FXブログ 今晶の「THE・為替記者!」

円、「過剰流動性」の行く末

 国際金融市場では商品相場の先高観が依然として強い。投機筋の一角はこのところ原油や貴金属、穀物買い戦略などに傾き、好成績を収めるとともにリスク許容度が上昇。借り入れベースで運用資産を積み上げる動きも規模は控えめながらも再開している。最低金利国の日本の円は「資金源」として存在感が増した。
 円原資のポートフォリオはユーロ圏や英国、オセアニア諸国の利回りが高い債券や預金も組み入れ対象だ。2007年半ばまでの「金利相場」が再現した気配もある。ユーロ・円は前週に一時1ユーロ=168円10銭台と07年7月以来の円安・ユーロ高水準まで強含み。導入来高値の168円94銭前後が視野に入った。スイスフランや米ドルなど調達通貨とみなされるグループに対しても円安の傾向が濃い。
 歯車が一気に狂わない限りはマネー拡大の流れと商品人気は衰えそうにない。
 日本勢にも便乗組が目立つ。外国為替証拠金取引(FX)や外貨建て投資信託を通じた個人・年金資金の海外流出にとどまらない。機関投資家は米住宅ローン絡みの資産残高を圧縮する半面、他の有利な運用先を求めて欧米の国債やヘッジファンド関連証券を物色している。巡り巡って原油高に一役かっているケースは多いはずだ。
 日銀が16日発表した08年1—3月期の資金循環統計(速報)によると、3月末の家計の金融資産残高は1489兆6000億円強と前年度末の1545兆円程度から約3.6%減少。世界株安の影響を受けたもので、1980年以降では最大のマイナス幅となった。株式・出資金の比率は07年3月末の13.0%から9.3%に失速した。それでも金額の大きさは変わらない。国内証券の顧客担当者などからは「円預金の低い利率に満足しなかった層はリスク資産に戻り始めている」との声が出ている。
 問題はこの後だ。日本発のお金がエネルギーや原材料価格高を助長した場合、輸入大国の自らの首を絞めかねない。世界の景気悪化となれば自動車メーカーなど輸出企業も打撃を被る。ある外国銀行のエコノミストは「日本は対外債権国だけにパニック的な通貨安への危機意識は必要ない」と前置きしたうえで「物価次第では円の防衛目的の介入姿勢を示したほうがよい状況も起こり得る」と真顔で語っていた。(今 晶)

2008年6月24日(火)17:03
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