FXブログ 今晶の「THE・為替記者!」


米住宅市場、安定に向け試行錯誤


 米国では政府系の住宅金融機関(GSE)の役割や負担軽減に向けた取り組みが始まっている。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)と米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)の経営危機が関連証券の市場の動揺にとどまらず、米金融システム全体への不安にまでいたったとの反省からだ。
 施策にはいくつかの段階がある。最優先課題はマネーのパニック行動を防ぐことだ。GSE発行の債券や住宅ローン担保証券(RMBS)は世界の中央銀行や金融機関が大量に保有しており、信用力低下となれば影響は大きい。米財務省と米連邦準備理事会(FRB)が既に概要を公表している2社の支援法案は週内にもスピード成立する見通し。
 エコノミストからは「株式購入よりも緊急融資に重点を置く可能性が高い」(米国系証券)との声が聞かれた。
 次のステップは民間金融機関などに住宅ローン関連業務の「分担」を求めることだ。各メディアの報道では、米財務省はカバードボンドと呼ばれる社債に近い性質をもつ債券の早期導入を目指すという。カバードボンドは住宅ローン債権などの証券化商品の一種で、ポールソン長官はもともと法制化に乗り気だった。原債務者(住宅所有者など)がお金を返せない状態になった場合、債券購入者は通常、元の貸し手である銀行など発行体に支払いを請求しうる点で一般の資産担保証券(ABS)とは異なる。
 一連の仕組みは責任の所在が明確。リスク管理の面では投資家にメリットが多い。かつてストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)が資金調達のさいに利用したコマーシャル・ペーパーなどのように原資産の実態が判然としない商品に比べれば安心感は段違いだ。
 とはいえ、発行側は担保部分を貸借対照表(バランスシート)内に残すことになる。住宅や信用市場の急回復が見込めない現在、不良債権と引き当て額の増加が体力をそぐ危険と隣りあわせ。カバードボンド問題に限れば「善は急げ」は当てはまりそうにない。市場では「実体経済への対応も含めて米当局の試行錯誤は当分続く」(欧州系銀行の債券ストラテジスト)との予想が支配的だ。(今 晶)

2008年7月24日(木)13:47

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