を捉えれば良いのでしょうか。
バランス形成の捉え方が多様で判断が難しいと感じています。
質問2
Q2(184ページ)では
エントリー方法について、シグナルが終値でも出るだろうという蓋然性にかける方法がありました。
撤退方法についても、3枠転換が終値でも出るだろうという蓋然性にかける方法があると考えていました。
基本的には、終値を確認して翌日の始値での売買を行うのですね。よく分かりました。
「ギャップ」については
終値と(翌日)始値の差です。
(例)
参考データ(140ページ)で、2006年5月ブレークアウトポイント16700です。
先物の値
5/12 始値:16590 高値:16630 安値:16410 終値16660
5/12売買シグナルです。
エントリーが翌日(週明け月曜日)ですから
5/15 始値:16280 高値:16490 安値:16260 終値:16480
エントリー値:16280ショート
日経225先物ではなく日経平均の値を使ってPFを描いても、取引日は同じでした。
ブレークアウトポイントが16700でも、実際の取引では16280ショートということです。
ギャップによって、420ptの乖離が生じています。
過去の検証を行うとギャップを考慮した場合の成績は著しく低下してしまいます。
取引をmini=3枚に対して、証拠金30万円程度では、取引停止になることが分かりました。
実践相場の実力を検証(18,19ページ)の結果は、やや乱暴ではないでしょうか。
もちろん証拠金を多く積むことや、PFが使えることは事実ですが。
投稿者:tk|2010年4月 2日 17:01
細かく検証していませんが、松本さんのやり方では、資金がいくらあっても絶対に足りないという印象です。
いったいどこで何をやれという意味なのか、まったくわからないです。
投稿者:chousetsu|2010年4月 2日 22:26
tkさん
追加のコメント&ご質問有難うございます。
下方へのブレークアウトが起こるかどうかを捉える意味での下値のバランスの形成を視覚で単純に捉え、116ページの場合は3列と捉え、126ページの場合を5列と捉えています。
「ギャップ」の問題はあくまで終値ベースで売買していくことに伴う問題で、終値で確認してから翌営業日売買するか、日中逆指値で「蓋然性のリスク」をとって売買するかは各々の選択になります。
日中逆指値で売買する方法を採り入れる方法も勿論あります。その場合は終値ではシグナル(売り買いシグナル、または撤退の売買シグナル)がでないかもしれないリスクをとることになります。
そういったリスクの「のり代分」証拠金を余分に持つことは必要になりますが、ここではあくまでおおまかな目途を示しているだけです。
投稿者:松本 鉄郎|2010年4月 3日 06:17
chosetsuさん
コメント有難うございます。
tkさんのご質問にもお答えしましたように、「ギャップ」のリスクまたは日中逆指値で売買をして終値ではシグナルが点灯しないかもしれないリスクをとる分、証拠金を余分に要しますが、経験的には「資金がいくらあっても足りない」ということはありませんでした。
「相場が跳ぶ」ことに備えるためにやむを得ないことだと捉えています。
投稿者:松本鉄郎|2010年4月 3日 06:27
松本先生
詳細な説明をありがとうございました。
「バランスの形成を視覚で単純に捉え」を理解しました。
本で書かれているように、形状が多種に感じた場合は第1目標、第2目標と考えるようにします。
日中の逆指値については研究したいと思います。
唐突な質問に対して丁寧なお答えをありがとうございます。
いつもブログ楽しみにしています。
投稿者:tk|2010年4月 3日 09:53
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