FXブログ 今晶の「THE・為替記者!」

ユーロ、EU政治情勢にも関心

欧州の政治的な先行き不透明感が増している。アイルランドで13日、欧州連合(EU)の新たな基本条約となるリスボン条約の批准の是非を問う国民投票で、反対票が約53%と賛成の46%強を上回ったためだ。国際金融市場では統一通貨ユーロの行方に影を落とすものとして懸念する声が出ている。
 リスボン条約は2009年1月の発効を目指す。しかし加盟27カ国すべての批准が求められており、アイルランドの否決で当初の予定通りに進まないことが確実になった。欧州委員会では他の未批准国に手続き続行を促しながら事態打開の道を探る構えだが、アイルランドが「民意」を再び問うたとしても、現行の条約内容を維持したままで結果が変わる公算は小さい。状況は厳しいといえる。
 また、英国が続いて実施すると見られている議会投票への影響も避けられそうにない。

 アイルランドはユーロの導入国であり、中央銀行の総裁は欧州中央銀行(ECB)の理事を兼ねている。一連の動きがユーロ圏の通貨・金融政策を直接左右するわけではないものの、混乱が長引くようなら「信認」の面では痛手だ。仮にアイルランドがEUからの一部離脱にまで追い込まれた場合、07年以降のドル離れとユーロ物色の流れが変調しかねない。
 ある欧州系銀行のエコノミストは「ここ数年のユーロ高は『第二の基軸通貨』としてのユーロの地位向上が一因になっており、政治リスクに敏感な投資家層は確実に存在する」と読む。ドル先安観が以前に比べて後退している点も考慮すると、新興国マネーなどのドル建て資産の見直しペースが緩むきっかけになるかもしれない。
 とはいえ、ユーロの調整は欧輸出企業の国際競争力の面でプラス効果もある。ECBの引き締め的施策が景気の急減速をもたらす可能性も下がるはずだ。米国や他の国の経済が力強い成長軌道に戻るとの展望もまだ描けない。為替は「相対的評価」の世界。市場では「EU内の動揺がユーロの地盤沈下につながるとまでは言えない」といった冷静な意見が多いようだ。(今 晶)

2008年6月17日(火)18:17
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