FXブログ 今晶の「THE・為替記者!」


アイスランド、「薄氷」景気続く

欧州のアイスランドでは景気の先行き不透明感がいっこうに解消されない。歴史的な高金利にもかかわらず物価の上昇傾向が続いているためだ。しかも小国ゆえにけん引役となる産業には乏しく、「頼みの綱」の欧米のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)も磐石ではない。事態は依然として深刻だ。
 アイスランド中央銀行は前週3日、政策金利を過去最高の15.5%に据え置くことを決めた。現状維持は2回連続。アイスランドのインフレ率はこのところ十数年ぶりの高い水準で推移しており、通貨クローナの先安懸念がくすぶるとあってエコノミストの間では「一段の利上げ実施は避けられない」との声が多い。しかし、引き締めスタンスが景気悪化を助長する可能性は日増しに強まっている。「中銀は対応が後手に回る『ビハインド・ザ・カーブ』のリスクを承知のうえで様子見姿勢を保った」(欧州系証券)ようだ。
 当局には金融システムや信用市場の「環境整備」を優先すべきとの考えが働いたのかもしれない。ある大手通信社のデータによると、アイスランド大手銀3行の2007年末の資産額合計は同国の実質国内総生産(GDP)の9倍程度。中には自己資金の約8割を外貨建て運用につぎ込んでいた銀行も存在したという。事は一国の問題にとどまらないだけに速やかな対策が求められるというわけだ。
 実際にアイスランド中銀は5月中旬、フィンランドを除く北欧3カ国の中銀とユーロ資金を融通しあう目的の通貨スワップ協定を締結。政府サイドはユーロ建て債券の発行増などで外貨準備を積み上げる施策に前向きとされる。需給面では通貨安加速の危険と隣り合わせだが、流動性の供給体制が確立したと判断されればパニック的なマネー流出は起こらないはずだ。
 半面、アイスランド金融市場の規模が自国の投資家の需要すら満たせないほど小さいとの現実は揺るがない。混乱への抵抗力も弱いままだろう。長期スタンスで安全志向の濃いお金がアイスランドを迂回(うかい)する構図に当分変化はなさそうだ。(今 晶)

2008年7月 8日(火)14:06

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