FXブログ 今晶の「THE・為替記者!」


ECB、物価高注視も「予断なし」

 ユーロ圏では景気の先行き不透明感が拡大している。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は英米との比較では優位とされるが、物価高がかく乱要因となる構図は同じ。米政府系の住宅金融機関(GSE)を巡る混乱も対岸の火事ではない。金融政策の方向性は見定めづらい情勢だ。
 欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は3日、政策金利の引き上げが決まった直後の記者会見で「将来の行動に予断はもっていない」との趣旨のコメントをした。その後も講演などでインフレ警戒色の濃い発言を繰り返す一方、利上げ観測が高まらないよう配慮している。エコノミストなどの間では「金利上昇とユーロ高が景気に悪影響をもたらす事態を避けようとした」との解釈が多い。18日には4—6月期と7—9月期の域内成長に慎重見通しも示した。
 通貨高は輸入物価の観点ではプラスだが、度が過ぎれば輸出依存型の企業がダメージを受ける。政治サイドも容認しないだろう。とりわけユーロ圏は複数の国の集合体で、経済基盤がぜい弱な国も含まれるだけに政策面でのバランスのとり方は難しい。
 ある欧米系通信社が18日、「ユーロ圏高官」の発言として伝えたところでは「1ユーロ=1.60ドル(超のユーロ高・ドル安水準)はECBにとって望ましくない」という。
 しかも足元では信用収縮が継続しており、金融機関の融資の厳格化などから引き締め的状況が起こりやすい。英国では2007年以降、住宅市場の混迷で3度の利下げがほぼ帳消しになった。エネルギーや原材料価格高への対応の遅れは不況下のインフレ(スタグフレーション)を招きかねない半面、金利引き上げの「負の作用」が物価の抑制効果を超えてしまっては本末転倒だ。
 ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が15日発表した7月の独景況感指数の期待指数はマイナス63.9と、1991年冬の算出開始以来の最低だった。ZEW指数は投資のプロやエコノミスト、アナリストの認識をあらわしており、回答者が統計などの各種情報に明るい分、悲観論に傾きがちな面はあるものの軽視はできない。今後、ユーロ圏金融政策の難易度は英米並みに上がるかもしれない。(今 晶)

2008年7月22日(火)11:16

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