欧州アイスランドの経済環境が厳しさを増している。高金利政策を長い間持続しているにもかかわらず輸入品などに後押しされたインフレの傾向に歯止めがかからない。信用収縮も深刻化。事態収拾に向けた政府・中央銀行の悪戦苦闘が続く。
アイスランドの政策金利は4月に0.50%引き上げられて15.50%と過去最高の水準を更新したが、同月のインフレ率は十数年ぶりの高水準となる11%台後半と引き締め効果がまったくあらわれていない。5月22日にはさらに0.50%程度の追加利上げが決まる見通し。不況下の物価高(スタグフレーション)懸念が払しょくされないことから長期スタンスの投資資金の流入は滞ったままだ。
またスウェーデンのリクスバンク(中央銀行)などによると、アイスランド中銀は前週末16日、スウェーデンとデンマーク、ノルウェーの3中銀と各5億ユーロ(総額15億ユーロ、約2400億円)の通貨スワップ協定を結んだ。ユーロの短期金融市場で4月以降、アイスランド系民間銀行への「貸し渋り」が鮮明になる中、外貨準備高が4月末時点で2000億クローナ強(約2900億円)と支援には心もとない額だったことを受けた措置と見られる。信用不安の拡大が一段のクローナ安進行と輸入物価の上昇を促すという「負の連鎖」をどうにかして断ち切りたいとの意思がうかがえる。
とはいえ、一連の施策は対症療法の域を出ていない。各金融機関が資本増強や不良債権の処理を通じた貸借対照表(バランスシート)改善に乗り出さない限りは抜本的な解決は難しい。そもそもアイスランドは国内株式や債券市場の規模が小さいため、大手銀の外貨建て資産の保有比率は伝統的に高い。ユーロなどの流動性を多少供給したところで「焼け石に水」の面もある。
アイスランド中銀内の危機感は相当に強いようで、チーフエコノミストのシグバトスン氏は9日付一部独紙とのインタビューで、アイスランド経済には柔軟性があると自信を示す一方で「クローナの信認醸成に失敗すれば壊滅的状況に陥る」と警告。安定を取り戻すためには「早期の欧州連合(EU)加盟とユーロ導入が必要」と語った。小国の苦悩がにじむ。(今 晶)