国際金融市場では中国への注目度が改めて高まっている。四川省で5月に発生した地震などの「内憂」が実体経済にどの程度影響を及ぼすかが焦点。北京オリンピックが終了した後の景気動向を占ううえでも重要だろう。
各通信社の報道によると、中国人民銀行(PBOC、中央銀行)傘下のシンクタンクは2日、四川大地震についてまとめたリポートを公表。「打撃を受けた地域の経済活動が国内総生産(GDP)に占める割合は小さい」としながらも「建設資材(の生産減に伴う)価格の上昇圧力は過小評価されるべきでない」と指摘した。米サブプライム(信用力の低い個人)向け住宅ローン問題発の世界的な景気減速に伴う輸出鈍化のリスクや、これまで実施した金融引き締め策の効果を見込むにもかかわらずインフレ抑制のスタンスは維持すべきとの立場だ。
PBOCがこれに先立つ5月30日、地方財政に関する報告書で示した「物価高阻止が最優先課題」との見解とも平仄(ひょうそく)は合う。市場の一部にあった「中国人民銀は一時的にせよ緩和的な施策に傾くのではないか」との観測に対する答えでもある。人口の多い国だけに、日米欧などよりもインフレ期待が行き過ぎることへの警戒感は強いのかもしれない。
また、中国企業はさまざまな国や地域とモノを取引している。世界経済の「なだれ現象」が起こらない限りダメージは最小限に抑えられるとの楽観ムードも残る。
半面、以前に比べると景気のけん引役の面では心もとない。オリンピック絡みの「特需」一巡で反動が生じかねない情勢だ。
ある外国銀行のエコノミストも「中国は政治体制の特殊性から日米欧の常識は当てはまらない」と前置きしつつ「それでも高成長や資産価格の上り歩調がこのまま持続するはずはない」と話す。仮に調整局面入りした場合の金融当局の手腕も未知数だという。経済が軟着陸に向かうかは依然として不透明だ。(今 晶)
2008年6月 5日(木)10:18