FXブログ 今晶の「THE・為替記者!」

日本マネーの「対外志向」健在

「低金利国」日本の投資家の外貨建て運用が再開している。財務省が11日発表した5月の対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)によると、対内株式が売りと買いの差し引きで9022億円の買い越しと2カ月連続で日本への資本流入超となる一方、対外中長期債は2兆283億円の買い越しで2カ月ぶりの流出超。銀行セクターで外債購入の意欲が戻ったほか、年金や個人マネーの物色が引き続き目立つ。
 流出額の内訳は銀行勘定が9744億円、生命保険会社が999億円で年金動向などをあらわす銀行の信託勘定は1954億円。個人の参加者関連の移動を映す金融商品取引業者と投資信託委託会社等の合計が9700億円強に達した。
 米国では最近、金融政策が景気配慮型から物価注視の姿勢に移行しつつあるとの雰囲気が広がっており、2008年中に利上げが始まるとの観測も浮上。短期債券のみならず長期ゾーンの利回りにもしばしば上昇圧力がかかっている。長短金利差も開き気味だ。大手銀が主に手掛ける「外—外方式」(外貨を直接借り入れて外国証券に振り向ける手法)や、生保主導で期間が3—6カ月物程度の先物の円買い・ドル売りと10年物国債などでの運用を組み合わせた「為替差損回避(ヘッジ)付き外債」には追い風となる。
 もっとも、これらは外国為替市場での直物の円売りを伴わないため円安の直接の要因にはならない。
 半面、他の項目では為替変動リスクをとった取引が主役。欧米での信用収縮のペースが緩み、先行き不安も3月までに比べると後退したことから持続性が高まった。
 日本でもインフレへの懸念は生じているものの、実体経済の失速に対する警戒感も同時に拡大しているだけに「政治サイドの抵抗などを考慮すれば引き締め的施策へのハードルは上がった」(欧州系証券のエコノミスト)。そうなると低金利からの脱却は当分先で、米欧に遅れをとることになりかねない。ある国内証券の顧客担当者は「2007年のサブプライム(返済能力の低い個人)向け住宅ローン絡みのゴタゴタで痛手を被った関係者の『外貨リターンマッチ』が増えるかもしれない」と期待していた。(今 晶)

2008年6月12日(木)12:18
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